退職所得課税が変わる❔・・・・・改正後はどんな影響があるのか❔・・・
永年勤続者に手厚い現行の退職所得課税制度・・・現在、政府は終身雇用を前提にした退職金の課税制度見直す方針を打ち出しており、
2023年度の骨太方針の中でも『退職所得課税制度の見直しを行う』と記載されています。
2023年10月末時点では、議論の一つとされており、2024年度税制改正で見直しは行わず、2025年度以降に持ち越される方向だ。
勤務中に受け取る給与や賞与と違い、永年勤続者への功労の意により退職金は課税の対象となり、永年者ほど退職金の課税が優遇されていた。
退職金の受け取り方は1・全額一括で受け取る・・2・年金として受け取る・・3・退職一時金と退職年金の併用の3パタンがあります・・
現行制度での退職所得控除額の計算方法は、勤続年数によって以下のように異なります・・・・
1・勤続20年以下・・40万円×勤続年数・(最低80万円)・・・2・勤続年数20年超・・800万円+70万円×(勤続年数―20年)・・・また、
退職所得の金額は以下のように計算します・・・退職金の額面―退職所得控除額×1/2
退職所得控除額は、勤続20年までは年40万円ですが、20年を超えると年70万円に増えます、控除額が増えると言うことは、課税対象の
退職所得が減り、支払う税額も減ることになります。
所得見直し案について、現時点では具体的な内容はなく、退職所得控除額の1年当たりの額を勤続年数に関わらず一定にする見方である。
例えば40万円×勤続年数に統一するという考え方ですが、制度が変更された場合、勤続20年超の退職金は図のような影響があるのか❔
例えば、60歳で退職し、勤続年数38年退職金2000万円というケ-スで現行と比較してみると・・・現行制度・・・
退職所得・・2000万円―800万円+70万円×38年―20年×1/2=30万円・・・退職所得ガマイナスのため、退職金にかかる所得は住民税は0円
見直し後『退職所得控除額が40万円×勤続年数』に統一された場合の一例・・・・
退職所得・・2000万円‐0万円×38年×1/2=240万円・・・・所得税・・240万円×税率10%―控除額9万750014万2500円・・
住民税・・240万円×税率10%=24万円・・・・合計38万2500円・・・復興特別所得は含めていません。
現行の退職所得課税制度では、退職所得控除額大きくなることで退職金に負担が発生しない永続勤続者の場合でも、制度の見直しの
内容によって税金を支払うケ-スが出てくる可能性もあります。今回は、あくまでも見直し案として考えられる一例を基に現行の
制度と比較していますが、今後、税制改正によって実際に退職所得課税制度の見直しが行われる場合、どのくらいの税負担になるか
把握しておくことが大切です…高齢期の働き方を含め、定年退職後の生活や老後資金についてプランニングをすることも必要です。