安倍政治打破が十分に可能である根拠
10月に衆院選が実施され、安倍政権が続投してしまう事態が生じた。
比例代表選挙の結果を見ると、主権者のなかで自民党に投票した者は17.9%、自公に投票した者は24.6%だった。
主権者の6人に1人しか自民党には投票していない。
主権者の4人に1人しか自公に投票していない。
しかし、自民党は議席総数の61.1%を占有した。
自公では67.3%の議席を占有した。
他方、立憲、希望、共産、社民の野党4党に投票した主権者は、全体の25.2%だった。
こちらも主権者全体の4人に1人の比率だが、自公に投票した者よりは多かった。
そして、この野党4党が獲得した議席は、議席総数の25.6%にとどまった。
野党4党に投票した主権者の方が多かったのに、議席は全体の25%しか獲得できていない。
これに対して、得票の少なかった自公が議席総数の67%を獲得した。
この選挙の結果として、安倍自公政権が存続することになった。
安倍政権与党は衆参両院の3分の2以上の議席を占有し、憲法改定を発議できる状況を確保したのである。
森友学園、加計学園問題で、安倍首相は政治を私物化し、行政を歪めている。
多くの主権者が、そう判断している。
それにもかかわらず、安倍首相は説明責任を果たさない。
さらに、自ら進んで、「もし関わっていたら総理大臣も国会議員も辞める」とも明言した。
だから、主権者の多数が安倍首相には首相の座から降りるべきだと考えている。
ところが、10月選挙で安倍政権与党が多数議席を維持してしまったために、安倍政権が存続してしまうことになった。
2012年12月の第2次安倍政権発足以来、安倍政治は暴走を続け、日本の諸制度が破壊されてきた。
そのなかで、政治を私物化する行政の破壊までが表面化してきたのである。
10月総選挙は、安倍政治を退場させる重要な機会であったが、この機会を主権者は十分に生かすことができなかった。
しかし、過去に囚われていては、未来を失うことになる。
心機一転、できるだけ近い未来に、日本政治を刷新するための具体的行動を始動させなければならない。
失敗は成功のもと。
失敗の本質を把握して、次の成功につなげてゆかねばならない。
基本的な条件は決して悪くない。
その基礎条件を生かす対応ができなかったことに問題がある。
安倍政治を刷新するべきだと考える主権者は多数存在する。
自公政権支持派と政権刷新派との比率は、ほぼ互角であると考えられる。
真っ向勝負をして勝利できる可能性は十分にあるのだ。
現有議席に目を奪われると、基本判断を誤ってしまう。
この点をはっきりと認識しておく必要がある。
これまでの民進党が主権者国民から完全に見放されていたのに対して、10月総選挙では立憲民主党が広く主権者の支持を集めた。
この意味を正確に読み解く必要がある。
そして、もう一つ見落とせない点がある。
それは、立憲民主党の躍進の背景に、共産党の支援があったという事実だ。
共産党は多くの選挙区で候補者を取り下げた。
その上で、共産党が立憲民主党候補、および一部の無所属立候補者を支援した。
その結果、立憲民主党が多数議席を獲得したのである。
この二つの点をしっかりと認識して、今後の戦略を構築しなければならない。
民進党が支持を失い、立憲民主党が支持を得た最大の理由は、政策の明確化にある。
民進党は与党なのか野党なのか分からない、鵺(ぬえ)のような存在だった。
自公補完勢力としての民進党に魅力を感じる主権者はほとんどいないのだ。
民進党のあいまいさを払拭して、安倍自公政治に正面から対峙する方針を明示したからこそ、立憲民主党の支持が伸びたのである。
そして、立憲民主党の政策路線が明確になったからこそ、共産党との共闘が機能したのである。
次の国政選挙に向けて、
政策の明確化
と
共産党を含む野党共闘体制の確立
を実現することが鍵を握る。
10月選挙結果が示す、この本質を正確に洞察することが日本政治刷新にとって必要不可欠なことである。