60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

自己表現

2011年01月07日 09時16分28秒 | Weblog
干支が変わる度に「又一つ歳を取る」と自分の加齢を思い知り、加えて昔の仲間からの年賀状に
孫の写真が目に付くようになると、仲間のほとんどが次の人生を歩き始めていることを実感する。
そんな皆に比べると、私はまだズルズルと仕事を続けている。サラリーマンであれば自分の意思とは
無関係に強制終了になるのだが、個人で仕事をやっていると、じり貧になりながらも、「まだ良いか?
まだ大丈夫か?」と、なかなか踏ん切りがつかないのである。例えて言えば婚期を逃した独身男が
仕事にかまけてズルズルと歳だけを取っている、そんな感じであろうか。

「会社として立ち行かなくまるまでやる」、それとも「ある時点でけじめをつける」と迷うところである。
このことで、もっとも自分の気持を躊躇させているのは「仕事を辞めて有り余る時間をどう使うか?」
なのである。リタイアした仲間に聞くと差はあるものの、最大の悩みは「やるべきことがない」である。
限られた年金の中では大きく制約される行動、その中で何をするのか?それが最大の課題である。
私も「もうそろそろ次のことを考えなければ」、そんなことを切実に思ってしまうのも年の初めである。

もう10年前くらい前だろうか、NHKラジオの深夜番組で老齢の作家(名前は判らない)が、「老後の
心得」と言うことで喋っていたことを記憶している。ある部分、先日書いた曽野綾子の「老いの才覚」
と共通するが、老後は幾つかの課題があるようで、ラジオで言っていたのは次のようなことである。
老後というのは最近の「無縁社会」ではないが、一人で暮らすことを前提にしなければいけない。
歳を取るほどに親戚縁者は遠くなり、子供は自分の事情が優先するようになる。伴侶は何時病気で
倒れるかも判らないし、一人残される可能性大である。そんな時に頼れるのは自分だけなのである。
そのための心得として、確か5つの心得を上げていたように思う。

その一つ目が「健康」、これは歳に関係なく当然のことである。特に歳を取ってからの病気や怪我は
致命傷になりやすい。健康管理は徒やおろそかにしてはいけない。
ニつ目が「お金」、先立つものはやはり金、限られたお金でどう工夫して暮らしていくか、金銭管理は
死ぬまで付いて回ることである。
三つ目が「自分のことは自分でする」、一人になることが前提であるから、炊事洗濯から家事一切、
それから役所や近所との付き合いまで、諸事万端全てを自分で出来るようにしておく必要がある。
四つ目が「ネットワーク」、仕事を離れれば、今までの仕事絡みのネットワークは立ち消えて無くなる。
だから老後のネットワークは全てプライベートのネットワークにならざるをえない。だから今までの人脈
を維持し、新たなつながりを模索していく必要がある。孤立するか否かは本人の心がけ次第である。

五つ目は「自分を表現する手段を持つこと」、今までは仕事を通して自分を表現してきた。そして仕事
をするということはある種の生きがいでもあった。仕事を辞めることでこの表現手段を失うことになる。
だからこれに変わる「自分を表現する手段」を持つ必要がでてくる。「表現手段」、これは何でも良い。
料理を作ることが好きであれば、料理で自己表現をする。絵を描くことでも、楽器を演奏することでも、
短歌や俳句を作ることでも、写真を撮ることでも、陶器を作っても何なら野菜を作っても良い、とにかく
自分が好きで続けられること、そして出来ればその「発表の場」があること、これが大切なようである。
そしてこの自己表現の手段を沢山持っていればいるほど、老後の日々が楽しく充実するようである。

この話しを聞いたのは、まだ50代の時である。それ以来この言葉は私の頭から離れない。自分には
「仕事以外に自己表現する手段がない」、これが私の大きな悩みにもなり、ネックでもあった。そして、
リタイアするまでに一つでも二つでも、続けられる自己表現手段を作っておくことがテーマになった。

今こうして毎週ブログをアップすることも一つの自己表現である。毎週散歩の途中にデジカメで写真を
撮り、それを編集して何人かにメールで送る。これも自己表現と言えば自己表現である。ニンテンドウ
の絵心教室で絵の基本を覚え、いずれ絵筆を持ちたい。こう思うのも表現手段の獲得のためである。
あと自分に何ができるだろうか?・・学生時代に習っていたクラシックギターをもう一度始めようか?
近所に住む昔の仲間に畑を借りての家庭菜園を誘われているが、さあどうしよう? 小金井公園の
ボランティアに応募してみるか?考えられる候補は幾つかある。今年一年何とかして自己表現と言う
苗木を何本か植えてみようと思う。それがうまく育つようであれば、その時こそ次の人生へのステップ
を自信を持って踏めるような気がするのである。

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