日本には風情あるローカル私鉄は数あれど、静岡県の岳南電車ほど夜に乗りたいローカル線はないでしょう。
東海道線の吉原駅から岳南江尾駅までの9.2kmを結ぶ岳南電車は昔貨物営業も行っていた路線。
沿線には製紙工場が立ち並び、その明かりが夜の軌道を照らしています。
そんなことから、岳南電車は日本夜景遺産に登録されています。
展望台や橋梁が夜景遺産になることはよくあることですが、鉄道路線自体が登録されるのは珍しいことです。
10km未満の路線は、コトコトと夜に鉄道に揺られても極度に寂しくはならない絶妙な長さ。
車両も1両という可愛らしさ。
ちなみに電車の走る富士市は富士山の裾野にあるため、車窓からは雄大な富士山が見えます。
吉原といえば、東海道五十三次の「左富士」で有名ですね。
ということで、昼は富士見路線、夜は夜景路線と、小さく魅力の詰まった路線です。
岳南電車には10駅あり、起点の吉原駅からの4つ目が岳南原田駅。
1面2線で上下線が列車交換が可能な駅となっており、朝のみ駅員が配置され、それ以外の時間帯は無人駅。
昔は駅員が常駐したと思われる駅舎の待合室には多くの案内板が貼られて賑やか。
吉原乗換えの東海道線経由で東京都区内までの切符も売っているのには驚きです。
駅舎からホームへは貨物時代の留置線と本線を跨いで向かいます。
構内踏切はありません。
ホームはキノコのような傘のような雨避けが印象的です。
やってくる車両は1両もしくは2両編成なので、十分な大きさです。
背後には日本製紙の工場プラントが見えます。
岳南原田駅と比奈駅では製紙工場の敷地内を走るようです。
駅標の文字は独特なフォントで、「岳南フォント」と呼びたくなります。
岳南電車の駅名には「岳南」が付く駅名が全部で4つあります。
工場の方から吉原行きの列車がやってきました。
周囲が薄暗いので、車内の明かりがまぶしいです。
岳南原田駅に停車する、吉原行き列車。
橙色の可愛らしい車両、もと京王電鉄の車両だそうです。
空気ばかり運んでいそうでしたが、この駅から2人の乗客がありました。
続いて到着する岳南江尾行きの列車。
こちらは2両編成の「かぐや富士号」で、朝夕の繁忙時のみ運行しています。
こちらは緑色のカラーリングになっています。