北朝鮮寄りの文在寅政権が誕生すれば、米軍は韓国から撤退し、中露の防御線として機能してきた朝鮮半島を放棄し、防御線を下げる可能性があり得ます。そうなれば、『金正恩暗殺部隊』を編成した韓国軍部は、在韓米軍という後ろ盾を失い、北朝鮮に粛清されかねない。そうなる前に軍が1960年の奇しくも朴槿恵氏の父親が起こしたようなクーデターで新政権を乗っ取り、朴槿恵氏を取り戻す可能性も否定できません。いずれにしても朝鮮半島有事、特需の可能性が出てきました。
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友人による国政介入疑惑に塗れた朴槿恵氏は、「韓国史上初の罷免された大統領」という汚名とともに、青瓦台を去ったのち、3月31日未明に逮捕され、拘置所に収容された。そして、5月9日までに大統領選が行なわれ、新大統領が決定する。
韓国にとっては、健全な民主政治を取り戻すための第一歩となるはずだが、どうも不穏な空気が消えない。朴氏の罷免は、韓国社会と朝鮮半島情勢がさらなる混乱へ突き進む序章に過ぎなかったのかもしれない。
来る大統領選に向け、最大野党「共に民主党」は3月27日、党候補を選ぶ初の予備選を光州で行ない、本命とみられた文在寅氏が60%を超える票を獲得し、圧勝した。次期大統領選に関する最新の世論調査では、2位以下を倍近く引き離してトップを独走しており、5月に新大統領の地位に就く可能性が高まっている。
一連の朴槿恵スキャンダル追及で国民の人気を博した文氏だが、支持率が高いもう一つの理由は、慰安婦問題について日韓合意の見直しを求めるなど、反日路線を強調しているからだ。対照的なのが対北朝鮮外交で、「金正恩は北朝鮮の指導者であり、対話の相手として認めなければならない」「当選したらまず平壌に行く」など、融和的な発言が目立つ。
このままでは「反日・親北」という日本にとっては非常に厄介な政権が誕生することになる。実は文氏を問題視しているのは日本だけではないと、防衛シンクタンク関係者が明かす。
「文在寅氏が大統領に就任した場合、文政権に反発した軍部が軍事クーデターを起こす可能性について、韓国の国防関係者の間でまことしやかに囁かれています。韓国軍にとっては今でも北朝鮮こそが最大の敵であり、手を結ぼうとする文氏の姿勢は許しがたいということです」
そこに一定の説得力があるのは、「戦時作戦統制権」の問題があるからだ。韓国は朝鮮半島有事が起きた際、作戦を指揮する権限を米軍に委ねることになっている。この戦時作戦統制権を韓国に取り戻そうとしたのが反米で鳴らした盧武鉉大統領(当時)で、2007年に「5年後に委譲」を決定した。ところが、その後の李明博、朴槿恵の両大統領は、米国との関係性や安全保障上の観点から委譲を見直し、現在は事実上の無期限延期となっている。
文氏はこの措置に関し、国会で「軍事主権を放棄したもの」「恥ずかしくないのか」と政府を追及してきた。というのも文氏は、統制権の委譲を決めた盧武鉉政権の大統領民政主席秘書官だったのだ。
2人はもともと人権派弁護士の同志として「盧武鉉・文在寅合同法律事務所」を開設していた。盧武鉉氏が政界に進出してからは最側近として活躍し、盧武鉉氏が大統領辞任後に政治資金不正で自殺した際は葬儀委員も務めた。盟友・盧武鉉氏の功績である統制権の委譲は、文氏にとって絶対に譲れない“公約”なのだ。
だが、そこに踏み込むのは、クーデターへの導火線に自ら火をつけることに等しい。
「韓国軍にとって、戦時作戦統制権は米軍という大きな後ろ盾を得るための生命線とも言える存在で、だからこそ盧武鉉氏の退陣以降は議論が封印されてきた。軍部が文氏を親北として毛嫌いしているなかで、いきなり統制権委譲を打ち出せば軍部の反発は必至です」(前出・防衛シンクタンク関係者)