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日本印度学仏教学会に参加して

2007-09-06 20:07:12 | Weblog
9月6日(木)台風接近【日本印度学仏教学会に参加して】(徳島空港の夕焼け)

徳島の四国大学で「日本印度学仏教学会 第58回学術大会」が、4日、5日の二日間開催された。今日は台風の接近で大荒れの天気だが、徳島での二日間は素晴らしい晴天に恵まれた。会場とされた四国大学の真鍋俊照教授は、この日のために度重ねて止雨法を行じられたそうだ。さすがに真言宗のお寺のご住職である。

発表は10の部会に分かれて行われたが、聞きたい発表が同じ時間帯であったりして、分身の術を使えればと思ったほどであった。発表者も日本全国のみならず、遠くアメリカ、また台湾、韓国からの参加者もあり盛会であった。

四国での印仏学会は、大会史上、初めてのことだそうだ。お四国参りの札所はほとんど弘法大師の真言宗のお寺が多い。特別講演会・シンポジウムもお四国に因んで、弘法大師と四国遍路について行われた。ハーバード大学東アジア学部の阿部龍一教授による「アメリカにおける空海研究」、高野山大学名誉教授の高木元先生による「弘法大師空海の新研究ー真言教学形成の端緒」と題して講演が行われた。高木先生の講演は、空海と最澄の間の灌頂に関するドラマともいえるやりとりについて、長いご研究の結果至り得た究極のご意見を拝聴できた。先生の学識の深さと、熱い語りに感動を覚えた。

シンポジウムのテーマは『四国遍路』であった。真鍋俊照教授が司会をされ、種智院大学の頼富本宏学長、東京大学の末木文美士教授、高野山大学の静慈圓教授、四国大学の田中省造教授、同じく四国大学の白井加寿志講師等がパネリストをつとめられた。

私自身、出家のきっかけはお四国参りに始まるので、まことに興味深く拝聴させていただいた。

国際仏教学大学院大学の教授であり、本会の理事長である木村清孝先生には「仏教研究の現在と将来について」という題で、現実社会に役に立ち、意義のある仏教研究でありたいこと、かつ現実の問題にたいしても、きちんと文献的なこともふまえて発言していくこと等等、示唆に富んだ提言をしていただいた。(9月4日)

発表については多岐にわたっている上、200人以上の発表なので、全てをご紹介できないが、いくつかをご紹介したい。

*慧可と慧遠の『楞伽経』四種仏身理解(柳 幹康)
*真諦の阿摩羅識説について(吉村 誠)
*怖畏の概念による華厳と法華における慈悲実践の問題(陳 永裕)
*天台智の地論四宗義批判について(山口弘江)
*宋代天台における「二空」の詮釈について(林 鳴宇)
*維摩経における救済思想(西野 翠)
*忍辱と慈しみに関する一考察(加部富子)
*Samyutta-nikayaにおける「滅智」について(大森一樹)
*中世曹洞宗禅語録に見る師檀関係(伊藤良久)
*中世日蓮教団の起請文に関する基礎的考察(堀部孝二)
*パーリ聖典における中道(孫 思凡)
*中世尼寺の像を考察する(Lori Meeks)
*「婆沙論」諸本の相互関係(佐々木閑)
*『法華経』と『菩提処胎経』の比較研究(Legittimo Elsa)
*大乗経典の帰敬文(渡辺省悟)
*存在の把握ー五蘊と界(村上真完)
*『正法眼蔵』「現成公案」巻冒頭の一節の解釈(角田泰隆)
*恵心学派と本覚思想(花野充道)
*妙好人伝とその周縁(龍口明生)
*他多数

最後に、会場になった四国大学の会場係の学生の方々が、本当に親切な応対でこれは心に残った。また四国大学の学生さんによる阿波踊りを見せていただいて、これもまた楽しかった。

この度は研究所から参加させて頂いたのであるが、本当に勉強になった二日間であり、私自身益々しっかり学びたいと心を新たにした学会であった。