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ハリーポッターシリーズ第五話「不死鳥の騎士団」Harry Potter and the Order of the PhoenixのDVDを見ました。原作は登場人物が多く38章と長編ですが、映画では集約化しながら、テーマを明瞭化し、よくまとまっていました。原作・訳本とDVDと比べて異なるところもあります。第四話に引き続き、少し紹介します。
■ 吸魂鬼Dementorに襲われた時刻に、3時間の差
公園の帰り道でダドリーDudleyとハリーHarryがディメンターに襲われ、魔法で危機を脱して、急いで夜道を帰宅したハリーに、魔法省から退学通知が届く。学校外で使用禁止の魔法を使ったことが理由で、魔法使用時刻が記載されている。原作では夜の9時23分過ぎだが、映画では6時23分過ぎで、3時間も異なる。高緯度のロンドンは、7月の日没は午後8時21分。映画の6時23分では外は明るく、夜道を歩くシーンと矛盾する。原作の時刻が正しいが、20時過ぎまで外が明るいことや遊んでいることに疑問が湧くので変えたのかな。
■ ペチュニアおばさんAunt Petunia
ハリーの母親リリーLilyの姉であるペチュニア叔母さんは、原作では今までとは少し違った描き方がされ、ハリーを守るためにペチュニアだけが持つ役割が明かされるが、映画では省略されている。
■ 不死鳥の騎士団のメンバー The Order of the Phoenix
ハリーを迎えに来た騎士団メンバーは原作では9人だが、映画では5人(ムーディMoody、トンクスTonks、キングズリーKingsley、ディグルDiggle、ジョーンズJones)。ルーピンLupinとドージDogeはブラック家で出てくるが、バンスVanceとポドモアPodmoreは原作の役割が映画にないので出番が省略。なお、映画では、ルーピンのセリフはムーディが代読し、ドージは会議室で後姿のみで登場。ウィーズリーWeasley夫妻、マクゴナガルMcGonagall、スネイプSnapeも確認できる。
■ 由緒あるブラック家The Noble and Most Ancient House of Black
原作では、魔法族の純血主義がテーマになっており、伝統を守りマグルMuggle嫌いのマルフォイMalfoy家、ブラック家、ベラトリックスBellatrixたちが、純潔だがマグルに理解があるウイーズリー家やシリウスSirius、マグルと結婚して生まれたトンクスたちを憎み対立する人間関係が描かれている。映画では、ネビルNevilleの両親を苦しめた悪人のベラトリックスが、悪を重ねるという構造に単純化しているようだ。
■ 不死鳥の騎士団創立時のメンバーOriginal Order of the Phoenix
ダンブルドアが設立した不死鳥の騎士団の創立時の集合写真。原作では、ムーディーがハリーに見せるだけだが、映画では、ホグワーツHogwarts行き列車の見送りに来たシリウスが、ハリーに渡している。ダンブルドアDumbledoreの弟アバーフォースAberforthが映っているが、これは今後の伏線だろうか。
■ 説明は無いけど原作に忠実な場面
トンクスがブラック家の会議室に入るとき、傘立てにつまづく。初対面のルーナLunaは雑誌クイブラーQuibblerを上下逆さまで読んでいる(汽車と馬車の違いがあるが)。薬草学が得意のネビルが登場するとき、サボテンを持っている。ハリーがキスするときヤドリギが下りてくる。ナーグルNarglesだらけって何だろう。
■ 登場人物に役割集約化
ネビルの両親のことについて、ネビルのおばあさんが告白する役割を、映画ではネビルに集約。チョウChoの友達が告げ口することについて、映画ではチョウが魔法薬で自白を強要されたことに。ダンブルドア軍団の練習場所は屋敷しもべのドビーDobbyに教わるが、映画ではネビルが見つけている。
■ 予言prophecyを壊したのは
原書では、ハリーがネビルを引っ張り上げた際、ネビルのポケットが破け、予言がこぼれ落ちて壊れてしまう。ハリーが壊した。映画では、デスイーターDeath Eatersに捕まった友を助けるためにハリーがマルフォイに予言を渡した後に、騎士団たちが現れ、戦いの中で壊れてしまう。マルフォイが壊したことになっている。
■ 乗り移ったボルデモートVoldemortが逃げ出すのは
原書では、一体化する苦しみの中で名付け親のシリウスのことを思ったとき、ボルデモートは離脱していく。映画では、ハリーが愛や友情を持っていることがボルデ゛モートとの違いだと気づいたとき、離脱していく。映画では、ダンブルドア軍団による共闘など、友情をテーマにしており、テーマが明確化し、わかりやすくなっている。
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第7話ハリーポッター原作と映画の違い「死の秘宝 PART2」
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