お盆休みも過ぎ、今日は少しだけ涼しくなった。
このまま秋へと向かってくれればいいのだが…
さて、お盆期間唯一出かけたのがこちら。
行こうかどうか迷っていたのだが、友達に誘われたので行ってみた
「マイセン 動物園展」
昨年のヘレンド展に続くヨーロッパ名窯シリーズ。
今回おもしろいのは、マイセンの中でも動物に特化していること。
マイセンは1710年、ヨーロッパ初の硬質磁器を生み出した名窯。
17世紀のヨーロッパでは中国や日本の磁器がもてはやされていたものの、純白で薄いのに硬く、艶やかな硬質磁器を作ることが出来ず、列国の王侯貴族、事業家たちはなんとしてもその製法を見つけ出そうと躍起になっていた。
なかでもドイツのザクセン選帝侯アウグスト強王(驚異的な怪力の持ち主であったことから「強健王(Mocny)」「ザクセンのヘラクレス」「鉄腕王」などの異称で呼ばれた。今回は「アウグスト強王」で統一。ポーランド王、アウグスト2世モツヌィでも兼ねる。)は、東洋磁器の屈指の蒐集家であり、アウグスト軍に属する兵士600人とプロイセンの王が所有していた中国の壷151個を交換したという逸話も伝わっている。(参考:マイセン)
(写真:Wikipedia)
アウグスト強王は、磁器を蒐集し、城館を飾るでは飽き足らず、なんとかして磁器を制作したいと考えていた。
そこへ金を作ることが出来ると大風呂敷を広げ、プロイセン王フリードリヒ1世の不興を買い、ベルリンを追われた、錬金術師ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーを知る。そしてこれ幸いとベトガーを捕まえ、アルプレヒト城に監禁して磁器製造の秘法を研究させた。
(写真:Wikipedia)
ベトガーは1708年、ようやく磁器に近いものを作り上げ、1709年には白磁製法を解明、1710年、ついにヨーロッパ初の硬質磁器を作ることに成功した。
その後アルブレヒト城は、王立磁器製作所となり、1864年まで磁器の製作が続いた。
ヨーロッパの王の名前ってあまりにも似たり寄ったりで、全然ピンと来ないのだが、この人だった。
(写真:Wikipedia)
ドレスデンの壁画に描かれたアウグスト強王
彼はザクセン選帝国の首都ドレスデンを主要な文化的中心地に変え、ヨーロッパ中から芸術家や音楽家を宮廷に招聘、ドレスデンとワルシャワに美しいバロック様式の宮殿を建設した。更に優れた芸術作品の蒐集家でもあった。
ヨーロッパ有数の美術館の1つドレスデン美術館 (Staatliche Kunstsammlungen Dresden)のコレクションの充実を図ったのも彼。
2010年、私ドレスデン行ってます。
この美術館にも行きました。しかしブログ探したらなんと一言「ラファエロのシスティーナの聖母よかった~」だけだった。
実はこの旅は、私が未だにかつて経験した旅してきた中で、一番過酷だったので、美術館のこと、よく覚えてない。辛うじて食べ物のことだけ書いてるところが自分らしいと言えばらしいが…
ロストバゲッジに始まり大雪で3日足止め、最終的には電車でフランクフルトからフィレンツェに戻ったのでした。
確かマイセン陶磁や日本の陶磁器コレクションも見た…気がする。
強王は日本の陶磁器の中でも特に「柿右衛門」にぞっこんで、ツヴィンガー宮殿に「日本宮Japanese Palace」を建設し、すべての部屋を磁器で埋め尽くそうとしたらしい。さすがにその夢は果たせなかったそうだが、東洋磁器のコレクションはおよそ2万5千点に及んだとか。彼の死後、戦乱などでそのコレクションは散逸してしまった。
アウグスト強王が1711年から1728年にかけて十数年をかけて建立したツヴィンガー宮殿は、第2次世界大戦で破壊されてしまったし。(1960年までにほぼ元通りに再建されたが)
また、日本の陶磁器でいっぱいにしようと考えられていた「日本宮」の大広間には、「メナージュリ」と呼ばれる、珍しい動物を集めた動物園を全て陶磁器で作る予定だった。
この時代、宮殿内に本物の動物、特に珍しい動物を集めた動物園を作ることが流行っていたらしいが、それを強王は”生”ではなく陶磁器で作ろうと考えた。それはある意味権力の誇示であり、”永遠”を求めたのではないのだろうか?
そういう背景からの今回の展示会なんだろうなぁ、ということでようやく展覧会の方へ。
全体は4章から構成されていた。
第 1 章 神話と寓話の中の動物
神話や偶像がテーマの作品の中にいる動物たち。
私はこの表現豊かな猿のオーケストラが会場で一番良かった。
第 2 章 器に表された動物
ここではマイセンを代表するシリーズの「スノーボール」が中心。
(写真:パナソニック美術館HP)
これ、とにかく細かいです。花は1つずつ取り付けられているし、中に鳥がいたりもする。
大きい作品からコーヒーカップやポットまで、どれも決して実用的ではない。
第 3 章 アール・ヌーヴォーの動物
19世紀末から20世紀初頭にかけ、ヨーロッパの美術工芸界ではアール・ヌーヴォー(ドイツ語圏ではユーゲント・シュティール)と呼ばれる様式が流行、これは曲線の多用に代表される有機的なフォルムを特徴とした様式で、マイセンでもその流行に乗った作品が作られるようになった。
曲線を生かすため、マイセンでは色彩部分でイングレイズという技法を導入。これは釉薬の中に絵具を染み込ませ閉じ込める技法で、柔らかな見た目と磁胎と釉薬に挟まれたことによる定着性が特徴と言える。
ここではその柔らかい色合いを生かし表現された犬や猫、ペンギンといった動物たちの様々な表情を見ることができる。
第 4 章 マックス・エッサーの動物
アール・デコ期のマイセンに数多くの優れた動物彫像を遺したマックス・エッサーは「ベトガー炻器」と呼ばれる赤茶色の焼物で「カワウソ」を創作し、1937年のパリ万国博覧会でグランプリを獲得した。
マックス・エッサーは1920~30年代のマイセンでモデラーとして活躍した彫刻家で、マイセンにおけるアール・デコ様式を確立した一人。ベッドガー炻器で制作した動物彫刻が彼の代表作と言えるが、こんな作品もある。
ゲーテの叙事詩「ライネケのキツネ」をモデルにした作品。
狐を頂上に抱く
合計120点というけど、出店数は決して多くはないがその9割は日本初公開だとか。
9月23日まで(水曜日休館) パナソニック美術館で開催
ルオーギャラリーもこちらの展示期間に合わせて「ルオーとジャコメ」という特別展開催中。
会場入り口で「ようこそマイセン動物園へ」というビデオが流れているが、これを見てから会場に入った方が分かりやすかったな、と個人的には思った。
やばいな、ドレスデンにもう1度行きたくなった。
参考:パナソニック美術館HP
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回答が遅くなって申し訳ありません。
個人的にはアメリカ式だと思ったのですが、確証が欲しかったので、ネットで探したところ、やはりアメリカ式(手のひら上)の動画が有りました。更に念のため今日イタリア人と結婚している友人やイタリアに住んでいたことのある友人と会ったので、彼女たちにも確認しましたが(このために回答が遅くなってしまいました)、やはりみんなアメリカ式と言っていました。南も北も同様にアメリカ式、日本式は見たことがないと記憶しています。
カレール・ファン・マンデルの北方画家列伝註解
というのを遠くの図書館から借りてきてよんだのですが、
・コルトレイクのピーテル・フレリックおよびカーレル・ファン・イーペルという画家たちの伝記
194-207p のうち 199pに、
ピーテル・フレリック(1539-1581)がイタリア・ローマに行ったときイタリアの小都市で日本式の手招きをされて勘違いして遠ざかったところ、実は違っていた、招いていた。という逸話が書いてありました。
16世紀から21世紀までの間にボディーランゲージが変わったのではないか?
ちなみにドイツ、オランダ、英国など北方は全てアメリカ式だったようです。
きょう(8月25日)にギュスターヴ モローの展覧会に行ってきました。あべのハルカス美術館です。今年の1月5日にパリのギュスターヴ モロー美術館に行ったので楽しみにしていました。展示の方法、特に照明はこちらの方が優れていて見栄えがしました。きのうは愛知県に行って、キスリング展とクリムト展に行ってきました。
非常に興味深い記述ですね。ジェスチャーも言語同様時代と共に変化するものなのでしょうか。それとも小都市だからでしょうか?
次回訪伊の際には注意深く見てみようと思います。
週末は美術館三昧だったのですね。
あべのハルカスはおととし「北斎展」の時に行きましたが、あの時はすごい人で会場の印象があまりありませんが、東京の会場よりそちらの方が良かったのかもしれないですね。また確かにモロー美術館より見やすかったですね。
今話題の愛知ビエンナーレにも行かれたんですね。私は数回ヴェネツィアのビエンナーレに行ったことがありますが、どうも現代美術にはあまり興味が惹かれないようです。
12月から東京で「ブダペスト展」があるようです。