方鉛鉱 Galena PdS 硫化鉱物 等軸晶系
Dal’Negorsk, Far-Eastern Region, Russia
ユーラシア大陸の東端には、わが国を含めて南北に連なる火山活動が起源の鉱床が連なっている。その北部、ロシアの東端部にあるのが、Dal’Negorsk areaである。スカルン環境にあり、比較的クリアな蛍石が多産している。また、他の産出鉱物も種類が豊富である。
写真は、玩具箱をひっくり返したように賑やかな包有物標本。Dal’Negorsk地域での方鉛鉱の産出は比較的多いが、蛍石に内包されている標本は少ない。蛍石の成長は前後二期以上あり、その後期のいずれかの時期に方鉛鉱が結晶し、再び蛍石の成長があって閉じ込められることとなった。蛍石は頗るクリアであるため、小さな八面体の方鉛鉱が浮かんでいるように見える。方鉛鉱の結晶が整っているために存在感が強いが、その前後にも他の包有物がある。
順を追って眺めると、最初の蛍石は六面体と八面体の集形で、その表面を覆うように微細な針状のブーランジェ鉱が晶出し、その後に蛍石の成長を経て方鉛鉱(六面体と八面体の集形)が結晶、再び蛍石の成長とほぼ同時に黄銅鉱と白い菱面体の苦灰石が姿を現わし、さらに蛍石が成長して十二面体と六面体の集形結晶となり、総ての鉱物を層状にとじ込めてしまった。もちろん鉱液と気泡も空隙と共に包有されており、子細に観察すると、方鉛鉱に接して気泡が見える。薄い隙間に浸み込んで筋状に見える部分も方鉛鉱であろう。
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