新戸隧道はキャンプ座間の下を貫通する唯一の一般道路で、相武台前駅と一段地形の低い新戸・新磯方面を結ぶ貴重な道である。
キャンプ座間は相模原市から座間市にかけての広範囲を占めており、往来には迂回を強いられている。
駅前から続くこの道は、約1kmに渡って他の道と交差・分岐しない専用道路になっている。
敷地内が見えないように新戸側半分が隧道で、相武台側半分が切通し区間。
しかも自動車は新戸方面からの一方通行であり、案内板も少ないので地元の知る人ぞ知る道であった。
一応歩道があるので、歩行者での通行も可能。
どうやら掘削されたのは座間キャンプ以前、陸軍士官学校時代(正確には1937年ごろ)のようで、相当な古株である。
いつかこのトンネルに軍人が出ると風の噂で聞いたことがあったが、その理由が何となく理解できる。
そのため薄暗く、陰気な雰囲気が拭いきれないので、近年大規模な改修工事が行われている。
もう、かれこれ4、5年ほど工事を行っているようで、現在通れるのは、歩行者と自転車のみだ。
■2010年8月
相武台前側の坑口。
500mに及ぶ隧道のため、待避所が数か所と非常電話が設置されていた。
内部には隧道特有のオレンジ色の照明のほか補助照明もいくつかある。
直線のため、出口を望むことはできるが非常に長い。
壁面のコンクリートも老朽化しており、模様のように見える。
2010年まで新戸側に県立新磯高校があったため、登下校時には多くの高校生が通っていたが、中間や夜間に通る人は少ない。
1kmにわたって人目に付かない場所が続くため、敬遠されていたようであるが、徒歩で通行している人もいるにはいた。
■2015年9月
相武台前駅側の入口。
厳重なバリケードが設置されており、歩行者・自転車のみ通行できる。
一気に高度を下げて、一般道をアンダーパス。
下り坂の切通し区間が約500m続く。
しばらくは直線区間。
定期的に待避所が用意されていることからも緊急車両が通るためか、それとも以前は片側通行ではなかったのか。
謎が深まる。
切通しの上に針葉樹林が見えてくると、座間キャンプ内に入ったことを示している。
道路は一度鉤の路にカーブして、もう一度直線区間になる。
隧道の入口は2015年9月現在見ることは出来ず、歩道橋を上って仮設道路を通ることになる。
両サイドをパネルで塞がれ、天井にも柵が設置されているので、周囲の状況は確認することができない。
仮設区間は短く、また階段を下りる。
隧道は新たに掘削され、以前より広くなった。
しかし、片側1車線+歩道を設けるなら若干狭いような気もする。
以前は直線だったが、新たな隧道は途中で大きく左にカーブしてからもう一度右にカーブしている。
何かを避けるように道路が迂回しているような構造となっている。
隧道は自動車の事故が多いため、なるべく曲線は好ましくないように思うが、なぜ効能な形状になったのだろうか。
隧道の構造を見ると、切通しと同じ工法で開削してから、天井に蓋をしたのであろう。
他に特に構造上目立った箇所はない。
以前は天井に通気口のようなモノがあったがなくなった。
カーブを過ぎると出口が見える。
新戸側は隧道を出るとすぐに住宅街になっている。
路面も舗装しておらず、しばらくは歩行者専用の期間が続くと思われる。
これからどういった道路になっていくのか楽しみではある。
新戸側坑口。
壁面も新たに造られたものに変わった。
新戸側のバリケード。