『小さな革命・東ドイツ市民の体験』ふくもとまさお 言叢社刊
ひさしぶりにページを繰るたびに感情の波が押し寄せてくるノンフィクションを読んだ気がする。
必読の一冊。
「ドイツ統一」
と五文字で済ませてしまうことができない、かつての東ドイツの人々の生活とその激変ぶりが丁寧に語られていく。
大上段からドイツ統一のドラマを語ったものでもないし、その問題点を政治や経済の視点で分析したものでもない。
基本的にはベルリンの壁崩壊からドイツ統一を経て今日に至るまでの 「東ドイツ市民」のインタビューで構成されている。
この本を読むまで、「東ドイツ」に対しては秘密警察が生活を統制していた 「東側」というイメージしか持っていなかった。
だから、東西ドイツが統一されてよかったね、といった脳天気なイメージというほどではないにしても、ベルリンの壁崩壊のエピソードとか、せいぜい文中にあった映画『グッバイレーニン』のイメージが辛うじてあるだけだ。
実際にその大きな
「世界史的事件」
を、市民はどう受け止め、どう生きたのか、その息遣いが伝わってくる労作である。
日本人としてこの本が読めることをとてもうれしく思う。
二つの全く異なる政治体制を生きた人々(市民)の声を聴くことは、今の日本に生きる自分にとって、大きな意味がある、と感じた。
ちょっとピントが甘くなる表現なのを自覚しつつそれでも書いておくとすれば、 日本もようやく今になって、この失われた20 年(もしくは戦後70年)の時を隔てて、東西ドイツの統一が抱えていた課題と向き合おうとしているのではないか?
そんな思いすら抱かされる。
ぜひ手にとってご覧になることをお薦めしたい。
ひさしぶりにページを繰るたびに感情の波が押し寄せてくるノンフィクションを読んだ気がする。
必読の一冊。
「ドイツ統一」
と五文字で済ませてしまうことができない、かつての東ドイツの人々の生活とその激変ぶりが丁寧に語られていく。
大上段からドイツ統一のドラマを語ったものでもないし、その問題点を政治や経済の視点で分析したものでもない。
基本的にはベルリンの壁崩壊からドイツ統一を経て今日に至るまでの 「東ドイツ市民」のインタビューで構成されている。
この本を読むまで、「東ドイツ」に対しては秘密警察が生活を統制していた 「東側」というイメージしか持っていなかった。
だから、東西ドイツが統一されてよかったね、といった脳天気なイメージというほどではないにしても、ベルリンの壁崩壊のエピソードとか、せいぜい文中にあった映画『グッバイレーニン』のイメージが辛うじてあるだけだ。
実際にその大きな
「世界史的事件」
を、市民はどう受け止め、どう生きたのか、その息遣いが伝わってくる労作である。
日本人としてこの本が読めることをとてもうれしく思う。
二つの全く異なる政治体制を生きた人々(市民)の声を聴くことは、今の日本に生きる自分にとって、大きな意味がある、と感じた。
ちょっとピントが甘くなる表現なのを自覚しつつそれでも書いておくとすれば、 日本もようやく今になって、この失われた20 年(もしくは戦後70年)の時を隔てて、東西ドイツの統一が抱えていた課題と向き合おうとしているのではないか?
そんな思いすら抱かされる。
ぜひ手にとってご覧になることをお薦めしたい。