<皮革工場>
モロッコ訪問記(33):第10日目(3):フェズ市内観光(3)
(アルパインツアー)
年6月7日(土)~18日(木)
第10日目:2009年6月16日(火) つづき
<フェズエルバリに入る>
■小高い丘
板金屋の見学を終えた私たちは,専用バスに乗り込んで10時08分に発車する.バスは埃っぽい街中を走る.中央分離帯のある4車線の立派な道路である.どちらの方向に走っているのか正確には分からないが,多分,南の方に走っているようである.
バスは上り坂にさしかかる.くねくねと曲がりくねった道路を登り続けて,10時17分に小高い丘の上に到着する.
バスを降りて,丘の上に建つ建物の周りを一回りする.そして,建物の一角にある階段の踊り場に登る.
現地ガイドのアブダラさんが,
「・・・建物には入れません.テラスから展望を見てください・・・」
と建物の中に入れないことを,私たちに注意する.
<小高い丘の上の建物:この建物のテラスから市内を見下ろした>
■素晴らしい眺望
テラスから一望の下にフェズの市内が見えている.向かって左手には,先ほど私たちが観光していたフェズエルジェディド(14世紀頃の街),右手にはこれから観光するフェズエルバリの市街地(9世紀の街)が見えている.
<高台からのフェズの眺望>
<焼き物屋>
■焼き物屋に入る
10時28分,バスに戻る.とにかく暑い.
バスはすぐに発車して,先ほど登ってきた坂を,今度は下る.やがて,進行方向右手に先ほど私たちが登っていた丘と建物が見えだす.私たちはフェズエルバリの市街地に儲かっているようである.
10時32分,どの辺りに位置しているか良く分からないが,とある焼き物屋の前でバスが停車する.今度は焼き物屋の見学らしい.
焼き物屋に入る.第一印象は,何となく乱雑で,前時代的.若い男性が工場の案内役である.アブダラさんが説明を補佐する.
<焼き物屋入口>
■焼き物の工程
最初に泥をこねる.轆轤(ろくろ)を廻し,焼き窯で焼くという原始的な手作業である.
見学の当初,なんとも原始的な作業に驚くと同時に,何でこんなところを案内するのだろうかと不思議に思ったが,工場の中を見ているうちに,従業員が,えらく細かい作業をしているのに気がついて,驚くと同時に畏怖の念を抱くようになる.
<瀬戸物の原料を見学>
<原料倉庫>
■細かい細工
とにかく,色,形ともに様々な350種類に及ぶ細かくて精緻な部品を一つひとつ手作業で作っている.あの立派なモザイクが施された門も,えらく細かい手作業で作られた部品を組み合わせて作っていたのだ.
それにしては,作業場の雰囲気が,私の想像を超えている.こんなに細かい作業をしているのに,従業員はおしゃべりをしたり,わき見をしたりである.何となくだらけた印象を受けるのに製品は精緻である.このアンバランスが私を驚かす.
<ろくろ職人>
<炉> <作業場>
<精緻な製品> <細かい作業>
<陶器屋の店内>
<狭くて,臭くて,猥雑な街>
■迷路を進む
焼き物屋の見学を終えた私たちは,10時56分にバスに戻る.バスの中は日光で温められていて,やけに暑い.
10時58分,私たちのバスは発車する.
緩やかな下り勾配の道を進んで,すぐに片道2車線の道路に出る.さきほど丘の上から見下ろしていた9世紀のフェズエルバリの城壁に沿って走る.
11時06分,フェズエルバリの中にある駐車場に到着する.
バスから下車すると,アブダラさんを先頭に,いきなり狭い路地に入りこむ.
途端にいろいろな匂いが混ざり合って鼻を突く.凄い人混みである.鼻をつまみながら,必死になって,アブダラさんの後を追う.こんなところで迷ったら百年目.とにかく必死である.
<狭い路地が連続する>
■青物市場・金物屋の街
いつの間にか,青物市場の中に入る.牛,ラクダの肉を売っている店もある.
川を渡って,金物屋ばかり集まっている路地を通過する.そして,その先にある中国人街に入る.
「偽物時計,偽物,偽物が沢山売っていますよ」
とアブダラさんが苦笑しながら説明する.
11時26分,サファリーン広場(Pl Seffarine)に出る.
ゴチャゴチャの街中に,小学校,幼稚園,神学校などが混在している.凄いところだ.
川を挟んで反対側にはカラウィン大学(Karaouiyne),アタリメディサ神学校(綴り不明)がある.曲がりくねった狭い道を進む.どっちの方向に歩いているのか,全く分からなくなる.
<この辺りは珍しく小奇麗な商店街>
<スークダッバーギーン>
■ビルの狭い階段を登る
11時50分,とあるビルに入る.入り口で男性から強い匂いのする薬草のようなもの手渡される.私は意味が分からないまま,手渡された草を持って,アブダラさんの後を追うようにして,狭い階段を登り始める.
ジグザグに折り返しながら,5~6階ほどの高さまで登る.
<強烈な悪臭を放つものすごい風景>
■強烈な風景
いきなり視界が開ける.それと同時に,物凄い悪臭が襲ってくる.あまりに強烈な匂いに頭がクラクラしてくるほどである.私はアブダラさんに,
「・・ここは,一体何なんですか?!」
と伺う.
「ここはスークダッバーギーン(Sunk Dabbaghin),タンネリ(Tanneries)ともいうところです.皮革の工場ですよ・・」
眼下には,四方をビルで囲まれた空間が広がっている.空間の広さはどれほどか良く分からないが,ちょっと広い運動場ほどもある.そこに間口3メートル四方ほどの深い桶が無数に並んでいる.
係員の説明によると,ここは染色工場だという.さまざまな色の液体が入った桶が,びっしりと並ぶ光景は圧巻である.
よく見ると,その桶の中で半裸の男性が大きな皮を裏返したり,壁に掛けたりしている.凄い悪臭が漂う桶の中で,終日作業するのは,まさに地獄ではないかと思う.
少しでも悪臭を和らげるために,鼻先に薬草を付けながら,暫くの間,この強烈な光景を見守る.
<拡大すると・・うえ~・・ゴミだらけ>
<鼻先にハーブを押しつけて,皮工場の悪臭をまぎらわす>
■皮革製品の売店
15分ほど,染色工場を見学した後,今度は皮革製品の売り場を通り抜けながら,階段を下る.売り場には,ジャンバー,コートなど,素晴らしい皮革製品が陳列されている.売り子が盛んに買うように勧めるが,何しろ先ほどの悪臭があまりに強烈だったために,皮革製品など見る気にならない.
<元将軍の家のレストラン>
■猥雑で狭い道
皮革工場のビルから外に出る.
また狭い路地を進む.道幅一杯に荷物を背負ったロバや三輪トラックが,通行人をかき分けるようにして走る,道の両側にビッシリと立ち並ぶ店から,いろいろな臭いが立ち上り混ざり合っている.とにかく臭くて,暑くて,アブダラさんの説明も,頭に入らない.
もう,ここは,結構!.早く広い所に出たいと思いながら,アブダラさんの後を追う.
■立派なレストランで昼食
13時24分,名前は分からないが,昼食のためにレストランに入る.
レストランの中は,外の猥雑さとは隔絶した空間になっている.アブダラさんの説明によると,ここは某将軍の邸宅だったところだという.
終日嗅ぎ続けた悪臭が鼻についていて,とても食欲など湧いてこないが,とにかく静かな所に座ることができて,ホッとする.
メニューは,アブダラさんが適当に選ぶ.メインディッシュは鶏肉料理.2匹のイワシが添えてある.このイワシがとても美味.
<猥雑な外界とは隔絶した素晴らしいレストラン>
<将軍の邸宅だったレストランの食事>
(つづく)
「モロッコ訪問記」の前回の記事
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「モロッコ訪問記」の次回の記事
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「モロッコ訪問記」の索引
(編集中)