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プーチンが仕掛けたエネルギー戦争で「マージン・コール」発生?

2022-09-21 07:01:38 | 日記
エネルギー価格の高騰が欧州の電力企業の信用不安に飛び火し、欧州のエネルギー企業が「1兆5000億ドル=210兆円」とも言われるとんでもない金額の追加証拠金
を差し出さなければいけない可能性が浮上してきた。電力会社が天然ガスの先物取引から発生した損失が原因で破綻した例として、米エンロン(2001年)が有名だ。
相場を読み違えたエンロンは粉飾決算を重ねるなどの延命策を講じたが、マージン・コールの嵐に勝てなかった。
エンロンの破綻時の負債総額は400億ドルを超え、米国経済を揺るがす事態になりかけた。
いずれも最悪の事態にはならなかったが、欧州の電力企業のマージン・コールの規模(1兆5000億ドル)は桁が違う。未曾有の金融危機が到来してしまうのではないだろうか。

過去の歴史を振り返れば、エネルギー危機がそのまま世界同時多発的経済ショックに発展してきたことは言うまでもない。
当然各国欧州政府は窮地に陥った電力企業に救済の手を差し伸べ始めている。
フィンランドとスウエーデン政府は9月4日に「電力会社などの資金繰りを支援する」と発表した。政府保証と融資を合わせて約4.7兆円を供与するとしている。
スイスの電力大手アクスポも9月6日に「スイス政府から約5800億円の与信枠の供与を受けた」と発表した。
しかし、それだけでは十分ではないだろう。電力会社はマージンコールに加えて、「逆ざや」の問題も抱えているからだ。

「エネルギー版リーマン・ショックが起きるぞ」と…
ドイツ政府は7月下旬、エネルギー大手ユニバーの救済に踏み切った。
ユニバーは調達する天然ガス価格が高騰したのにもかかわらず、割高なガス価格を消費者に転嫁できずに赤字が膨らみ、経営悪化に陥ってしまったのだ。
ユニバーはドイツ政府から約1兆2000億円の融資を受けたが、さらに追加の融資枠が必要になっている。
天然ガス価格高騰を抑制するため、欧州連合(EU)は9月9日、ロシア産天然ガスの輸入価格に上限を設定する案が議論したが、合意が得られなかった。
ロシアはノルドストリームによる欧州へのガス供給を再び停止しており、ガス価格は今後上昇する可能性が高まっている。欧州の電力企業の経営状態は悪化するばかりだ。
気になるのは、フィンランドのリンテイラ経済相が9月4日に「エネルギー版リーマン・ショックが発生してしまう」と発言し、電力業界が抱える問題の深さを2008年に経営破綻して
金融危機の引き金となった米投資銀行を引き合いに出して説明したことだ。

「マージン・コール」の恐ろしさ
リーマンショックを題材にした映画が2011年に米国で公開された(日本ではDVD販売のみ)が、そのタイトルは「マージン・コール」だ。
金融技術が急速に発達した現在、危機は常にマージン・コールから始まると言っても過言ではない。
ECBは9月に入り、エネルギー市場の流動性枯渇に対する金融機関の準備状況について調査を開始しているが、20カ国・地域(G20)の金融当局で構成する金融安定理事会(FSB)
は7月中旬からこの問題を懸念していた。FSBは「ロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされたエネルギー価格の変動が生産者の資金調達に困難を生じさせ、世界経済に桁外れ
の打撃をもたらす可能性がある。商品市場を注意深く監視する必要がある」との声明を発表したが、注目したのはコモデイテイ-・デリバテイブ(金融派生商品)だ。
デリバテイブ市場ではマージン・コールが特に生じやすいからだ。

過去の危機と比べて「ケタ違い」だ…
リーマンショック後、世界の金融市場でデリバテイブ取引に関する規制が強化されたが、エネルギー市場は小規模だったことから規制が導入されることはなかった。
いわば「野放し」状態にあったエネルギー市場だが、ロシアのウクライナ侵攻によりその規模が急拡大し、世界の金融市場にとって新たな脅威となってしまったようだ。
エンロンの破綻時の負債総額は400億ドルを超え、米国経済を揺るがす事態になりかけた。
いずれも最悪の事態にはならなかったが、今回の欧州の電力企業のマージン・コールの規模(1兆5000億ドル)は桁が違う。未曾有の金融危機が到来してしまう可能性はあり得る。

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