暑い日が続きますが、中国の受験事情も熱いです。「高考」は中国語で大学受験のための統一試験を意味する。子供の受験が終われば、夫婦には厳しい現実が待っている。本末転倒とはこのことでしょう。しかし、子供に掛ける愛情は半端ない。日本のような無菌質な家族・社会環境と違い、親や親族に愛され、羨ましい限りですが、行き過ぎのようです。極端はいけない。何事も中庸が一番ということでしょうか?
以下抜粋コピー
日本以上の学歴社会とも表現される中国--。
貧しいものが一発逆転をかけて挑む大学受験の厳しさは、日本人が知る「受験戦争」など比ではない。
毎年夏は、全国の秀才たちによる血のにじむような努力の果ての希望と絶望というドラマから、あの手この手のカンニングの手法を駆使する場外乱闘まで、さまざまな話題でメディアが覆いつくされるのである。
一人っ子政策は緩和されたが、中国ではまだ多くの家庭が1人の子供に将来を託しているので、受験にかかる重圧が違っているのかもしれない。
一人っ子は「小皇帝」と呼ばれ、両親とそのそれぞれの祖父母から可愛がられて小遣いをもらうため、「6つのポケット」と形容されたが、逆に将来は1人ですべてを背負わなければならなくなるのだ。
なかには、その重圧に負けて病気になってしまう子供も少なくないというほどだ。
実際、受験の戦いは、家族総出の総力戦で、決して受験生だけのものではない。
さかのぼれば小学生のころから、評判の良い重点学校に自らの子を押し込むため、親たちの闘いは始まっていた。人気校の学区にマンションを取得するのは、何より資金的なハードルが高いのである。
全国的に不動産価格が一息つくような状況下でも、有名校の学区内の不動産価格は上がり続けるのである。
こんな厳しい受験事情にあって、昨今、注目を集めているのが「高考離婚」と呼ばれるものだ。「高考」は中国語で大学受験のための統一試験を意味する。
つまり、子供の受験が終わったという区切りをもって、夫婦が離婚するというパターンが増え、いまやメディアが見出しにするほどの社会現象となっているというから凄まじい。
いわゆる「高考」後に離婚するということから、彼らのことは「考離族」とも呼ぶそうである。
6月13日付『西安晩報』は、〈子供が受験したら「離婚」 弁護士は、「考離族」の父母が一つの現象となっていると指摘〉というタイトルでこの問題を報じ、同じく『東方ネット』(6月15日)も、〈「高考」が終わったとたんに民政局前には離婚を申請する男女で大行列! ネットでは、「子供が可哀そう」との声が〉という見出しで同じ問題を特集している。
そうした現象を示す統計は示されていないが、民政局や裁判所、または離婚の相談に応じる弁護士などの声が、これを裏付けている。
子供が結婚するまでは……。
こんな発想は日本でも多い。将来を考えて設定される節目なのだろうが、受験の勝者は喜びが半減し敗者には追い打ちをかけることになるのだろう。
■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。