中国政府が、日本人が短期滞在する際のビザを免除する措置を30日から再開すると発表した。また、日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が設置したブイを移動させると水面下で伝えてきたとも報じられた。
中国が日本に接近している理由を一言でいえば、米国で「トランプ政権2・0」が誕生するからだ。トランプ政権の布陣は徐々に発表されているが、対中強硬派ばかりだ。
外交を担う国務長官に起用されるマルコ・ルビオ上院議員は、中国に強硬な姿勢で、人権問題を厳しく指摘してきた。大統領補佐官に起用されるマイク・ウォルツ下院議員は対中強硬派の代表格で、これまで中国軍に対抗するため米軍の軍備増強を主張してきた。ウォルツ氏はホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)も担当する。
中国の習近平国家主席は、トランプ氏にトラウマがありそうだ。かつて米中首脳会談での夕食時に、「『トマホーク』をデザートに出す」といわれ、その時に実際に米軍がシリアにトマホークミサイルを打ち込んだ。それを目の当たりにした習主席は固まったといわれた。習氏にとってトランプ氏の再選は最悪のシナリオだったはずだ。
中国としては、実際にトランプ政権になる以上、日本を利用する。しかも、石破茂政権は、かつての安倍晋三政権とは比べることができないほどトランプ氏との距離が遠いので、くみしやすいのだろう。
トランプ政権では、司法省や連邦捜査局(FBI)などは「ディープステート(闇の政府)」と呼ばれて見直しの対象になっている。司法省も必死に生き残り策を練るだろう。司法省が最近訴追した中国企業による日本の政治家への賄賂資金問題も、トランプ政権の歓心を買うためか?。この件は日本側に打撃となりかねないが、石破政権はトランプ氏と疎遠なので大丈夫という司法省の政治判断があるのではないか。
一方、これを中国側から見れば、石破首相はトランプ氏から大統領就任前の会見を事実上拒否されているので、より日本に接近しやすいことになる。中国としては、あわよくば日米同盟の分断を狙い、くさびを打ち込みたいところだろう。
石破首相がアジア版NATO(北大西洋条約機構)や日米地位協定見直しなど、今の制約のある憲法下では非現実的な〝お花畑・絵空事〟を唱えているので、トランプ氏が「アジアのことは米国抜き、日本中心でやれ」という主旨の発言をすることを期待しているのだろう。となると、日本にその実力はないので中国の思うつぼになる。中国のすり寄るを変わす、日本の適切な対応が求められる。
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