住宅街というのは何処でもあまり変わらないのだろうか。
ひと度足を踏み入れると自分が何処にいるのかわからなくなってしまう。
なんの変哲もない住宅地をしばらく歩くと、もりもりとした森をたたえた大きな鳥居が現れる。
この森こそ、元糺の森。木嶋坐天照御魂神社の境内地だ。
忽然と現れたその森は想像以上に深くまた、濃い。
木の上では鳥たちが鳴いていて心地よいどころか少し怖い。
神秘的という言葉がふさわしい場所。住宅地に取り残された異世界だ。
境内左手に位置する「元糺の池」に目をやると不思議なものがぽつねんと建っている。
神社でよく目にする鳥居だ。
しかし何かが違う。
普通、鳥居の柱が二本であるのに対しこの鳥居は三本あるのだ。
境内の神秘的な雰囲気、それを通り越して妖しい雰囲気はこの鳥居から出ているだろうか。
鳥居とは神域を現す門。
それが何故三方を向いているのか。
それでも鳥居は何も語らず、只々異様な雰囲気を醸し出している。
謎に満ちた鳥居、私は何らかのパワーがあの池の中心から三方に放たれている、そんな気がしてならない。