フリーパスを購入して、久々に1日周遊の旅。
都営交通では土日祝日に地下鉄が乗り放題になるワンデーパスを販売していて、500円と安いのが嬉しい。
都営地下鉄は4路線と東京メトロよりは少ないが、郊外まで路線を伸ばしているのが特徴である。
今回は目的地をあらかじめ決めることはしないで、気ままに東京を巡ってみた。
まずは、先約あった東京都現代美術館。
講義の一環で、現代美術のお勉強である。
清澄白河駅が最寄り駅であるが、若干遠い。
それでも木場公園に隣接した施設は大きくて見ごたえがある。
常設展、企画展共に何度か訪れたことがあるが飽きることがない。
今回は常設展のMOTコレクション展とバックヤードを裏側からの視点で解説していただいた。
ここの常設展は企画展が変わるごとに展示替えをしているから、毎度異なる作品を鑑賞することができて好評だという。
企画展として行われていた「ガブリエル・オロスコ」展は日本における自身初の個展。
名前は知らなかったものの、作品はおもわず見入ってしまうものが多い。
パンフレットにも載っている変型した自動車は、彼が1950年製のシトロエンDSを実際に分割して張り合わせたもの。
溶接も上手くできており、眺めていると惚れ惚れしてしまう。
レーシングカーにも見えてくる。
現代美術はただ、ぼんやり眺めているのが楽しい。
展示室も広々としているので、鑑賞もしやすくて好きだ。
現代美術館で知識を満たしたあとは、菊川駅まで歩いて、都営新宿線に乗る。
新宿線は地下鉄では珍しく急行運転を行っている路線。
ホームで電車を待っていると、勢いよく通過したりするから驚く。
次に向かったのは船堀駅。
大島駅を出ると、いきなり地上に出てそのまま高架線を走る。
東京の東側には河川が多いためであろう。
荒川の鉄橋を走り抜けると船堀駅だ。
駅前にはタワーホール船堀という江戸川区の複合施設が建っていて、ちょっとおもしろい形の塔があるのだ。
改札を出た右手には予想以上に大きな塔が聳え立っている。
しかも、ちょっと太い棒がビルに突き刺さっているよな不思議な塔。
この塔はなぜつくられたか経緯は不明だが、塔には展望室が備え付けてあり誰でも無料で登頂できる。
展望室内は狭いものの360度のパノラマが楽しめる。
周囲に高い建物が少ないため、見晴らしは最高である。
荒川より西に目を向ければ、高層ビル群とスカイツリー。
南方向には観覧車とゲートブリッジなど東京らしい風景を望むことができる。
夜は21:30まで空いているという懐の深い施設なので、いつか縁があれば夜景も眺めてみたいものだ。
次はもう一度、新宿線で都心部に戻る。
神保町で下車して、いくつかの古書店の品をチェックしつつ軍資金がないことに嫌気がさして、すぐに地下にもぐる。
新宿線より深い場所を走る三田線に乗る。
高島平まで足をのばして、高層団地群を鑑賞するのもいいが、片道30分は遠い。
団地はあきらめて、三田駅乗り換えで浅草線の泉岳寺駅で下車。
駅名の通り、忠臣蔵の赤穂義士46名の墓地がある泉岳寺の最寄駅でもあるが今回は立ち寄らない。
私がかねてから訪れてみたかったのは高輪橋架道橋だ。
JRの田町車両センターの下を潜る、高輪橋架道橋は天井が非常に低いことで有名な道路。
近年では様々なメディアでちまちまと取り上げられているので知っている人も多いかもしれない。
制限高はなんと1.5m。
日本人の平均身長を大きく下回る数値である。
狭い道路なので利用者は少ないかと思いきや、タクシーが頻繁に通る。
学生と思わしき人々も頭を下げながら吸い込まれていく。
意外と利用されているようだ。
近隣には高輪大木戸跡もあった。
江戸時代、東海道に位置する高輪には治安維持と交通規制のため、大木戸と呼ばれる門が設けられていた。
他に四谷にも設けられていたようだが、痕跡が伺えるのはここだけのようである。
東海道の隅に、石垣だけが残っている。
最後に浅草線に乗って、戸越駅へ。
夕暮れ時の戸越銀座の活気に触れてから、東急線で帰宅。
久々に休日の気ままな旅。
地下鉄は景色が見えないし、狭苦しいが、目的地へのワープ手段だと思えば非常に便利である。
東京の地下を縦横無尽に走り回っているから、気になった場所へすぐに向かうことができる。
気になる場所は日に日に貯まっていくから、たまにはこうして消費しよう。
疑問を知識へと還元しに出かけよう。