<ユリの花に見送られて>
熱暑の丹沢:塔ノ岳(今年31回目)
(単独山行)
2008年7月29日(火) 晴後曇
※ペルーの記事は・・・『CATEGORY』欄の「ペルー周遊記」
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■暑い,眠れない,眠い・・・
7月23日(水)の深夜に,ペルーから帰国してから,ダラダラとしている内に,もう5日間も過ぎてしまった.3週間余り,鎌倉を離れている内に,季節は進んで,帰国したらビックリするほど,毎日が熱暑である.赤道直下のペルーも,日中は猛烈に暑かった.でも,湿度がとても低いので,カラッとしていて,過ごしやすい暑さだった.それが,今日この頃の東京地方の暑さは,半端ではない.暑さは,もう,地獄にも近いのではないかと思いたくなる.
それにしても,私は,毎日,グウタラを決め込んでいるので,ついつい昼寝が長くなり,夜中に目が覚めて,どうにもならない日々が続いている.こんな怠惰な生活が4~5日も続くと,どこに出掛けるのも,何となく億劫になってくる.さすがに,私も,これではダメだと思い始める.こんな毎日を続けていたら,すぐにメタボリックになってしまうに違いない・・・と,俄に自分の身体のことが心配になる.
■塔ノ岳へ登るぞ
意を決し,とにかく,今日は塔ノ岳を往復してこようと思い立つ.
夜中の1時頃から,3時頃までは,どんなに眠ろうとしても眠れなかったのに,4時を過ぎることから,無性に眠くなる.“これではいかん・・,”と意を決し,起床する.あり合わせのもので,そそくさと朝飯を済ませて,5時10分に家を出る.
もう夏至から1ヶ月ほど過ぎているが,外はすっかり明るくなっている.いくら盛夏だとはいえ,早朝の外気は,それなりにヒンヤリとしていて,気持がよい.
住宅地から湘南モノレールの駅に下る坂道の土手には,沢山のユリの花が咲いている.ユリの花に見とれながら,何時ものように始発のモノレールに乗車する.何時も,この駅から始発に乗るご常連,数人の顔が,今朝も揃っている.目線が合うと,何となく,お互いに無言で会釈を交わす.久々に私の姿を見た人が「おや!」というような顔をするが,それ以上は何も言わない.皆さんは,私のことを,多分,不定期にアルバイトに出掛けるリュックを背負った老人ぐらいにしか思っていないだろう.
■電車で寝過ごす
大船から藤沢に出て,小田急のナントカキップを使って,渋沢駅まで出ようかと思う.
大船駅前のコンビニで,オニギリを2個ほど購入して,東海道本線下り電車に飛び乗る.電車が空いているので,わずか1駅でも座っていこうかと思う.でも,これが失敗だった.大船で座った途端に,ついつい居眠りが出て,藤沢を乗り越してしまう.仕方がないので,今日は小田原経由で渋沢まで出ることにする.
国府津辺りから,また,どうにもならないほど眠くなる.小田原駅に近付くにつれて,ほんの数秒,ウトウトとして,ハッと目が覚める・・・こんなことを繰り返しながら,やっとの思いで,小田原で下車する.
このまま小田急電車に飛び乗っても,渋沢から大倉行の1番バスには間に合わない.そこで.小田急電車を1台乗り過ごし,乗換のコンコースで,数回,深呼吸をして,眠気を覚ましてから,次発の電車に乗車する.座席に座ると眠くなるが,目を擦りながら,何とか眠らずに渋沢駅で下車する.
2番バスには,10数名の登山客が乗車する.私の知り合いのご常連は,どうやら見当たらないようである.バスの中でも眠気が取れない.このまま寝てしまったらさぞかし気分が良いだろうなと思いながら,眠らないように努力する.
<大倉バス停近くで咲く>
■暑い中,いよいよ登山開始
バスは,7時28分に大倉に到着する.
レストラン脇の待合室に入って,暫く昼寝をしてから登ろうかとも思ったが,また,長い時間,寝込んでしまったら,何のために,大倉くんだりまで,わざわざ来たのかが分からなくなる.そこで,型通りのストレッチをして,7時37分に大倉バス停から歩き出す.
眠たいのに,少々無理をして歩いているので,足元がふらつく.それに,早朝とはいえ,結構,蒸し暑い.こんな状況の下では,無理は禁物である.私はキャメルバックに入れた水を,少しずつ飲みながら,ユックリとしたペースで登り始める.
実は,7月17日に,ペルーのピスコ山に登ってから今日まで,山らしい山へは,全く登っていない.これまでの経験から,山行の間を1週間空けると,随分と脚力が落ちることが分かっている.したがって,10日以上も間が空いた今日は,脚力がどの程度,落ちているかが,とても心配である.そこで,とりあえずは様子を見ながら登って,まあ,3時間以内に塔ノ岳山頂に到着できれば上々ということにしよう・・・そう,自分に言い聞かせて,登ることにする.
■軽トレッキンシューズを試したい
実は,今日の塔ノ岳山行には,是非,試してみたいことが,ひとつある.それは,ペルーでのトレッキングで使用していた中カットの軽トレッキングシューズを履いて,大倉尾根を往復してみたいということである.実は,この靴,一見,普通の運動靴のように見えるが,一応,ビブラム底で,ゴアテックスが張ってある優れものである.しかも軽量である.ペルー滞在中に,この靴を履いて,かなりの岩場を歩き回ったが,履き心地はすこぶる良かった.この靴,大倉尾根では,どんな感じになるのだろうか.私は大変興味がある.
購入してから,3週間ほど履いていたので,靴底は少し摩耗しているが,それでも歩きやすかった.
<テストで履いた軽トレッキング靴>
※一応,ビブラム底.結構,グリップ力が良くて,
安定して歩くことができた.大倉尾根なら,これで
十分だなと思った.
■虫がうるさい
登山口から,杉木立の中の薄暗い登山道を登り始める.無風で蒸し暑い.登山道に入った途端に,四方八方から,ヤブ蚊が押し寄せてくる.顔や手先なの露出しているところには,タップリと防虫剤を吹き付けているが,それでも絶え間なく目の前で小さな虫が,ウジャウジャと乱舞している.本当にうるさくて,イライラする.
眠気は幾分遠のくが,ユックリ歩いていても,絶え間なく,汗が滲んでくる.これはもう,ユックリと歩くしかない.
登山道は,やがて濡れた石が敷き詰められて,滑りやすい道になる.試験的に履いている軽トレッキングシューズは,靴底が柔らかいこともあって,とてもグリップ力が強く,歩きやすい.固い靴底の軽登山靴に比較して,とても歩きやすい.
■富士山が見えない
1ヶ月前に登ったときに比較して,登山道の周辺の樹木は深い緑に覆われている.森の下草も,随分伸びていて,登山道に覆い被さっている.森の中では,ウグイスが活発に啼いている.相変わらず無風で,蒸し暑い.
8時44分に駒止茶屋を通過する.歩き始めてから,1時間7分経過している.ここまで,1時間以内で登れれば,山頂まで2時間10分台の所要時間が期待される.しかし,1時間を7分も超過しているとなると,今日の山頂までの所要時間は,2時間25~30分程度になると思われる.
やがて,見晴らしの良い堀山の尾根道になる.今日は,雲が厚く垂れ込めていて,富士山は全く見えない.そして,8時54分に堀山を通過する.
<雲が邪魔して富士山は見えない>
■山旅スクール5期(今10期)のYさんにバッタリ
ここまで来ると眠気もなくなり,気温も少し下がって,意外に涼しくなる.それにつれて,体調も次第に良くなって,足元も軽快になってくる.
9時02分に堀山ノ家に到着する.
すると,ベンチで休憩を取っている女性から,いきなり,
「あら,フラワーヒルさん・・・」
と声を掛けられる.私は,この女性に見覚えのあるような,ないようなで,誰だか分からない.
「山旅スクール5期のYです・・・いろいろあって,5期には余り参加できなかったので,今,10期でやり直しています・・・・」
そこまで,伺っている内に,山旅スクール5期に,Yさんが居られたことを,ボンヤリと思い出す.
Yさんは,同じく10期のキヨマさんと,塔ノ岳に登っているとのことである.キヨマさんは,言うまでもなく,私が塔ノ岳で知り合った山仲間である.来週,10期の修了山行,北岳登頂に備えて,今日,塔ノ岳に登っているという.Yさんは,どうやら,私の乗ったバスより,1本早い1番バスで来たようである.
Yさんと,丁度5分ほど雑談してから,私は先に行かせて貰う.
<今日の萱場平>
■意外に調子が良いぞ
堀山ノ家から先の急坂は,意外に調子よく登り続けられる.途中,崩落しそうになっていた階段道が,修理されている.
9時22分に戸沢分岐を通過する.そして,萱場平で定点観測の写真を撮る.梅雨が明けて間もないのに,萱場平は平年に比較して,とても良く乾いている.今日は,何時もよりも登山者が少ないためか,辺りに登山客は見当たらない.晴れていれば,前方に花立山荘付近の山が見えるはずだが,今日は今にも雨になりそうな薄暗い雲で一面に覆われている.
再び急坂に差し掛かる.何時もの場所で,上から下ってくる修験僧とすれ違う.1番バスで来られたと思われる登山客,数名を追い越す.
9時43分に花立山荘を通過する.楽しみにしていた富士山の眺望は全くない.花立場付近で,大倉尾根を2時間で登るご常連の方とすれ違う.私は,無事にペルーから帰国したことを報告する.
■塔ノ岳山頂に到着
9時56分に金冷シを通過する.私の前後に,登山客は殆ど居ない.辺りは次第に霧で覆われ始める.それにつれて,一段と涼しくなる.余り急いで登っても仕方がないので,涼気を味わいながら,楽な速度で登り続ける.
10時10分に塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は,5分の休憩時間を含めて,2時間33分である.実質,2時間20分台で登ったことになるので,暫く山行をしていない私にとって,まあまあの時間である.体力の衰えも,まあ心配するほどでもなさそうなので,ホッとする.
山頂からの眺望は,雲が多くて,あまり良くない.それでも,今日登頂した記念に,山頂からの眺望を数枚の写真に収める.
今日は,それ程,天気は悪くないのに,山頂で休憩を取っている登山客の人数が極めて少なくて,何となく閑散とた雰囲気になっている.
<塔ノ岳山頂からの眺望>
■尊仏山荘
すぐに尊仏山荘に入る.先客はご常連の男性,1人.および夫婦連れのお2人,計3人である.
早速,山荘の温度計で気温をチェックする.今日の10時15分現在の山頂の気温は+20.1℃.随分と暖かい.私は,番台に座っているHさんに,
「いや~ぁ・・・暑いですね・・」
と挨拶する.すると,Hさんが,
「今日は,まだ大分マシですよ・・」
と答える.
今日の小屋番は,Hさん,Oさん他,豪華3人体制である.私は小屋番にペルーから無事帰ってきたことを報告する.そして,ほんの暫くの間,私のペルー体験物語に花を咲かせる.
暫く雑談をしていると,突然,Hさんが,
「所で,2番バスには,どれくらい乗客が乗っていましたか・・・」
と私に定番の質問をする.やはり,来客の人数が気になるのだろうと思う.
今日は,どこへ行っているのか営業部長は不在である.残念.
Hさんが,
「スクールの小柄でほっそりした女性が,登ってきましたよ・・」
と私に報告する.小柄でほっそりした女性って,誰だろう?
私には誰だか分からないが,ヒョッとしてスケルトンさんかなと,勝手に想像する.
■ゆっくりと下る
10時48分に尊仏山荘を後にする.
山荘を出ると,私の方に手を振る女性が居る.先ほど合ったYさんである.どうやら,Yさんも,今日は調子よく登れたようである.しばらく雑談してから,私は大倉発13時22分発のバスに間に合うように,時間を調節しながら下山を開始する.
金冷シを過ぎる辺りから,同じバスに乗り合わせた何人かの方々とすれ違う.汗ビッショリの男性から,
「おや,もう山頂まで行って来られたんですか?」
と質問を受ける.
11時10分に花立山荘を通過する.急な下り階段を慎重に下り続ける.道端でホタルブクロが綺麗に咲いているのを見付ける.カメラを取りだして,花の写真を撮る.
<ホタルブクロが咲いている>
階段を下り続ける.萱場平に下る直前で,喘ぎながらユックリと登ってくる男性とすれ違う.
「花立山荘まで,まだ大分ありますか?」
と私に聞く.
11時45分に堀山ノ家を通過する.平坦な尾根道まで下る.この辺りまで下ってくると,木々の緑が一段と濃くなる.まるで深緑のトンネルを潜っているような気分になる.
雑事場ノ平を過ぎると,風が余り抜けない谷間の道になる.途端に,その辺りから,蚊の大群が襲来してくる.私は防虫剤を顔や手に塗りたくるが,一寸やソッとでは,虫はへこたれずに,まとわりついてくる.
急げば,12時52分のバスに間に合うかなと思ったが,わざわざ急ぐのも馬鹿馬鹿しくなり,返ってノンビリと下り続ける.そして,バスが出発して4分後の12時56分に大倉バス停に到着する.
[ラップタイム]
7:37 大倉歩き出し
7:42 登山口(335m)
7:51 丹沢ベース(415m)
7:58 観音茶屋(480m)
8:02 高原の家分岐(520m)
8:12 雑事場ノ平(610m)
8:14 見晴茶屋(620m)
8:30 一本松(780m)
8:44 駒止茶屋着(900m)
8:54 堀山(955m)
9:02 堀山ノ家(970m)(9:07までYさんと雑談)
9:22 戸沢分岐(1135m)
9:24 萱場平
9:43 花立山荘(1335m)
9:52 花立場
9:56 金冷し(1405m)
10:10 塔ノ岳山頂 着(1525m)
=====================================
10:48 塔ノ岳山頂 発(+20.1℃)
10:59 金冷し(1410m)
11:10 花立山荘(1345m)
11:28 萱場平
11:30 戸沢分岐(1145m)
11:45 堀山ノ家(985m)
11:53 堀山(975)
12:01 駒止茶屋(925m)
12:14 一本松
12:26 見晴茶屋(650m)
12:28 雑事場ノ平(635m)
12:36 高原の家分岐(550m)
12:38 観音茶屋(510m)
12:44 丹沢ベース(440m)
12:50 登山口(370m)
12:56 大倉 着(300m)
[山行記録]
■登攀・下降高度
塔ノ岳山頂 1491(m)
大倉 290
(高度差1201m)
■登攀所要時間(休憩時間を含む)
大倉発 7:37
塔ノ岳山頂着 10:10
(所要時間 2:33(2.55h))
■登攀速度
1201(m)/2.55(h)=471.0(m/h)
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:48
大倉着 12:56
(所要時間 2:08(2.13h))
■下降速度
1201(m)/2.13(h)=563.8(m/h)
(おわり)
前回の記事
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