21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

由利公正

2015年12月20日 13時34分22秒 | Weblog
歴史上の人物で好きな人は?

A. 由利公正
五箇条の御誓文 を起草した人で、
初代の財務大臣(?)
初代の東京都(府)知事

です。
生まれながらのエリートで、財政家です。 紆余曲折も少なく順調に出世をしたため、人生に面白味がありません。

しかし、彼の人生を復習することで、「貨幣とは何か?」 「国債とは何か?」 「労働とは何か?」 「資本とは何か?」への理解が深まります。


 日本政府の債務残高はGDPの250%に達しています。 発行済み国債の最大保有者は、日本銀行です。

今、彼の人生を学びなおすことは、日本が今置かれている状態を正確に理解するために必要なことだと思います。

白川デフレとインフレ恐怖症

2015年12月20日 12時51分47秒 | Weblog
 日本銀行には「インフレ恐怖症」が根付いている。 このインフレ恐怖症には、論理的根拠がなく、宗教的な信仰に近い。
 白川総裁の時代では、インフレ恐怖症のため、必要な金融緩和処置が進められず、日本経済は「白川デフレ」に陥った。 黒田総裁に変わり金融緩和は進んだが、白川デフレからの脱却には、まだ時間がかかりそうだ。 黒田総裁の「異次元金融緩和」でもインフレは発生していない。この点からも、白川総裁時代に日本銀行が罹っていた「インフレ恐怖症」には、全く合理性が存在しない、ことが分かると思う。


 日本銀行は、職員の採用方法に致命的な欠陥を抱えている。日本銀行の採用では、面接を通して「異質な」候補者が徹底的に排除される。そのため、組織の中には「イエス・マン」だけしか残らない。 欠陥のある経済理論を信仰して、金融政策で間違いを繰り返しても、日本銀行内では自浄作用が働かない。 日本経済の「失われた25年」は「失われた30年」になろうとしている。 (25年前に新卒で採用され、25年間も日本経済停滞政策を進めてきた日本銀行職員は、既に50歳前後だ。)





インフレとは物価の変動のことである。インフレ率を理解するためには、「インフレ」の定義と「貨幣・資金」の定義を見直してみればよい。

 資金には「供給量」と「流通量」がある。
供給量とは、市場にある資金の絶対額で、stock(蓄積額)である。
流通量とは、市場で動いている資金の額で、follow(取引額)である。

 一部の人は、資金の「供給量」が増えるとインフレになると信じている。 しかし、この考えは間違っている。資金の絶対額が増えても物価は上がらない。
 自分の生活を思い浮かべて欲しい。例えば、宝くじが当たって貯金額(資金額)が増えたと場合、高級品が買いたくなるかもしれない。 しかし、安物に高い値段を払おうとは思わないはずだ。 高級品の売り上げが伸びることは、インフレではない。 安物の値段が上昇して初めて、インフレと定義される。
 資金の供給量が増えただけでは、インフレは起きない。

 一部の人は、資金の「流通量」が増えるとインフレになると信じている。 しかし、この考えも間違っている。 流通量が増えるだけでは、物価は上がらない。
 自分の生活を思い浮かべて欲しい。 例えば、給料が上がって収入(流入額)が増えたとする。 新しい物が欲しくなるかもしれない。しかし、安物に高い値段を払おうと思うだろうか? 売上が伸びることは、インフレではない。 安物の値段が上昇して初めて、インフレと定義されるのだ。
 資金の流通量が増えるだけでは、インフレは起きない。




 日本経済再生のためには、社会での「デフレ・マインド」を破壊する必要がある。インフレ目標を達成するためには、日本銀行は、金融政策を通して日本人の心理状態をひっくり返す必要がある。 年間80兆円の金融緩和規模を、年間160兆円に膨らませたところで、それだけでは、インフレは起きない。 しかし、デフレ・マインドの破壊には影響があるかもしれない。 

 年間160兆円規模の金融緩和では、狂乱物価にはならない。 たとえ別の要因(例えば関東大震災)で、狂乱物価が発生するとしても、「インフレ」を正確に理解していれば、狂乱物価を抑え込むことは簡単だ。
 戦前・戦後の歴史を振り返る限り、日本銀行にはインフレを理解している人材が存在しなかったように思える。 あれだけ間違いを繰り返せば、自浄作用のある組織であれば、インフレ要因を正確に理解することができる。 しかし、残念ながら、日本銀行には自浄作用が存在しない。



 日本銀行での仕事が長引くにつれて、黒田総裁も「インフレ恐怖症」に感染してしまったようだ。 抗生物質を飲むなどして、インフレ恐怖症を克服し、インフレ目標達成に向けて、通常業務に戻ってもらいたい。

「安倍売り」と日銀追加緩和

2015年12月20日 12時06分06秒 | Weblog
 安倍首相が経済政策を発表すると、株価指数が下落する。 この株の投げ売りが「安倍売り」である。 経済政策に根本的な構造改革が含まれないために失望売りが出るからだ。
 今回は、3.3兆円規模の補正予算が発表され、株価が大きく下落した。 バラマキ政策では、ゾンビ企業が延命し、新興企業の成長を阻害するため、長期的な経済成長にマイナスの影響を与える。


 「アベノミクス」として、株価指数は2倍以上に上昇した。 これは、政府の経済政策への期待感ではなく、日本銀行が現金を印刷してバラ撒いているからである。 日本円の価値が下落するため、相対的に株価が上がっている。
 安倍首相が経済政策を発表して株式が投げ売られるたびに、黒田総裁が現金をバラ撒いて株価を押し上げてきた。

12月18日の市場では、この流れが止まったようだ。 「安倍売り」で株価が下落した。 黒田総裁の金融緩和規模が十分ではなかったため、株価の再上昇の流れが滞っている。


 実効性のある景気対策がない首相官邸に引きずられる形で、日本銀行も金融緩和処置から実効性が薄れ、対応が横滑りするようになってしまった。
 謝罪も反省もないまま、黒田総裁は「2%のインフレ目標」を放棄してしまったかのようだ。


 発明家エジソンの発想を借りると、「100回の失敗は、100回の進歩」らしい。しかし、「失敗から学ぶ」ためには、まず失敗を失敗として認めて反省し、正面から問題点に向かい合わなければならない。 「同じ失敗は繰り返さない」と強い意志がなければ、失敗から学び成功に近づくことはできない。


 日本銀行は「2年間で2%のインフレ目標」達成に失敗した。 さて、彼らは失敗と認識をして反省をし、成功に近づくための努力をしているのだろうか?
 企業間物価の先行期待値も下落傾向があるし、(企業側ではなく)労働組合側がベースアップ要求の拡大に慎重だ。
 黒田総裁が、口先だけで「デフレ・マインドの打破」を訴えても、金融政策が停滞しているために、現実の企業間・労働者間ではデフレ・マインドの固定化が進んでいる。 「白川デフレ」を克服するのは簡単ではない。

 日本経済成長のためには、「デフレ・マインドを破壊」する必要がある、と私は思う。 日本銀行は、低インフレ率を目指して金融緩和を拡大するべきだ。


 白川総裁時代の日本銀行は、口先での言い訳ばかりで実効性のある金融政策を取らなかった。その結果として、日本経済は未だに低成長・「白川デフレ」に苦しんでいる。
 当時の日本銀行も、狂乱物価を杞憂し萎縮していた。 黒田総裁に交代し、「狂乱物価を杞憂」する時代は終わったかのように思われた。 しかし、黒田総裁も日本銀行勤務が長引くにつれて、「インフレ恐怖症の宗教団体」に洗脳されてしまったかのようだ。

 年間70兆円規模の量的金融緩和では、0%台のインフレ率が1%台までしか上がらなかった。 1%台のインフレ率を2%台に持っていくためには、追加でもう70兆円規模の量的金融緩和が必要なのだろう。 黒田総裁には、ぜひ現実を見てもらいたい。金融緩和規模は、追加で年間70兆円引き上げるべきだ。

 日本銀行の研究室に引きこもって50年前の経済理論を参考に金融政策を取ることを止めてもらいたい。 中小企業を回り地方銀行を回って、現実を見て、21世紀の経済理論をもとに金融政策を進めてもらいたい。

 資金の流動定数は著しく低下している。 年間140兆円程度の金融緩和規模では、年率2%のインフレ率に達しない可能性もある。 少なくとも、年間140兆円規模の金融緩和では、狂乱物価を心配する必要は全くない。