今年に入り米国が40年ぶりの高インフレに見舞われ始めてから、FRBは金融市場に対して「インフレ抑制が最優先」と何回も蜜月関係の終わりが迫ってきていることを表明してきた。 しかし、2008年のリーマン・ショック以降長くFRBからの寵愛を受けてきた金融市場は、FRBの金融政策の焦点がインフレ対策に移っていくことを現実のものとして受け入れられず、まだ市場への気持ちが残っているはずだと思い続けていた。 鈍感な金融市場に業を煮やしたのか、パウエルFRB議長は8月26日にジャクソンホールで行った講演で「インフレを抑え込むには家計や企業に何らかの痛みをもたらすことになるがそれは避けられないコストだ。ただ、物価の安定を取り戻すことに失敗すればもっと大きな痛みを伴うことになる」と、多少の景気鈍化というコストを払ってでもインフレ抑制を優先する姿勢を鮮明にし、金融市場に対して明確な決別宣言を行った。 この発言によって金融市場に燻り続けていた「景気鈍化に配慮してインフレ率が鈍化すれば金融引締めを緩める」というFRBの心変わりへの期待は打ち砕かれることになった。このインフレは「一時的なもの」と考えて見通しを誤ったFRBは、今年に入ってからインフレ抑制が最優先課題であることを繰り返し表明してきた。そしてグリーンスパン元FRB議長のもとで1994年以降金融市場の常識となっていた「金融政策の変更幅は25bp(0.25%)」という慣例を破り、5月には50bp、6月と7月には75bpという大幅な利上げを実施しインフレ抑制に本気で取り組む姿勢を示してきた。 しかし、こうしたFRBの言動を目にしても、蜜月関係を継続したいという夢を断ち切れずにいた金融市場は、FRBの心変わりも「一時的なもの」で、早晩再び心変わりをして金融市場に対して配慮してくれるはずだという淡い期待を払拭しきれないでいた。しかし40年ぶりの高インフレで淡い思惑は吹き飛ぶはずです。FRBと市場は場合によっては対立する関係になったと覚悟すべきでしょう。
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