カラスといちごとクロッカスと

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紫の花、わたしの3月の庭

2024年04月05日 08時00分00秒 | キジカクシ科
2024.03.17撮影

わたしの3月のお庭には、紫の花がたくさん咲いています。花むしろになっていたり、なりかけているのもあります。庭中に散らばって増えているのもあります。

けしからないことに、園芸嫌いの東隣のおばさんとこの芝生にまで、出かけて行って増えているのがあります。やつら、楽しそうに咲いているんですよ〜〜、あちらの方がよく陽が当たるからね〜〜。反対隣の西隣の園芸好きのおばさんのとこへ移民したのもあります。こちらの方は、分け合えてうれしいです。

これらの、今咲いていている花は、みんな背丈の低い植物なので、スイセン(Narcissus)やチューリップ(Tulipa)のようには目立ちません。でも、咲きそろうと見事です。

今日は、そんな紫の花のうち、
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ亜科(Scilloideae)
の植物を5種類、並べてみます。

 
2024.03.18撮影               2024.03.18撮影

これは、古い属名 Chionodoxa「チオノドクサ」を通称とします。chion は「雪」、doxa は「光栄、輝き」という意味です。まだ雪の残っている時に雪を突き破って咲いてくる、ということでしょうが、そういう命名の花って、結構あるようですね。

チオノドクサの花の特徴は、中央が白いこと、そして、カップ状の副花冠があること。副花冠とは、花びらの内側にある花びらのようなものです。チオノドクサのツボミは、尖っています(左上の画像、右上の画像も)。

学名 Scilla forbesii「フォーブズのツルボ」
英名 Glory-of-the-snow「雪の輝き、雪の誉」
和名 チオノドクサ(古い学名から)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ亜科(Scilloideae)ツルボ属(Scilla


2024.03.04撮影

これは、学名の種小名 siberica から、シベリカと呼ばれます(シベリア原産ではないけれど)。花がうつむいて咲く(右下の画像)のと、花びらに筋が入る(右下の画像と上の画像)のと、オシベのヤクが青い(上の画像)のが、特徴です。ツボミの先は、チオノドクサのツボミのように尖りません(左下の画像)。

 
2023.03.04撮影               2024.03.19撮影

学名 Scilla siberica「シベリアのツルボ」
英名 Siberian squill「シベリアのスクウィル」
和名 シベリカ(学名の種小名から)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ亜科(Scilloideae)ツルボ属(Scilla

もうひとつツルボ属の花をどうぞ。

2024.03.14撮影

わ、花盛りですね。花の中央にある子房が、宝石のようです。

学名 Scilla bifolia「2枚葉のツルボ」
英名 Alpine squill「高山スクウィル」
英名 Two-leaf squill「2枚葉のスクウィル」
和名 ビフォリア(種小名から)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ亜科(Scilloideae)ツルボ属(Scilla

次の画像の個体は、庭のあちこちに生えている子どもたちです。土地で直接続いていない以上、球根が増えて個体が増えた、と言えないので、タネで増えたのだろう、となるのですが、媒介者が何かはわかりません。風??

 
2024.03.04撮影               2024.03.15撮影

ここからは、ツルボ属(Scilla)でないものをお見せします。でも、ここまでのツルボ属(Scillaと同じく、ツルボ亜科(Scilloideae)に属する球根植物です。

まず、ムスカリ(Muscari)。

学名 Muscari
英名 Grape hyacinth「グレープ・ヒアシンス」(ブドウのようなヒアシンス)
和名 ムスカリ(学名から)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ亜科(Scilloideae)ムスカリ属(Muscari

2024.03.21撮影

上の画像の2〜3色に色分けされたムスカリは、Muscari latifolium です。latifolium という種小名は、「幅広の葉の」という意味です。実際に、葉の幅が広めです。花の色は、園芸種により異なります(下の画像)。また、咲き進むことにより、花の色は変化していきます。この種の「花房」は、やや細く長い傾向にあります。

 
2024.03.21撮影               2024.03.12撮影

次の画像のムスカリは、Muscari armeniacum です。種小名の armeniacum は、文字通り「アルメニアの」で、原産地にアルメニアが含まれます。花の色は、他にもあります。花びらの先が、白い唇のようです。「花房」はややずっしりした形。葉の幅は細めです。


2024.03.21撮影

今日最後の、わたしの今年の3月の庭からの、ツルボ亜科(Scilloideae)紫の花は、ヒアシンスです。

学名 Hyacinthus orientalis
英名 Hyacinth
和名 ヒヤシンス
別名 ヒアシンス
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ亜科(Scilloideae)ヒアシンス属(Hyacinthus)

2024.03.18撮影

このわたしのヒアシンスは、随分前からわたしの庭に住んでいるんです。最初は、「ちゃんとした」まるまるとしたヒアシンス園芸種の形をしていたんですが、毎年、だんだん花数が少なくなってきました。茎に対して、すきすきに花がつきます。でも、これが、原種の形に近いのだと思います。

 
2024.03.04撮影               2024.03.17撮影

より「自然」に近いヒアシンスのツボミ(左上の画像)を見てみると、シベリカ(Scilla forbesii)やビフォリア(Scilla bifolia)のツボミとよく似ていますね?

わたしは、こんな感じに咲くヒアシンスが好きです。

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花むしろ

2024年04月03日 08時00分00秒 | キンポウゲ科
2024.03.17撮影

これは、キンポウゲ科のアネモネ・ブランダ(Anemonoides blanda)です。前回、取り上げました(アネモネ・ブランダ - カラスといちごとクロッカスと)。色は、白〜ピンク〜紫〜青と幅がありますが、この画像のような藤色(と言う?)が一般的です。

花むしろになって咲くと、次のように見えます。すべて、今年の3月17日の撮影です。



今年は、ピンク系・赤み系が見当たらないような気がする・・・ピンク系・赤み系、というのは、次のような色です。こういう色は、元々、多いわけではありませんけど

 
2006.03.27撮影               2023.04.04撮影

次の画像に写っているピンクの花は、アネモネ・ブランダではありません。ツルボ属(Scilla)の
ひとつで、通称はチオノドクサ、学名は Scilla forbesii「フォーブズのシラー」です。チオノドクサの花の色は、通常、青〜紫色ですが、これは、ピンクの園芸種で、通常のチオノドクサより大きいです。その名も「ピンク・ジャイアント」。

2024.03.17撮影

丈の低い花が畳のように広がって咲いているのを「花むしろ」といいますが、「むしろ」は漢字で「筵」です。でも、このような漢字を日常使うことはないので、「むしろ」とひらがなにしました。

でも、なぜ、「むしろ」になったのでしょう。わたしなら、「花ござ」と言いたいです。でも、「花ござ」というのは、模様を織り込んだござのことをいうので、避けられたのでしょうか。「花ござ」の方が、「花むしろ」より、美しく響きません?

 
2024.03.17撮影               2024.03.17撮影

うちには、アネモネ・ブランダの花むしろが2ヶ所にありました。でも、今年は1ヶ所だけのようです。例年よりずっと早く咲き出したし、今年は植物は不思議なことばかり。

去年(2023年)は、観測史上、世界的に見て最も気温が高かったそうです。今年(2024年)は、去年を上回ることが、もうすでに見越されているそうです。

アネモネ・ブランダは、明るい時には、上の画像のように、花びらを大きく広げます。でも、暗い時には、花を閉じ気味にして、「眠り」ます。明るくなると、また開きます。(中にはね〜〜、下の画像で見られるように眠りたがらない花もいるのよ、幼稚園のお昼寝の時間みたいだ。)

 
2024.03.20撮影               2024.03.20撮影

それでは、花の開いているところをもう一度ご覧ください。


2024.03.15撮影

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アネモネ・ブランダ

2024年04月01日 08時00分00秒 | キンポウゲ科
2024.03.17撮影

この花は、アネモネ・ブランダです。古い学名 Anemone blanda から取られた名前です。

学名 Anemonoides blanda
旧名 Anemone blanda
英名 Balcan anemone「バルカンのアネモネ」
和名 アネモネ・ブランダ
キンポウゲ科(Ranunculaceae)アネモノイーデス属(Anemonoides

アネモネ・ブランダは、現在、学名で Anemonoides blanda と呼ばれます。Anemonoides の語尾の -ides というのは「〜のような」という意味なので、Anemonoides(アネモノイーデス)というのは、Anemone に -ides がついて「アネモネのような」という意味になります。

アネモノイーデス属Anemonoidesに含まれる多くの種(しゅ)は、以前、アネモネ属Anemone)に入れられていました。

アネモネ・ブランダは、日本の固有種キクザキイチゲ(Anemonoides pseudoaltaica)にそっくりですね。「キクザキイチゲ」の「キクザキ」というのは、「菊咲き」キクザキイチゲ - Wikipedia

 2022.10.01撮影(エリゲロン)        2021.05.05撮影(アネモネ・ブランダ

アネモネ・ブランダが、そして、キクザキイチゲも、キクの花みたいなので、キク類の一例として、上に Erigeron karvinskianus(エリゲロン・カルヴィンスキアヌス)を、アネモネ・ブランダといっしょに並べてみました(上の画像2枚)。

両者の大きな違いは、
キク類
・「花」ひとつに見えるものは、花の集合体
・「花びら」1枚に見えるものが花
・中心は花びらのない花
アネモネ・ブランダ
・これでひとつの花
・中央にメシベ、その周りにオシベ

では、アネモネ・ブランダのふくらんだツボミをご覧ください。以下の画像は、今年2月から3月にかけてのものです。

 
2024.02.23撮影               2024.03.09撮影

 
2024.02.19撮影               2024.03.04撮影

アネモネ・ブランダも、他の植物同様、今年は早く咲き出しました。1月末に最初のツボミが現れました。

上の画像は、ツボミが色づいて、開く前の段階です。花柄の上部が曲がって、ツボミが頭を垂れています。細かいところを見てみると、花びらが花柄についている部分は、黒っぽいリングになっています。

2024.03.04撮影

上の画像は、花がもう少し開いてからですが、まだ頭を垂れています。葉の方は、葉っぱが1本の葉柄に「3枚」ついているのが見えます。そして、その葉柄は、軸から3本出ます。

次の画像は、花を上から撮影したものです。花びらがより開き加減になり、花柄の曲がり方も90度ほどに持ち上がってきています。

2024.03.20撮影

以下の画像では、後ろ姿を捉えてみました。両方とも雨に濡れています。

 
2024.03.09撮影               2024.03.09撮影

アネモネ・ブランダは、
・白
・薄い水色
・薄い藤色
・藤色
・薄いピンク
・薄い紫
・赤っぽい紫
・青っぽい紫
・濃い紫
というような色の幅で咲きます。以下は例です。

 
2024.03.21撮影               2024.03.21撮影

 
2024.03.14撮影(花びらの根本が赤っぽい)  2024.03.21撮影

 
2024.03.21撮影               2024.03.21撮影(花びらの根本が白っぽい)

 
2024.03.21撮影               2024.03.09撮影

2024.03.21撮影

次は、アネモネ・ブランダの花が、一部(右下4分の1)、陽に照らされた様子です。

2023.03.14撮影

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