AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

ハマれねェ

2015-10-07 02:49:00 | 音楽・ライヴ
SLAYERの『REPENTLESS』が先月リリースされたんだが、率直に言う。

ハマれない。
何故だか(苦笑)。

今回のアルバムは、ジェフ・ハンネマンが亡くなり、デイヴ・ロンバードが去ってから作られたものだ。
かつてはジェフの遺産が入り込むんじゃないかという噂も出ていたが、ケリー・キングの弁によれば「それはない」との事だった。
つまり、アルバムはケリー一人によって作曲/作詞(場合によっては、トム・アラヤが作詞)を手掛けられたワケである。

このオリジナルメンバー以外は、件の毒グモによるジェフの代役を務めているEXODUSのゲイリー・ホルトに、最早SLAYERではデイヴの後任はコイツしか務まらないんじゃないかと思う存在になった、ポール・ボスタフ。

レコーディングには基本的にはトム、ケリー、ポールの3人が携わり、ゲイリーはギターソロに関与。
コレは近年のレコーディング方式と変わりはない。まァ、ジェフが作った曲に関しては、リズムギターはジェフが弾いていたが。

ケリーは「ジェフであればこんな風にやる筈だろう」という構想で曲も作ったらしく、成程不穏な雰囲気に関しては、ジェフを意識している感じはある。

しかし、
意識して作ったものと、自然に出て作られたものでは、差が出てくる。
ケリーのソングライティングを貶すつもりは毛頭ない。彼もSLAYERの名曲群を作り上げてきた一人なのは間違いない。
だが、ジェフと同等の質感を再現する事は不可能だ。

何というか、気負い過ぎている感じが強く、柔軟性を失っている気がする。
そういえば、『GOD HATES US ALL』もケリーが完全に主導権を握っている状態だった。
あのアルバムに関してはメンバー間でも色々と問題が生じ、内容は正にSLAYERなんだが何か無理してるっぽい感じはあった。

そこに生じた違いは、やはり埋めつくし難いものなのだろうな、と思うのは時期尚早なのか。
まだ、アルバムと向き合う必要はある。

あと、ドラマー観点から言えば、デイヴとポールの質感の違い。

ポールの凄さは勿論承知済み。
何せ、音源でやったことを忠実に表現するからね。
デイヴは時が経ってからかなり変化(進化っつって良いのかな?)させ、過去のアルバムでのドラミングを表現しなくなったのに対し、ポールは絶対にそこを崩さない。
コレはEXODUSやTESTAMENTに関わった時も同様で、第一線級スラッシュメタルバンドの中での腕の振るいから、「鉄人ドラマー」と称されるのもごもっともである。

しかし、そこは飽くまでもオリジナルメンバーのやった演奏をプレイするに当たっての凄さである。
自身がオリジナルで携わるプレイに関しては、別の話となる。

「ポールはデイヴよりも優れたドラマー」という評価をする向きも当然居るのは承知しているが、ソレは上述した事に限って言えば、の話だとオレは思っている。
技術面で言えば、これまで歴戦の猛者バンドに入り、その殿を務めてきたポールは間違いなく「上手いドラマー」であり、デイヴよりもテクニックを持ち合わせていると考える事は可能だ。

だが、
デイヴはSLAYERの黎明期を支えてきたドラマーであり、異常なまでに個性の強いドラマーでもある。
現代のドラマー視点から見れば、デイヴよりも速くテクニカルなドラマーは腐るほど居る。
そのドラマー達ならば、デイヴのやってきたSLAYERのドラミングをこなす事も難しい事ではないだろう。
しかし、彼の凄まじさはドラム全体に現れる個性的なドラミングだ。
ソレが既にSLAYERの初期から埋め込まれたグルーヴであり、そのグルーヴはSLAYERから離れても尚、存在し続けている。

彼のグルーヴを真似する事は出来ない。
この意見は、ジェフとケリーとの違いに於いても言える事だ。

自身の存在を音としてそのまま表しているかの様な個性を発揮している人間は素晴らしい。
そして、バンドにとっても重要なものになる。

メタルシーンにとっても、あれだけユニークな演奏者が揃っているバンドも稀有な存在だ。
メンバーの抜けた穴は、やはりとてつもなく大きい。