日本総合研究所調査部金融ビジネス調査グループ編『グローバル金融危機後の金融システムの構図』金融財政事情研究会, 2010
2008年3月ベアスターンズBear Stearnsが資金繰りにゆきづまり 事実上ベアスターンズは破たんし 政府保証のもとでJPモルガンに救済合併された。
2008年9月リーマンブラザースLehman Brothesが破産申請し、メリルリンチ はバンクオブアメリカに買収され AIGに政府は850億ドル規模の融資をして救済し実質国有化された。(この後者が起こす衝撃がいわゆるリーマンショックである)。
アメリカ企業は社債利回り低下を背景に社債による資金調達を増やし その資金で自社株買いを行うことで株高を演出していた。
日本の低金利政策 円資金借り入れ 海外に投資という円キャリートレードcarry tradeが少なからず行われる(海外の投機資金を日本の低金利政策が生み出していたと批判される。)
自己資本規制の低かった投資銀行では 過大なレバレッジが生じた。また大手金融機関では オフバランス取引を拡大し 自己資本規制を潜脱していた SIVをつかい レポ取引 証券を購入し さらにそれを担保に借入➡高レバレッジ
問題の一つは 証券化という手法での資金調達と預金という資金調達方法の比較で 前者がより不安定だということ 証券化という手法に頼ることで不安定さが増したこと。シンジケートローンは伝統的金融機関が預金をベースに行うという限りでは 市場型間接金融であっても 取り入れ資金に安定性がある。(大垣さんはシンジを市場型与信といっているが(バルクセールも加えているが)、むしろポイントは預金がベースという点にあるのではないか。大垣さんは社債との対比で規制回避の側面があるとしている。 大垣尚司『金融と法』2010 第11章以下。)
銀行同様にリスク変換機能を果たしながら、規制を受けない資産変換(risk変換)の仕組み 中国の理財商品や先進国のヘッジファンドなどシャドーバンクをどうみるか、これらはレバレッジの拡大(借り入れた証券を担保に借入が増えるなど)というリスクの拡大もしている。参照 天谷知子『金融機能と金融規制』2012, 179-181以下ほか。
VaR 統計的手法で市場リスクの予想最大損失を算出する指標 市場が大きく動く場合はこの手法では十分でない。1)ヒストリカルデータ十分でない 2)計量モデル自体に問題がある など
VaR shock 2003年に金融機関がVaR管理により大量に国債を売却 金利上昇が増幅された
アイデア:マクロリスクの測定 マクロVaR
アンバンドリングunbundling unbundle(業務プロセスの専門分化)➡自分のプロセスだけに関心 全体のリスクをだれもが把握できない
➡ アンバンドリングについて、天谷は業務のアンバンドリングとリスクのアンバンドリングに分けることができると指摘。またアンバンドリングの原因として規制逃れregulatory arbitrageを指摘。天谷知子『金融機能と金融規制』2012, 123-124
完全競争の前提 参加者の原子性(他の参加者に影響を与えない) 現代の金融市場では保証されていない。
自己資本規制の景気循環増幅効果(プロシクリカリテイprocyclicality)➡2004年のバーゼルⅡの問題点とされ バーゼルⅢでは修正された点の一つ。
マクロプルーデンスmacro prudence 金融システム全体の安定性が、中央銀行の金融政策を役割として従来より比重が置かれている。他方で中央銀行が行えることは、一国レベルでは限界も。
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