<雲の中の花立山>
ヒルに出会いながら登る丹沢:塔ノ岳(今年32回目)
(常連と付いたり離れたり)
2013年6月29日(土) 曇後晴
■久々の塔ノ岳
今は梅雨の真っ直中.それに,アジサイが見頃な季節ということもあって,ここ2週間ほど塔ノ岳にはご無沙汰続きであった.数日前までの天気予報では,今日土曜日の天気は雨ということだったので,土曜日の塔ノ岳行きは諦めていた.ところが,実際には天気はそれほど悪くはなさそうなので,久々に塔ノ岳へ出掛けることにした.
渋沢発大倉行1番バスは,土曜日にしては案外空いている.勿論立ち席は沢山出たが,臨時バスが出るほどではなかった.車内を見回すと,韋駄天のHさん,STさん,KMさん,TGさん,TDさん,FTさん,YDさん,YKさん,KIさん,YUさん,STさん,HSさんなど,ご常連の顔もチラホラ.ただ,何時も土曜日に来られるご常連の大勢が,天気が良かった金曜日に登られたようである.
7時07分,大倉から歩き出す.バス停近くのアジサイがまだまだ見頃である.アジサイを眺めながら,登山口に向かう.
たまたま同じ時刻に歩き出した常連のTGさん,TTさん,TDさん,KIさんの後ろに付いて登る.私には一寸速いペースかなと思いながら,
“まあ,…いいか”
で後に続く.
■やっぱり山ヒルが居る
7時31分,観音茶屋を通過してから,暫く登ったところで,TDさんが登山道の真ん中で山ヒルを発見する.先週もほぼ同じ場所で立て続けに3匹の山ヒルを発見した.
折角(?)の山ヒルなので写真に撮ろうかと思ったときには,もうTDさんが山ヒルを踏みつぶしている.今日の山ヒルは体長1.5センチメートルぐらい.私たちが近づくのを察知したのか,頭をもたげていた.
TDさんはヒル対策用に塩を持参している.シッカリ踏みつぶした山ヒルの上にこんもりと塩を掛ける.
大倉尾根で山ヒルを頻繁に見掛けるようになって3年ぐらいになるだろうか,それにしても,今年は随分と山ヒルが増えたような気がする.
■見晴階段
山ヒル騒動でモタモタしている内に,TGさんは何時の間にか私たちよりずっと先を歩いておられる.勿論,TGさんの登山力は私などと格が違うので,最初からご一緒するのは無理だと分かっている.その内にTGさんの後ろ姿は見えなくなる.
私の経済速度より幾分速い速度で歩き続けたので,雑事場ノ平の手前あたから,少々しんどくなりはじめる.
8時45分,見晴山荘を通過する.私は先のことを考えて,見晴階段からは少し歩行速度を落すことにする…と,いうのは表向きの格好良い言い訳.本当は付いて行けないからだ.
…ま,ともかく見晴階段から先は単独山行に切り替わる.その途端に,これまで一緒に登ってきた常連の皆さんとの距離が,ジリッ,ジリッと開き始める.
“あ~ぁ…嫌になっちゃうなぁ…!”
恒例により,見晴階段の下から上を見上げた写真を撮る.1番バスはそれほど混雑していなかったのに,沢山の登山客が数珠繋ぎになっている.私のすぐ前には,ついさっきまで一緒に登っていた常連の後ろ姿が見えている.
<見晴階段>
■駒止階段
手許の温度計では,今の気温は22℃.歩き始めの速度が私には少し早かったので,見晴階段を登り切っても,一旦噴き出した汗はなかなか収まらない.もう,汗拭きタオルは,臭い汗でベトベトになっている.私は歩行速度を一層落として,モミジ坂を登り続ける.その間に,先ほどまで見えていた常連さんの後ろ姿は全く見えなくなる.
一本松の手前で,ご常連の女性に追い抜かれる.追い抜かれても悔しくないと言えば嘘になるが,ジッと我慢である.
もう一人の私から,
“年甲斐もなく何を力んでいるんだ…オマエは”
と言われてしまうが,はやる心を抑えて,自制しながら登り続けるのは,結構,辛いものがある.
それでも,熱射病でひっくり返るのが怖いので,慎重に駒止階段を登る.何人かの登山者が,それこそ止まりそうな速度で喘ぎながら階段を登っている.そうかと思うと,まるで平地を歩くかのような速度で軽々と急坂を登っていく登山者も居る.
私がノソノソと登っている間に,かなりの年配の男性に追い抜かれる.名前は知らないが,ときどき見掛ける方である.
“ああ…うらやましい!”
8時18分,ようやく駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間11分.遅い!
“でも,まあ,仕方がないな”
■堀山の尾根道
ようやく堀山の尾根に入る.
尾根道のそよ風が抜けて,幾分涼しくなるが,上空一面に雲が覆っている.やがて,富士山が良く見える場所に到着する.勿論,富士山は雲の中である.でも,ここの写真を撮るもの私の儀式.見えない富士山の写真を撮る.
私が写真を撮っていると,後から来た若い男性が,怪訝な顔をして,富士山の方と私を見較べる.
8時27分,堀山を通過する.
<堀山の尾根道で見えない富士山を撮る>
■美しい白い花
堀山の尾根をノンビリ歩く.
季節が進んで,木々の緑が一段と濃くなっている.そんな緑の中でひときわ見事な白い花が咲いている.前回,樹木のことを良く知っているTNさんとご一緒したときに,この木の名前を教えていただいたが,私は名にし負う花オンチ.もう木の名前などすっかり忘れている.だから,ここでは白い花とだけ記しておこう.
あまりに美しい花なので,ちょっと寄り道をして,数枚の写真を撮る.
<白い美しい花>
■萱場平
8時35分,堀山の家に到着する.まだ,早い時間なのに,もう堀山の家は開店している.玄関前に顔見知りの小屋番さんが座っている.
「こんにちは…帰りにお寄りします」
と挨拶して,そのまま通過する.
小草平のベンチでは2~3人の登山者が休憩を取っている.小草平からも富士山は相変わらず見えない.
堀山の家を通過すると,いよいよ大倉尾根の核心部である.花立山までの長い登り坂が連続する.でも,ある意味ではここが大倉尾根の中で一番山らしいところだ.だから,この急坂,私は決して嫌いではない.
今日は,雑事場ノ平までの歩行速度が少し速すぎたので,ヘバリ気味である.だから,ここからはユックリ登るつもりである.
ノソノソと登り始めると,忽ちの内に若い登山者に追い抜かれる.でも,ここが我慢のしどころである.私は自制しながら登り続ける.その内に,身体も楽になり,何時の間にか汗も引っ込んでいる.
8時55分,萱場平に到着する.例によって定点観測の写真を撮る.木道の間に生えているアザミがますます大きくなっている.
写真には,今さっき,私を追い抜いた男性に後ろ姿が写っている.
<萱場平>
■花立山荘
萱場平を過ぎてから,なお幾分の疲労感がある.大きな岩を廻り込んだ辺りから,一段と速度を落とす…というより,実は,速くは歩けない.
後7分坂をどの位の時間を掛けて登ったのか分からないが,多分,8~9分も掛かったのだろう.9時20分に漸く花立山荘を通過する.
大倉から花立山荘までの所要時間は2時間13分.堀山の家からは43分掛かっている.
今が夏と言うことを考慮して,大倉から2時間05分程度,堀山の家~39分程度で,無理なく登りたいものである.この数字は,トウネントッテ○十歳の私でも,省エネ歩行をすれば,容易に実現できる思っている.
花立山荘前のベンチでは数名の登山者が休憩を取っている.山荘の周りには怪しい雲が湧いている.残念ながら,ここからも富士山は全く見えない.
<花立山荘>
■花立山
花立山荘から花立山までの登り坂が,私にとって一番きつくて辛い.
花立山荘に到着たら,
“もう塔ノ岳山頂も間近だぞ”
とホッとした気分になるのは事実である.
でも,花立山荘から花立山に至る階段道の登りが何とも辛い.すぐ先に花立山山頂が見えているのに,なかなか山頂まで辿り着けないのでイライラする.
今日もまた気勢が上がらず,花立山荘から9分も掛けてやっと花立山に到着する.
花立山山頂に近付くと,気温が一段と下がり涼しくなる.辺りの雲がますます濃くなり,冷気が漂い始める.雲間から鍋割山稜が霞んで見えている.
<冷気が心地よい花立山山頂付近>
■金冷シ
花立山山頂から先は,涼しい風に吹かれながらの心地よい山道が続く.実に気分良く歩ける.左手に霧にかすむ丹沢の山々を眺めながら,満ち足りた気分で歩き続ける.
9時35分,金冷シを通過する.
9時41分,階段道の途中で,下山してくる韋駄天のSTさんとすれ違う.
<金冷シ付近から;霧に煙る緑が美しい>
■塔ノ岳山頂
山頂直下の階段を登っていると,早々に下山してくるKIさんとすれ違う.
「あれっ! 今日は随分とお早い下山ですね」
「いや,山頂まで行かなかったんです…」
ということで,新聞を私に手渡しながら,
「尊仏山荘に届けて下さい」
とのこと.何やら山頂直前で引き返されたとのこと.
さらに,塔ノ岳山頂近くの木道で,TDさん,YDさん達がぞろぞろと下山してくる.
“あ~ぁ! 結局,私が一番足が遅いんだな…”
この現実に私は少々落胆.
9時51分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.山頂は辺り一面の霧,多分,山頂は雲の中なのだろう.
登り口辺りで,写真を撮っていると,尊仏山荘で一休みし終えた,UMさんとFTさんが,
「今日は,こっちへ行きます…」
と私に挨拶して表尾根方面に下山していく.
霧の中に消えていくお二人が格好良い.
<ご常連が下る>
■閑散とした山頂
大倉から塔ノ岳までの所要時間は2時間44分.偶然にも前回と全く同じラップである.
今回の前半は,前回より幾分速いラップだったが,結局その分だけ後半で遅くなり,結果的に前回と同じになった.
前回と今回とで,途中経過に.どのような違いがあったかに,私は大変興味がある.
山頂の気温は16℃.やっぱり今日は少し高温である.
山頂には登山客の姿は殆どなく閑散としている.私は誰も居ない山頂をウロウロしながら,霧で何も写らない写真を撮る.
丁度そのとき,大倉尾根常連の中で最長老のSTさんが,どこからともなく現れる.
「やあ,やあ,暫く振りですね…」
<誰も居ない塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘
STさんと一緒に尊仏山荘に入る.先客は男の赤ちゃんを連れた親子3人だけ.屈託のない赤ちゃんの顔を見ていると心が和む.
今日の小屋番はWHさん,WDさん,FYさんの3人体制.
「お茶で良いですね…」
とWHさんが私に念を押す.そう…,私は何時も300円也のお茶である…でも,時々変えるが…
STさんと雑談.
年を取ると身長が縮むことが話題になる.実は私も年を取ってから,5ミリメートルほど背が低くなっている.
「5ミリメートルなら大したことないよ」
とSTさんに慰められる.
STさんと雑談をしていると,どこかで道草をしていたYUさんが山荘に入ってくる.
雑談をしていると,華伊達美弥雄さん(ネコのこと)が,のっそりとフロアーに現れる.一言も啼かずに,出入り口の方へ向かう.
「やあ…オマエ,生きていたか.元気だったかね」
と声を掛けるが無反応.
そろそろ私も下山しようかと思っていたので,山荘の出入口を開けて,ネコを外に出してやる.同時に私も尊仏山荘を後にする.
<尊仏山荘のネコ>
■写真を撮り合う
塔ノ岳山頂で,STさんと写真を撮り合う.私の写真をSTさんのブログに掲載するというので,私もSTさんの写真を自分のブログに掲載するということで了承を受ける.
お元気なSTさんから,沢山の気力を頂戴する.
<塔ノ岳山頂にて;STさん>
■堀山の家
STさんと一緒に下山し続ける.
金冷シの手前で,ご常連のHさんとすれ違う.その後も,私のスローペースにお付き合いいただきながら下山し続ける.
STさんは天神尾根を下山されるというので,戸沢分岐でお別れする.ここからは気楽な一人旅.
11時20分,第1の関所,堀山の家に到着する.堀山の家は通過しようか,それとも立ち寄ろうかと迷うが,入り口近くで,何かを修理しているKIさんにバッタリ.何だか関所の役人を連想する.
「皆さん,(小屋の)中に居るよ…」
ということだったので,迷いも消えて,私も堀山の家に立ち寄る.
小屋に入ると,TGさんとTDさんが居られる.私もジョイン.300円也のコーヒーを所望する.
“これで大船駅でのコーヒーは,今日はヤメだな”
と思いながら,コーヒーを美味しく頂く.
<堀山の家のコーヒー>
■堀山の家の集合写真
11時35分頃,堀山の家を出発する.
玄関前で,例により,集合写真を撮ることになる.丁度そのとき,尊仏山荘で一緒になった赤ちゃん連れの夫婦が下山してくる.
「入った! 入った! 一緒に写真を撮ろう」
ということで,この一家も交えた集合写真を撮る.
この写真,多分,来週水曜日辺りに堀山の家のHPに掲載されるだろう.楽しみである.
その後は,TGさん,TDさん,KIさん,それにこの赤ん坊一家と一緒に下山し続ける.
途中,堀山の尾根では今が見頃の白い花の写真を何枚も撮り続ける.
<堀山の尾根の白い花>
■無事バス停大倉へ
12時28分,第2の関所,観音茶屋を通過する.店の中で店番をしておられるSTさんに,
「スミマセン,今日は通過します」
と挨拶して通過.
店の中には編集長のYKさんが居られる.
野菜の無人スタンドで道草をしながら,12時49分にバス停大倉に到着する.
下りの所要時間は,堀山の家でのコーヒーブレークや道草を含めて,2時間29分であった.
12時40分発のバスに乗車する.その後は藤沢,小田原で順調に乗り換えて,14時27分に無事大船に到着する.
鎌倉は避暑地でもある.大船駅に降り立つと,涼しい海風が吹いていて,何とも心地よい.何だか,急いで家に帰る気がしなくなる.
“鎌倉中央公園でも彷徨いてから帰ろうかな…”
と思ったが,まあ,今日の所は,まっすぐ帰ろう…と,やっと自分を言い聞かせて,自宅近くを通るバスに乗車する.
<ラップタイム>
7:07 大倉歩き出し
7:30 観音茶屋
8:45 見晴山荘
8:18 駒止茶屋
8:35 堀山の家
9:20 花立山荘
9:35 金冷シ
9:51 塔ノ岳山頂着(16℃)
10:20 〃 発
10:34 金冷シ
10:46 花立山荘
11:20 堀山の家(11:35までコーヒーブレーク)
11:51 駒止茶屋
12:14 見晴山荘
12:28 観音茶屋
12:49 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:07
塔ノ岳 着 9:51
(所要時間) 2時間44 分(2.73h)
水平歩行速度 7.0km/2.73h=2.56km/h
登攀速度 1269m/2.62h=464.8m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:20
大倉 着 12:49
(所要時間) 2時間29分(2.48h)
水平歩行速度 7.0km/2.48h=2.82km/h
下降速度 1269m/2.48h=511.7m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5eea51d5c9d376e548b9b2db4cdac054
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/302f8a28412cef0d258f1791234ba096
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