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英国のEU離脱(Brexit ブレグジット)

 

2019年3月29日 合意なし離脱の可能性濃厚

2018年12月10日 メイ首相 離脱案が英議会否決濃厚のため採決延期 

   メイが引退して労働党が政権をとると 鉄道 郵便といったインフラの再国有化 法人増税 金融取引税増税など 現党主のコービン氏は強硬左派とされる

2018年12月5日 コックス法務長官からの助言内容全文公開

2018年12月4日 EU司司法裁判所法務官が他の加盟国の同意なくとも英国は一方的に離脱を撤回できるとの見解を表明
2018年12月4日 英議会で離脱案審議始まる

2018年11月25日 英国とEUは離脱案(EU関税同盟に事実上残す 厳重な国境管理をさけるため北アイルランドにはEUルール適用)。ずっとEUルールにしばられるのは属国と同じと保守党に一部が反発(下院定数650 保守党315のうち100以上造反)。離脱時期(2019年3月末)の変更は全会一致の賛成必要。漁業者 移民など離脱支持の国民も少なくない。経済界はEUとの経済関係維持する協定案に賛成。

2018年11月14日 複数の閣僚の反対押切 離脱案の閣議で了承 翌15日 ラーブ離脱相 マクベイ雇用年金相 バラ北アイルランド閣外相ら政権幹部4人が辞任

2017年6月8日 英国総選挙(4月18日 メイ首相が緊急声明で発表) 保守党は過半数割れにおいこまれる(メイ首相の求心力は低下)。やはり6月からEUとの間で清算金などの交渉。(2017年6月の国民投票で英国民が離脱を選択。2017年3月にEU基本条約第50条により正式に離脱を宣言。2019年3月29日にEU離脱)しかし離脱までの方針をめぐり保守党内部に異論抱える。論点:移行期間、清算金(独仏は具体的提案を英国に迫る 議会での基盤の弱さから具体的提案を出せない 離脱派にとっては巨額の清算金は受け入れがたい)。事業の移転先への免許申請には約1年かかる。実質的リミットは2018年秋(10月)とされる。複雑なネットワーク、サプライチェーン。EU市民の権利保護。移行は混乱生む可能性。安全保障など利害一致する面もある。

英国内では離脱後もEU規制をうけることには反発が強い。英国は合意がないまま2019年3月に離脱する可能性を想定しはじめている。輸出入税関などの手続きで取引や移動が制限される可能性。国境の人員の増員。金融取引。年金受取、医薬品など。

その後 優先協議事項で進展。市民の権利(英国在住のEU市民320万 EU在住の英国市民120万の権利はそれぞれ守られる・・・これは英国側の協調姿勢 とされ2017年6月22日欧州連合首脳会議に出席した時にメイ首相が示したもの)。清算金(EU財政負担の約束を尊重で妥結)など離脱条件の議論を優先して議論。アイルランドとの国境問題は先送り(プロテスタント系が多い北アイルランドとアイルランドの国境。厳格な管理は避ける。英国・アイルランド。アイルランドの輸出の15%は英国。これに対し英国と同一条件でEU離脱を支持する北アイルランドの民主統一党DUPは強く反発。EUはアイルランドの立場を支持。またスコットランドはEU残留支持が高い。)。EU側は英国提案の「モノの自由貿易圏」創設構想を拒否。まとまらない場合、英国から交渉期限の延長を申請する必要がある。

移行期間(激変緩和策となりうる 2年程度EU単一市場に残留 その間 法律制度予算の負担に応じて自由貿易協定FTA交渉を進めたいのがイギリス側 EU側は短期間での離脱求める 部品の輸入・製品の輸出の双方で英国製造業に打撃 人材確保の面でも問題 単一免許が不可能になると免許再取得が必要になり自由な資金移動も困難になる)をめぐる議論を2018年1月以降進めることになる(2017年12月15日 EU首脳協議)。

欧州連合とイギリスは2018年2月5日 移行期間の協議にはいった。3月までの合意を目指すが、合意できなければ(無秩序な離脱に備えて)英国からの企業流出が加速すると心配されている。交渉の難航が予想されるのは、与党政権内にEUとの関係を重視する穏健派と、EUの規制からの決別を求める強硬派が対立し、メイ政権の方針そのものが固まっていないため。このためか、英国側は離脱後の移行期間について約2年としつつ、状況に応じて延長できる仕組みを求めた(2018年2月21日)。これに対し遅くとも2020年12月末までとの方針のEU側が反発している。また移行期間中のEU規制の拒否権についても、英国側が拒否権を主張して、EU側と対立している。EU側は移行期間中のEUルールの順守 紛争が生じた場合はEU司法裁判所が司法を担うことを主張している。なおFTA交渉に3~5年はかかるとみられている。

将来関係についての自由貿易協定の議論は2018年3月以降。
3月22-23日に首脳会議で暫定合意が成立。2020年12月までを移行期間としてEU単一市場関税同盟への残留が決まった。今後、自由貿易協定を結べば落着とは言えない。金融サービスについて英国はEUに対して同等性評価の適用を求めるにあたり、金融規制を互いに相互承認する方式を求めているが、EU側は認めるのはEU側の判断だとしておりこの点は交渉になる。FTAへの以降は、税関税手続き、原産地規則も適用。通関手続やFTAの関税撤廃・削減の範囲も今後の交渉による。英国側はモノについては規格・基準でEUと共通のルール採用で、厳格な国境管理や複雑な税関手続きを回避する方針。しかしEU側は移動の自由など加盟国の義務を免れながら恩恵を受け続けることを警戒。英国を特別扱いしない方針。EU側は北アイルランドをEU残留を提案、これに英国は激しく反発している。2018年10月に合意事項を盛り込んだ政治宣言の取りまとめが予定されている。

2017年3月29日 イギリスのメイ首相はEUに離脱を通知した。今回の通知は3月13日に英国議会がメイ首相に離脱を通告する権限を与える法案が通過したことによるもの。リスボン条約によるもので交渉期間は2年間。EUのGDPの16%を占める英国の離脱はEUにとっても大きな意味を持つ。今後 英国はEUへの拠出金をすでに一部を未払い、今後凍結する可能性もある(EU側は600億ユーロ支払わないと交渉に応じないとされる)。離脱後のEUとの枠組をどうするか。FTAに移行しても貿易量が大幅に減少するとの予測がある。世界の金融センターの位置を維持できるか(パスポート制度の維持は困難とされる)。英国は最大限のアクセスを求めるが、EU側は交換条件として移民での譲歩を迫る構え。英国は今後英連邦の国々との結束を高める構え(米英間で自由貿易協定)。EU離脱は英国への投資の減少につながるという意見もある。しかし国民投票で52%の国民が離脱の意志を表明したことは重い。

EUの中央集権化 独善的EU官僚の跋扈 EU維持コストの拡大 失業の増加 中間層の所得の停滞 南欧の経済格差の放置

独善的ドイツは均衡財政主義で緊縮財政を各国に求める ➡ 欧州に広がる不満

英国でも2008年以降5年続いて実質所得の低下 デフレ状況で移民が増加 ➡ 賃金の低下でマイナス成長へ 残留を希望するのはグローバル資本主義の恩恵を受けている大手企業やエリート層。また移民により 階級分裂高まり 移民排斥感情増加。他方で国内で事業を営む中小企業には完全な離脱を望む声は多い。

2017年1月17日 英国のメイ首相(キャメロン政権時の内相)は EUからの完全離脱を表明した。単一市場への残留を放棄した形。こうした議論は強硬離脱(ハードブレグジット)とよばれていた。なお残留を主張するのが穏健離脱(ソフトブレグジット)派。しかし残留には英国以外の加盟27国が反対して離脱の連鎖を防ぐ構えで、この穏健離脱の主張は現実を無視したものであるため、強硬離脱は避けらえないとの見方が広がっていた。他方、英国には資金拠出の拒否という手段がある。(移民はEU法受入より)移民制限や司法権独立を優先した形。3月末までに通告(通知を受けてEUは正式渉開始のスタンス)、2019年3月が期限(通告から2年以内に脱退協定締結とリスボン条約にある)。議会の承認手続きを考えると交渉の合意は2018年10月。単一パスポートは維持できない見通しのため、日本企業としては欧州大陸にも拠点必要に。加盟国の離脱は1993年のEU発足以来初めて。メイは表明のなかでEUに限定されない自由貿易協定FTAの促進を主張。EUが離脱に厳しい条件を付けるという観測があるが、もしそうならますます英国民の離脱への決意はかたまるのではないか。

2017年1月16日に1ポンドは1.2ドルを割り一時1.19ドル台後半まで急落した(ポンド相場は2016年9月頃までは1.3ドル前後。10月に入り1.2ドル台に急落。2017年1月にさらに1.2ドルを割り込んだ。ポンド相場は2014年半ばまで1.6ドル前後。2014年半ばから次第に下げる展開で2017年に1.2ドル割れとなった。なお2016年10月7日に瞬間的に。1.2ドル割れとなる、フラッシュクラッシュが起きている。10月7日早朝に1.26ドルから1.14ドル台に急落。これは1985年以来31年ぶりの歴史的安値。株式取引同様に電子取引の影響が指摘されている。)。ポンド安はブレグジットがもたらす英経済への影響を懸念したもの。ポンドの下落は英国の輸出を伸ばす側面とともに物価上昇につながっている。

英国経済は高い対内直接投資(2013-14年。対GDP比で日本4%程度に対し60%超え。25年間に英国の人口が1000万近く増えたのは移民を受け入れたから。高齢化も緩やか)。英国の不動産価値が今後急落とも。

他方 英国の金融界はEUの金融規制を嫌っていたともされる(却って競争力を低下させる)。税制面(低い法人税のほか税金優遇 補助金などで自由度高まる)でも離脱はEUの制約を逃れるメリットもある。

2016年6月23日の国民投票の結果(開票は24日)、英国のEU離脱(BREXIT)が決定した(投票権は18歳以上。離脱51.9% 1741万742票 残留48.1%1614万1241票  登録に対する投票率72.2%)。離脱すると経済が下振れするとの脅しに離脱派の英国民は屈しなかった。離脱支持はイングランド、ウェールズで高く、逆にスコットランドや北アイルランドでは低かった。逆に残留はロンドン、スコットランド、北アイルランドで高い結果になった。つまりはっきりと地域差があった。年代的には若い人に残留が多く、高年齢層は離脱支持が多かったとされる。ただ改めてはっきりしたことは、キャメロン首相(7月にテリーザ・メイ氏に交代 サッチャー以来の女性の首相)は肝心のイングランド、ウェールズの多数派を代表しておらず、社会経験や歴史を踏まえた高年齢層の支持も得ていなかったことだ。つまりキャメロンあるいは残留派に、イングランドを代表して発言する資格がないことだ。

興味深い例は、金融取引税(に象徴される金融規制)は残留により導入されようとしていたが英国は反対していたことで、この点だけからいえば、残留派の金融界の利害と離脱派の主張が重なる点である。この対立を改めて考えると、英国は、通貨の問題を含め、EUのすべてを受け入れていたわけではなく、これまでもEUを都合よく利用する側で自己都合を主張する存在だった。そのロジックを進めた一歩先にあるのが、国民投票による今回の離脱決定だった。もともと英国政府が行っていた、EUの都合のよいところだけを利用するご都合主義的な考え方が、今回の離脱決定を招いたのではないか(英国は1999年のユーロ導入当初からユーロへの参加を見送ってきた。金融政策という主権の保持にこだわり、自国通貨ポンドの保持を続けた。国境管理を続けた点ではシェンゲン協定1996年とは距離を保った)。

このほか税制面でも低い法人税率で企業を誘致しようという英国のスタンスはEUの規制的な考え方とは違っていた。

EU残留派は、EU離脱が決定すれば「英国は解体する」「英国の景気は後退する」と脅しをかけ続けた。そして今後おそらく明らかになるのは、残留派の人たちの英国離脱の動きである。つまり残留派の人たちは、EUのもとにある英国を利用するだけの人たちで、自分たちの生活のためなら英国という場所にとどまるつもりもなく、まして英国地方経済のことなど少しも考えていなかったことが暴露されることになる。それこそが残留派と離脱派の対立の根にあるものではないか。離脱派に労働者が多く、残留派に都市部の高学歴層が多いとされる。

実は2014年9月18日に英国はスコットランド独立の是非を問う住民投票を経験済みである。この時の投票権は16歳以上。即日開票の結果、独立賛成が44.70% 161万7989票、反対が55.30% 200万1926票。で独立が否定された。このときも独立派を抑えるために、経済的デメリットを強調する戦略がとられ、それが成功した。スコットランドは英国面積の3分の1を占め、北海油田もスコットランド領海内。独立派は、スコットランド単独でEUに加盟する構想を示したが、不安を一掃することはできなかった。今回の離脱決定を受けて、スコットランド行政府のスタージョーン首相はEUに単独でとどまる可能性を模索。同様の動きは、ロンドンや北アイルランドにも広がっている。

米国のトランプ旋風と合わせてポピュリズム(大衆迎合主義)が指摘される。離脱派は移民が増えることへの不安心理や恐怖につけこんだとされる。しかし大衆迎合、地域主義が悪いことで、EU残留が正しいことという主張には強い違和感がある。

残留決定によるポンド安(2016年6月離脱決定直後 さらに2016年10月英保守党大会でメイ首相が離脱で強硬姿勢を示したことで1985年以来31年ぶりのポンド安となった)で英国に投資資金の流入が始まった。また奇妙だが、金融緩和期待から残留決定にもかかわらず株価は上昇している。オズボーン財務相は2016年7月に入り、法人税率引き下げ加速の方針を明らかにしている(2016年現在20%を15%以下とするというもの 12.5%のアイルランドと対抗する)。イギリスの法人税率はフランス33.33% ドイツ29.72%よりもともと低い。離脱により、こうしたワガママはやりやすくなったのでは(もともと 2017年に19% 2020年に18%に下げる構想があった…2015年7月)。

キャメロンの後継者のテリーザ・メイ首相は7月20日ドイツのメルケル首相(2017年に総選挙を見込む)と会談。離脱には準備期間が必要とした(NATOの枠組み維持 テロ対策での連携 移民抑制 単一市場への参加等の実現 欧州の自由貿易市場EECに対し1963年に加盟申請, ECへの加盟が認められたのは1973年。EC 2004年にポーランド、ハンガリーなど中東欧諸国10ケ国を受け入れ現在は28ケ国 中東欧加盟により英国労働市場を目指す人の動きが始まった)。

欧州市場へのアクセスが維持できるか ポンドでの決済は維持されるか 金融機関向けパスポート(金融業免許の相互利用)は離脱後もEU域内で通用するか 英語圏の人材の厚み 金融関連サービスの厚み(法律会計コンサルなど) 柔軟な労働市場

リスボン条約により 離脱は欧州理事会に通告して始まる 通告後2年でEU法は英国内で失効(交渉期間は全加盟国が認めれば延長できる) 現在は年内は通告しないと メイが言っているという段階

英国 イングランド ウエールズ スコットランド アイルランド 混成している スコットランドには独立を求める動き そしてアイルランドでは統一(北アイルランドとアイルランド共和国の)を求める動きがある

2018-12-11(2016-06-26;2016-07-21;2017-06-23)

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