ルーカス・クラナッハ(父)(Lucas Cranach der Ältere)のLucrezia(ルクレツィア)が5億円超で売却された。
先日NYのChristie's(クリスティーズ)で上の絵が競売にかけられた。
予想の5倍、5.070.000ドル(日本円でおよそ5億4000万円…で間違いないですか?)の値が付いた。
詳細はこちらのクリスティーズのサイトで。
この作品を所蔵していたのは同じくNYのBrooklyn Museum(ブルックリン美術館)
私は行ったことはないのだが、”ニューヨークで2番目に大きな美術館で、150万点の作品を所蔵していると言われている。エジプト美術が充実し、アジア・アフリカ・オセアニア美術も常設。また、多数の浮世絵を所蔵していることでも知られている。”Wikipediaより
ブルックリン美術館がこの作品を売りに出したのは、新型コロナウィルスによる経営難の為とのことで、このケースが経営難を救うための手段としてコレクションを売買したアメリカ初の美術館となった。
ブルックリン美術館は、この競売に10点をリストにあげ、そのうち9点が買い上げられ、トータル6600万ドル(およそ70億円…合ってるかな?)の売り上げを得た。
そして現在同美術館所蔵の2枚の絵画が今月20日までオンライン上で売られている。
また10月28日には7作品がSotheby’s(サザビーズ)で競売にかけられる。
これらはClaude Monet(モネ), Jean Dubuffet(ジャン・デュビュッフェ)、 Edgar Degas(ドガ), Joan Miró(ミロ), Henri Matisse(マティス)の絵画と Carlo Mollino(カルロ・モリ―ノ)のデッサンでトータル12500万ドル(およそ132億円)の売り上げが見込まれている。
これが新型コロナの為の経営難でコレクションを手放す最初となったが、このあと次々に同じことが起きるのだろう。
仕方がないこととは言え切ないね。
でも収入を得る手段があるだけましなのかなぁ…
早く収束して欲しい。
そうしないと記事がこの手の話ばかりになってしまう…
参考:http://www.artemagazine.it/attualita/item/
詳細な情報ありがとうございます。
https://kanpou.npb.go.jp/old/20180903/20180903c00166/pdf/20180903c001660095.pdf#search
また、ルーブル美術館が2011年に買った三美神が4億6千万円、2015年にサザビーズのオークションで「真実の口」が17億円で落札された、とのこと。
https://plaza.rakuten.co.jp/sakisakisf/diary/201510140000/
サザビーズのページでは
http://www.sothebys.com/en/auctions/ecatalogue/2015/old-master-british-paintings-evening-sale-l15033/lot.8.html
大きさやテーマの人気度、質(真筆か工房作かの程度)などを考慮すると、今回のルクレツィアの5億4千万円も、まあ妥当な数字かと思います。(大きさのデータは下記のデジタルアーカイブス参照)
クラーナハ作品のデジタルアーカイブス
http://lucascranach.org/gallery
今回売却のブルックリン美術館ルクレツィア(
http://lucascranach.org/US_BMNY_21-142
西美のユディト
http://lucascranach.org/PRIVATE_NONE-P121
真実の口
http://lucascranach.org/PRIVATE_NONE-P179
三美神
http://lucascranach.org/F_MdLP_RF2011-1
なお、以前から西美が所有しているクラーナハの「ゲッセマネの園の祈り」はこのデジタルアーカイブスには掲載されていません。本国ドイツなど海外の研究者にはこの絵はクラーナハ作品と認められていないのか、あるいは日本から論文などの情報発信がないためかは分かりません。(西美でユディトとゲッセマネの2枚が並んで展示されているのを見た時に、両方とも例の「翼のある蛇」のサインがあったので、少なくとも工房作ということは言えると思います。)