中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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深い霧の塔ノ岳

2007年07月16日 22時26分39秒 | 丹沢の山旅

          今年29回目,深い霧の中の
             丹沢:塔ノ岳
             (単独山行)
          2007年7月16日(月)<海の日>

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■梅雨時の貴重な一日

 梅雨時なので,文句を言っても仕方がないが,こう毎日雨が降り続くと,気分が滅入ってくる。間が悪く,昨日(7月16日),九州地方に大変な被害を出した強烈な台風が,関東沖を通過したため,鎌倉でも,終日,強い雨が降り続いた。風はそれ程強くはなかったが,外へ出ると,なま暖かい風が吹いている。そんな悪天候のために,楽しみにしていたARENAグループの大倉尾根堀山への山行は中止になってしまった。
 そんな毎日の中で,今日(7月16日)は珍しく午前中に晴れ間があるという。運動不足でジリジリしていた私は,折角の好天候なので,先日中止した鎌倉天園ハイキングコースにある四国八十八箇所巡りの札所探訪に,ジャイアンさんを誘おうかとも思った・・・が,今日は鈍った身体を締めるために,塔ノ岳を往復することにした。私ごときのバカ者に相応しいバカ尾根を経由して山頂を往復することにした。
 実は,私は7月下旬の北アルプス五竜岳・鹿島槍縦走を手始めに,9月初旬までに南アルプス塩見岳・蝙蝠岳・徳右衛門岳縦走,北アルプス北穂高岳・奥穂高岳,南アルプス聖岳・光岳縦走を企画している。そのために一層体力を強化しておかなければならない。私は水を3リットルほどリュックに入れて,荷物の重量をいつもより3キログラムほど多い10キログラムにして登ることにした。

■山頂は雲の中
 渋沢から大倉尾根へのバスは,大型の観光バスが配車されているにもかかわらず,通路一杯になるほどの登山客で大混雑である。車内を見回したところ,ご常連はお一人だけのようである。
 バスは7時28分に大倉に到着する。例によってストレッチをしている間に大半の登山客は,先に出発していく。今日は休日のために若い登山者が沢山居るのが頼もしい。本音を言えば,沢山の登山者を避けるために,一番早く出発した方のだが,支度を整えるのにモタモタしていた私は,いつもより10分遅れの7時46分に,やっと歩き出す。
 気温はそれ程高くないようだが,湿度が極めて高いようである。大倉から山を見上げると,山頂付近は雲の中である。今日も眺望は利かないなと諦める。

■数珠繋ぎの登山者
 歩き出すと,すぐに汗をかき始める。登山口を過ぎて杉林に囲まれた山道にはいると,幾分ヒンヤリと涼しさを感じる。足下は,昨日までの雨のために水浸しになっている。小石を敷き詰めた路面はツルツルしていて,とても歩きにくい。
 1週間の運動不足のためか,それとも何時もより3キログラムほど重い荷物のためか,なかなか歩行リズムが掴めない。それでも,普段歩いていない一般の登山客よりは,大分速い速度で登り続けるが,沢山の登山客が数珠繋ぎになっているために,登山道が狭いところでは,ユックリと歩くことを余儀なくされる。
 8時16分に観音茶屋を通過する。大分沢山の登山客を追い抜いたが,まだ,前方には登山客の列が続いている。一方では,若い男性が軽々と私を抜いていく。別に競争をしているわけではないので,抜いたり抜かれたりは,どうでも良いことだが,自分のリズムが作れないのが残念である。
 
 
                    <何処までも続く登山客の列>

■ご常連と出会う
 8時21分に見晴茶屋を通過する。そして長い登り坂に差し掛かる。坂を登り切る手前の一本松付近で,下山してくるご常連の床屋さんに出会う。私が,
 「おや,今日は随分と早いですね・・」
と挨拶すると,
 「いえ・・・それが,今日は途中で足の膝が痛くなったんで,大事を取って登山を止めて引き返したんです・・・」
と答える。
 「そうでしたか・・・無理は禁物ですね。お互いに・・・それではお大事に・・」
 ご常連が故障するのは寂しい。暫く立ち話をしてお別れする。
 8時53分に駒止茶屋を通過する。今日の一本松から駒止茶屋のラップタイムは16分である。通常は13分で通過しているので,ここだけの区間で通常より3分も長く掛かっている。少々ユックリしすぎたかなと反省する。

■ホトトギスが盛んに啼いている
 雨は降っていないが,上空には厚い雲が立ち込めている。どうやらこの雲は標高1200メートル以上の所に掛かっているらしくて,三の塔や,越前岳の山頂は良く見えている。ただ,冬場には富士山が良く見える辺りには,雲が複雑に絡み合っていて,富士山は全く見えない。

              <曇り空に越前岳(望遠)>

 近くに見える丹沢の山々は,いかにも夏らしい濃緑の木々で覆われている。ホトトギスが,絶えずけたたましく啼いている。今日はウグイスの啼き声は殆ど聞こえてこない。そういえば,一時,聞き慣れていたツツドリの啼き声も,このところしばらく聞いていないような気がする。

■どうも調子が出ない
 堀山の家を通過すると,嶮しい露岩帯が続き,その後長い上り階段になる。フラフラとよろめきながら,超ユックリの速度で登っている登山者が行き先を塞ぐ。辛抱しながら,9時28分に戸沢分岐を通過する。その上の萱場平では沢山の登山客が休憩を取っている。登山道の近場で休憩を取っている人には,軽く挨拶をしながら通過する。
 やがて,花立山荘手前の階段に差し掛かる。少々申し訳ない気もするが,階段の途中で何人かを追い越す。すると,私の直ぐ手前を,ご常連の紳士,Nさんが登っている。
 「こんにちは・・・済みません。先に行かせて貰います・・」
と挨拶して,追い越させて頂く。
 9時50分,花立山荘を通過する。雲の中に入ったらしくて,眺望が全くなくなる。視界も50メートルほどしかなくなる。一面に立ち込める霧の中を登り続けて,10時03分に金冷しを通過する。何時もよりリュックを重くしたためか,あるいは1週間ぶりの山行のためか分からないが,何となく疲労感がある。無理をしては行けないと思って,歩行速度を幾分落とす。最後の真新しい階段に到着したときには,今日も無事登れそうだという安堵感が湧いてくる。
 10時18分に塔ノ岳山頂に到着する。バス停からの所要時間は2時間32分。リュックが重い,登山道が混雑していた,途中で雑談したなど,理由は幾らでも付けられるが,兎に角,不本意。もう少し体力を付けたいなと心底から思う。
 山頂には霧が掛かっている。無風。気温は17.7℃。比較的暖かい。霧の中で数名の登山客が休憩を取っている。
      
             <塔ノ岳山頂の観音様>

■尊仏山荘にて
 山頂で呼吸を整えてから尊仏山荘に入る。今日は休日のためか花立,大野両巨頭が小屋番をしている。先客は3名。どうやらご常連らしい。恒例の300円也のお茶を所望する。
 「2番バス,乗客は沢山居ましたか・・」
と私に聞く。
 「今日は観光バスのような大きなバスでしたが,立っている人も沢山居てギッシリでしたよ・・・」
 お茶を飲みながら,昼食を摂っていると,私より15分ほど遅れて,Nさんが到着する。Nさんが着席すると,定番のカップラーメンとお茶が自動的に運ばれてくる。
 お互いに雑談をしていると,2階からネコのミー君が降りてくる。ネコを見ながら,
 「やあ・・・営業部長の登場だな・・・」
とNさんが眼を細める。そうこうしている内に,3番バスで到着したご常連のX氏(顔は知っているが名前が分からない)が山荘に入ってくる。私の山荘到着時間との差から察して,X氏の登頂所要時間は約2時間30分。
 「花立山荘の階段を降りたところで,ご常連のカメラ好きの方が前のめりに転倒して,三脚を持っていた左手親指の付け根に怪我をしていましたよ・・・手伝えといわれて傷の手当てをしてました・・・『痛い,痛い』って言ってましたよ・・」
 「へぇ~だれだろう」
 「名前は分からないが,カメラ好きの人ですよ」
 「そうですか・・・時間から考えると『台風の眼を撮るんだ』って,昨日,山荘に宿泊していたYさんでしょう・・・何か花でも撮ろうとしたんでは・・・」
 「あんなところに花なんて咲いていませんよ・・・」

     ※地震が起きたのを知らなかった
        私が塔ノ岳山頂に到着する直前(10時13分),2007年中越沖地震(震度6強)
       が起きた。大惨事が起きているとは全く知らずに,山荘で雑談をしていたことに
       なる。帰途,JR小田原駅で,一部で列車の運行が乱れているようだとは思っ
       たが,帰宅するまで大きな地震があったとは全く知らなかった。

                


■慎重に下山
 雑談をしていたので,山荘を出るのが大分遅くなってしまったが,10時59分に山荘を出発する。いつの間にか,山頂では数十名の登山客が休憩を取っている。
 ご常連が怪我をしたと聞いた直後なので,慎重に注意しながら下り続ける。下山途中で,絶え間なく登りの登山客とすれ違う。霧の中を下って,11時26分に花立山荘を通過する。山荘前のベンチは,これから登山する人達で満杯になっている。山荘からの下り階段は,次から次へと登ってくる登山客が数珠繋ぎになっている。殆どの人が足元ばかり見て登っているので,その人達を避けながら下るのは結構大変である。
 花立山荘辺りから雲の下に出る。雲の下に出た途端に,明るい下界が良く見えるようになる。急坂は慎重に,慎重に降りていく。その間に,数名の登山客に追い越される。

             <花立山荘付近からの眺望>

 12時04分に堀山の家,12時22分に駒止茶屋,12時47分に見晴茶屋を通過する。ここからは危険箇所はないので,私も通常の速度に速めて下り続ける。途中で数名の高校生と思われる集団に追い抜かれる。

■大切な基礎技術
 高原の家からの道が合流する地点で,見晴茶屋にいた年輩の2人連れ男性が,強引に私を追い抜いていく。後ろ姿を見ると,危なっかしい腰高の姿勢で,フラフラしながら歩いている。
 「この二人は,丹沢ベース手前の滑りやすい石畳のところで往生するに違いない」
と直感する。案の定,石畳の所で,やすやすと逆に追い抜く・・・と,いっても私は何時も通りに歩いているだけ。
 13時14分に大倉バス停に到着する。下りの所要時間は2時間15分。何時もより10分ほど余計に時間を掛けた。それでも,結果的には,途中で追い抜かれた高校生の集団や2人連れよりも,5分ほど早く,大倉バス停に到着した。
 私はまだまだ登山の素人である。しかし,登山学校で歩行技術の基礎を曲がりなりにも教わっている。だがら,急坂や滑りやすいところを通過するときには,基礎を全く知らない人との差が歴然と現れることになる。
 「基礎技術は,本当に大切だな・・」
とつくづく思った次第である。

■大倉の青空市場
 バス停の横の広場で,青空市場がノンビリと開かれている。
 バスに乗るまでに時間があったので,一回りしてみる。大きなトマトが2個で100円。安いので,昼食代わりに購入する。


              <大倉バス停横の青空市場>

■ [ラップタイム]

 7:46  歩き出し
 7:51  登山口
 7:54  克童窯
 7:59  丹沢ベース
 8:06  観音茶屋
 8:10  高原の家分岐
 8:19  雑事場ノ平
 8:21  見晴茶屋
 8:37  一本松
 8:53  駒止茶屋
 9:02  堀山
 9:10  堀山ノ家
 9:28  戸沢分岐
 9:30  萱場平
 9:50  花立山荘
10:03  金冷し
10:18  塔ノ岳山頂着
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10:59    〃  発
11:12  金冷し
11:26  花立山荘
11:45  萱場平
11:48  戸沢分岐
12:04  堀山ノ家
12:13  堀山
12:22  駒止茶屋
12:35  一本松
12:47  見晴茶屋
12:49  雑事場ノ平
12:57  高原の家分岐
12:59  観音茶屋
13:05  丹沢ベース
13:07  克童窯
13:09  登山口
13:14  大倉

■登攀・下降高度   1201m
■登攀所要時間   2時間32分(2.53h)
 登攀速度 1201m/2.53h=474.7m/h
■下降所要時間   2時間15分(2.25h)
 下降速度 1201m/2.25h=533.8m/h
                     (おわり)



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