Last Updated: March 6,2021
(Summary in English)
“Social Networking Sites(SNS): Commissioner Reding stresses their economic and societal importance for Europe”
Viviane Reding, Commissioner for Information Society and Media, has gave a speech on Social Networking Sites by "Forum for a safe Internet Society" on September 26(It was held in Luxembourg).
Reding is elected by the committee of European Commission in 1999, and reappointed in 2004. She has gave her views extremely aggressively about the themes of " The problem and view of Ubiquitous society" that starts up the discussion in Japan , also on this forum gives her views from the summary and empirical a viewpoint about this problem to be able to do nothing but work without reference to age or sex on concrete data of each member states .
She is taking up the problem on the part of the shadow of SNS ,the influence on the youth and invasion of privacy by the online tracking etc.,and the European Network Information Security Agency(ENISA) that is official body concerning the information security of EU,has made public titled“Security Issues and Recommendations for Online Social Networks” to the politicians and financial businessmen in charge appropriating in the signatory in October of 2007.
Especially, child's protection problem through the Internet and the mobile phone that is a topic recently also in our country,I will take up the former from the viewpoint of serving as a reference in examining current analysis and measures of our country.
As for the light and the shadow of SNS of Europe and U.S. , it is reported September 28 by Tagui Ichikawa ,the representative New York's JETRO , it is analyzed accuracy and widely of this problem.
For strike the measure because of losing user's uneasiness, the person in charge of government and the business of SNS promotion in Japan should read these speech and report.
欧州委員会委員で情報・メデイア担当のヴィヴィアン・レディング氏(Viviane Reding)は、2008年9月26日に「より安全なインターネット社会のためのフォーラム(ルクセンブルグで開催)」でSNS(筆者1)に関する標題("Social Networking in Europe: success and challenges")のスピーチを行った。
1999年に欧州委員会の委員に選任され、2004年に再任されている女史であるが、わが国でも議論を呼んでいる「ユビキタス社会」の展望と課題について従来から極めて精力的に意見を述べている。
レディング氏のスピーチ内容は、駐日欧州委員会代表部サイト等でも今後紹介されるであろうが、老若男女を問わず取組まざるを得ないこの問題につき加盟各国の具体的データに基づき総括的かつ実証的観点から意見を述べており(筆者注2)、その仮訳を試みた(項目立ては筆者の責任で行った)。
また、同女史が取り上げているSNSの影の部分(青少年への影響やオンライン追跡によるプライバシー侵害等)およびセキュリティ面の課題についてはEUの情報セキュリティに関する公的機関である欧州ネットワーク情報セキュリティ庁: (European Network and Information Security Agency;ENISA ) が加盟国の政財界責任者あてに2007年10月に「オンライン社会ネットワークに関する脆弱性・セキュリティ問題およびその解決への勧告書」(筆者注3)を公表している。特に最近ではインターネット・携帯電話を介した子供の保護問題がわが国でも話題になっていることから、わが国の現状の分析や対策を検討する上で参考になるとの観点から前者を取り上げた。
欧米におけるSNSの光と影についてはJETROニューヨーク駐在員の市川類氏のレポートが正確かつ幅広く分析されており、利用者の不安をなくすための施策を打つためにも、わが国の官民のSNS推進責任者はまず読むべきであろう。
1.はじめに
年齢確認(age verification)、メディア間の利用分類(cross-media classification)および子供によるオンライン技術とSNS(social networking sites)の利用の問題はこの数月以上我々の議論の種となろう。(筆者注4)
本日の話は、①SNSの持つ社会・経済現象をどのように考えるべきか、②娯楽や知識に関し社会および専門的な理由からSNSがEU市民にどのように使われているか、そして③どのように我々の生活を変えたか、さらに④若年層の日々の生活や将来を形成するうえでどのような貢献を果たしているかについて述べる。
2.EUのweb2.0市場についての概観
SNSはこの2、3年で非常に一般的なものとなった(筆者注5)。2007年にEUにおけるSNSユーザー人口は35%増加した。2007年EUのオンライン利用者の56%がSNSを訪れ、定期的ユーザー数は現在の4,120万人から4年後には1億740万になると予想されている。2007年英国では960万人が国のSNSのコミュニティに属し、フランスでは890万人、ドイツでは860万人という数字が出ている。フランスの視聴者は2008年5月だけで合計1億3,700万時間オンラインのビデオを見ており、また携帯電話の加入者のうち329万人が携帯電話でビデオを見ている。
Facebook、YoutubeやMySpaceといった米国に本拠地を置く知名度の高い企業と平行してEUの企業もこの分野で活躍している。フィンランドの“Habbo Hotel”は8,000万の登録者数がいると主張している。英国の“Badoo” や“ Faceparty”は1,500万人のユーザーの会員資格の結合が行われている。ベルギーに本拠を置く“Netlog”は1,700万人、フランスの“Dailymotion”は1,100万人を数える状態である。オランダの“Hyves”、ドイツの“StudiVZ”、ブルガリアの“Aha.bg”、デンマークの“Arto.dk”、スペインの“Tuenti”、ポーランドの“Grono”等いずれも繁盛している。またこれらのリストには新しい役者が登場している。
まさに、それらは人脈と娯楽の範囲を広げるということであるが、我々はSNSがさらに更なる機能を果たすことを知っている。SNSは公的機関や専門機関にとって全体的に有益性がある。すなわち、SNSは働く専門家、子供、退職者および旅行者にとって各種サービスを提供する。参加者はネットワークを通じ、個人的な写真、会話、メデイアの娯楽を共有し、また社会や政治的生活の組織化するとともにまだ我々が計画したり想像しえないすべてのことを行っている。
今、私が述べた数字だけを考えるならSNSがEUの産業界にとって新たな経済的な可能性をもたらすことは否定しがたいといえよう。SNSの持つオープンな性格、インターネットの柔軟性、文化的多様性や高度な対話性、さらに異なる聴衆を企業や改革者が無視しえない環境に導くという事実である。実際、SNSの重要性を理解している企業の中には顧客サービスの改善のためにSNSを利用しているところもある。その結果、顧客は初めて製品改革やサービスの開発に本気で取組み、最終的に当該企業は顧客の忠誠心と更なる購買を獲得するのである。
3.企業内利用の現状
ある企業は、自社の従業員のために従業員が物理的にどこにいようとコミュニケーションが図れるよう特別なSNSを開設した。その結果、関与意識や生産性向上にかかわる企業の決定に関与していると感じさせる機会を与えることになった。
広告の分野では、特に潤沢な予算を持たない中小企業にとってSNSはまったく新しい文脈をもたらした。中小企業の40%はウェブサイトの運営は金がかかり過ぎるためウェブサイトを持っていない。しかしながら、ウェブ2.0はわずかな資金でオンライン・コミュニティの参加者することで顧客を楽しませ、かつ自らのビジネスの推進を図る効果的手段となった。
4.人材開発分野
人材募集と人材開発の専門家は、面談の相手探しを「オンライン接続型」から「ビジネスネットワークやそこでの自己推薦型」へと変えつつある。これは必要とするポストを埋めるのにメディア介在型人材募集より効率的であるといえよう。ドイツのXING(筆者注6)やBritish Ecademyはこの分野で急速に伸びている。
5.研究機関の啓蒙活動
SNSを通じて研究機関はどこにいても情報と経験を共有化できる。彼らは簡単でかつ直接的な方法で自らの活動内容の説明するために、SNSにより提供される機会を利用する。最近の例では、欧州原子核研究機構(CERN)(筆者注7)の研究関係者が「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」(筆者注8)の機能と目的について説明するのにラップソングを作曲し、Youtubeに載せたところ200万以上の閲覧数を上げたのである。(筆者注9)
6.芸術創造活動分野での利用
SNSはオンラインの内容が創造的な分野で繁盛している。内容を作成し共有することは今や簡単なこととなり、ユーザーに新しい形の情報を形作る機会を与えることとなった。ビデオ共有会社が好例である。多くのミュージシャンは自らのビデオをMyspaceに置くことで有名になった。また、Daily motionは、創造的なビデオプロデューサーを奨励して短編映画のような文化的行事にリンクする特別なサービス“motionmakers”を新たに設けた。
7.モバイル型SNS
SNSはモバイル・ウェブを成功させることにも貢献できる。新しい研究では、モバイル・ウェブのユーザーが現在の5億7,700万人から2013年には17億人に増加するという予想を述べている。英国のジュニパー・リサーチ(筆者注10)は、SNS、wikis、オンライン・チャット、インスタント・メッセージといった協調的適用の要求の急増がこのような成長の原因であると分析している。
8.SNS運用会社の規模拡大
SNSはユーザー数の増加に伴い、より多くの従業員を雇用し始めている。ベルギーの本部を置くNetlogはSNSの運用の開発費用として500万ユーロ(約7億500万円)投資を誘致した。フィンランドのSulake 社は、同社の主要サービス“Habbo Hotel” (筆者注11)の強固な成長を維持するため1,800万ユーロ(約25億3,800万円)の増資を行った。同社は2000年に設立されフィンランドのヘルシンキに本部と世界中の14の事務所を持つ。世界中の従業員数は約300人以上で世界のデジタル・コンテンツ企業のトップ25に評価されている。(筆者注12)
9.若年層のSNSの利用状況
若年層はSNSをとり取り込むことが早い。EUにおけるインターネット・ユーザーの平均年齢は過去数年間で低下した。9歳から10歳の子供は現在1週間に数回オンライン接続する。12歳から14歳は毎日1~3時間インターネットを利用している。彼らの主たる活動目的はチャット、インスタント・メッセージングやSNSを介したコミュニケーションであろうか。
デンマーク、英国やイタリアの研究では、ほとんどの子供や若年層が既存の友達関係を維持するとともに社会的関係の強化を意図してSNSを利用しているといわれている。若年層はSNSが既存の友人関係と旧友との接触を管理する上での効果的手段であると見ている。最近のサイバー・メディア法の研究者(筆者注13)「デジタル時代に生まれた第一世代の子供たちを理解するために(Born Digital:Understanding the First Generation of Digital Natives)」が指摘しているように、若年層はいつでもネットワーク技術にアクセスでき、自分たちの両親とは異なる情報、友情やプライバシーといった問題を経験している。我々はこのような新しい状況を考慮しておく必要がある。デジタル第一世代(digital natives)は創造的かつ参加型である。このことは、彼らにリスクとともに新たな自由をもたらす。従って、このことは我々が若年層が安全なかたちで自由を得られることを保障するため協同的な取組みを行う理由といえる。
“Safer Internet Programme”の中で欧州委員会が立ち上げたパブリック・コメント募集に対し、アイルランドの10代の若者の関心事について共有したい。すなわち「アイルランド国際青年助言議会(International Youth Advisory Congress)」のコメント(筆者注14)の中で子供たちがオンラインで遭遇する主たるリスクの1つである「サイバーいじめ(cyber-bullying)」について言及している点である。
10.段階的自主性の確保、過保護はだめ
子供たちを保護するために我々は何をすべきか。まず過保護になってはいけない。子供は18歳になると大人になる、我々は信頼性と独立性に向い合えるよう彼らに準備をさせなければならない。我々は非常に幼い子供を保護することから始まり年長の子供にはある程度の権限をあたえるという段階的対応を取るべきである。子供によるSNS利用上の問題について利用可能な研究は少ないが、いくつかの統計的数字について述べておく。デンマークの研究では12歳から18歳のSNSユーザーの31.5%がインターネット利用時に見知らぬ人からいやな経験を受けているとされている。またイタリアの研究では、SNSのユーザーの32.8%が少なくとも1つの不快(ポルノ的な内容、攻撃的なメッセージおよびセクシャル・ハラスメント)な経験をオンライン中に経験している。ユーザーの何人かは本人の同意なしに個人情報をばら撒かれたり、ヌード写真をSNS上で掲載されたというものである。
ソニア・リヴィングストン教授(筆者注15)が指摘しているとおり、我々は「脆弱性があり、認識面や技術がもたらす社会的発達の過程ですばらしいが一面もろさを持つ子供達を守り」かつ「子供たちはメデイアに精通する技術を持ちながら、彼らの周辺にいる大人たちから過小評価されるため、自らの権利で行動する有能かつ創造的なエージェントであること」を理解しなくてはならない。
では、我々は潜在的なオンライン・リスクから若年層を守るため子供や青年の生活にどの範囲で干渉すべきであろうか。これに関し年齢確認、クロス・メデイア格付け(区分)について欧州委員会が行ったパブリック・コメント募集に対し、70件の意見が寄せられた。これらの提案中から2008年の“Safer Internet Forum”において、委員会は①SNSへの関与のあり方、②年齢確認の2点について議論に取組んだ。
11.フォーラムでの具体的論議
①効果的年齢確認について
加盟各国におけるインターネット・ユーザー、特に未成年がアダルト向けの内容サイトにアクセスしたりアダルト商品を購入するときの年齢確認について昨日のフォーラムでは具体的ツール、技術的ならびに法的な挑戦の試みについて議論した。
最近の英国の研究(英国「通信庁(Ofcom:Office of Communications)」)(筆者注16)によると通常、主要なSNSの登録最低年齢が13歳(MySpaceの場合は14歳)にもかかわらず、8歳から11歳の27%がSNSサイトにプロフィールを持っていた。1回目の年齢確認で登録拒否された場合、2回目の登録を拒否するといった登録の規制に関する方法も役に立つかもしれない。しかし、現実に戻ってみよう。未成年の登録を完全に阻止するのは現状では不可能である。インターネット業界は彼らのサービスを利用する未成年を保護することで先見的役割を果たすべきである。私は利害関係者により広く受け入れられて有効な実効性が保証される限り業界自主規制(self-regulation)の支持者である。
業界による自主規制の具体例を挙げてみよう。
英国では2008年4月に「2008年SNSプロバイダーおよび娯楽サービス提供者のための良き実践ガイダンス(Good practice guidance for the providers of social networking and other user interactive services 2008)」(筆者注17)が採択された。その策定にあたり、デジタル・コンテンツの関係産業界、英国政府が割り振ったアカデミー、通信事業者、放送機関、NOP等がメンバーとしてかかわった。また、デンマークのインターネット・メデイア協会の自主規制協定、米国連邦司法長官とFacebookおよびMySpaceとの協定が行われている。
EUにおいて2007年に欧州委員会が主導し成功裡に進んだ携帯電話が若いティーンエイジャーや子供の安全な携帯電話の利用問題に続いて、委員会は現在、子供や若年層が安全にSNSを利用できるためのガイドラインを策定するためSNSと議論を行っている。私はこの点を祝うとともに、2009年2月10日に開催される“Safer Internet Day”において具体的な成果が出ることを願っている。
②サイバーいじめ対策
我々はすでにSNSユーザーを安全に導くツールや情報に関し、うまく行っている例を持っている。それらの例では「サイバーいじめとその教育問題」と同様に嫌がる内容、不適当、違法な行為を報告する場所がある。攻撃的なユーザーに対する文書による警告、登録アカウントの利用停止や取消といったことにつながるという報告が行われている。警察がその合法性を求めるとき、SNSサイトは国内法に即したかたちで「通信内容データ」と「内容の開示」を行うべくポリシーを有している。さらに、ほとんどのSNSは従業員に対し異なるタイプの状況に応じられるよう教育を行っている。デンマークのNGOであるセイブ・デンマークはSNS業者のArto.dkの仲介役となっており、その点を保存しておいて欲しい。
SNSの安全な設定に関し、私は特に12歳以下の年少者を目標とする例えば“Penguin、“Cbeebies”“Barbiegirls.com”“Imbee”“kpwebben.se”等チャット、メッセージ交換の内容について事前にスクリーニングする等、仲介機能や最小限の個人情報を収集し、可能な範囲で両親のコントロール権に寄与することが必要であると考える。この点について、もちろんティーンエイジャーにとって状況はそれぞれ異なる。先ほど述べた両親自体が子供を安全に過ごすことやオンラインを倫理的に利用することについて教育すべきであると指摘したアイルランドの若人の貢献の件に戻りたいと思う。また、私は子供や若年層の間における技術の利用や大人の利用に関する理解のギャップが広がっていることを踏まえると正しいことであると考える。
本委員会に対するパブリック・コメントの中で、発言者は両親と子供の間の議論と協同的利用がオンライン時の子供や若年者を守る最も有効な方法であると指摘された。子供や若年層も他の大人の市民と同様に、彼らの権利を意識すべきである。EU各国は違法な個人情報に使用を保護するための良い国内法を持っている。
欧州連合は、加盟27か国の協力のもとで「欧州の安全なインターネット環境ネットワーク(the Europe-wide awareness network:INSAFE )」(筆者注18)による意識改革活動を通じて、この問題に取組んでいる。このネットワークの活動は両親、教師や子供に変化を与えることを目指している。
INSAFEによって組織化された活動の代表的なイベント(毎年開催)が“Safer Internet Day”である。2008年は50か国以上100の機関が参加し本当に国際的なイベントとなった。2007年のイベントでは、デンマークのティーンエイジャーが良く利用するデンマークを拠点とするSNSサイトと協力して非常にうまく行っているキャンペーンを立ち上げた。そのキャンペーンは「アンチ・ヒーロー」というタイトルで個人情報や友達のビデオを流し、ありとあらゆる悪さを行うといったユーモアたっぷりのものであった。2009年2月10日に次回の“Safer internet Day”が始まる。
欧州委員会は、子供のオンライン利用時の安全性の強化するための努力を続ける。委員会が提案した2009年から2013年を新たな期間とするより安全なインターネット・プログラム(サイバーいじめやその教育対策等で特にSNSを通じて広がったリスクを排除することが目的)が、2008年末までに欧州議会と閣僚理事会において採択されることを希望する。
13.まとめ
SNSは我々に1枚のコインの両面を与える。一方で、SNSはITの新技術を使い理解するといった変化をもたらした。我々をインターネットの活発なユーザーに変え、オンラインで新しい様式の芸術を作るための特殊技能が必要でないことを示した。またSNSは、我々の、①社会的関係、②どのように仕事を得るか、③情報をどのように探すか等についても変化をもたらした。そうすることで、SNSは現実社会やオフラインの世界の市民と同じくらいにオンライン世界の市民であるデジタル時代に生まれた子供や若人の日々の生活に影響を与えてきた。
他方で我々はデジタル社会が子供や若人のプライバシー権を尊重し可能な限り安全であるよう保証しなければならない。若年層に人々が自分自身を表現することを許し、またSNSが提供する多くの機会に接する利益がいかに重要かを忘れてはならない。
このことが、我々が若い世代に①リスク、②権利に関する情報や③彼ら自身を守るためのツールを提供しなければならない理由である。そして、我々は我々自身が彼らの考え方、要求、不満ならびに大変大事なのは彼らの助言に耳を貸すといったかたちで相互のコミュニケーションのチャンネルを常に開いておくということである。
私は今回参加された皆さんが、我々の責任をすべて理解されていると信じる。2009年2月に開かれる“Safer Internet Day”までにSNSが未成年者の保護やデータのプライバシー保護に関する自主規制に取組み、適宜な「行動規範(code of conduct)」を持つことを期待する。そのことが、EU全体でSNSを前進させる重要なステップとなろう。
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(筆者注1)SNSは、欧米ではSNS(Social Networking Service/ Site)の略語。
(筆者注2)レディング氏のスピーチは、項目立てがないので筆者の責任で項目立てを行った。なお、レディングのスピーチ原稿の最後に事務局がまとめた資料“Social Networking Sites: Commissioner Reding stresses their economic and societal importance for Europe”のURLが紹介されている。本ブログの最後にあげておいた。併読されたい。
(筆者注3)残念ながらジェトロの市川氏のレポートは米国が中心であり、ENISAのポジションペーパーについては15項目の問題点と19項目の改善勧告を行っていると説明しているのみである。
(筆者注4)SNSにおける年齢確認については利用者が急速に伸びた2007年5月頃から問題となっているようである。
英国政府のブロードバンドのあり方に関し主導的役割を担っているBSG(Broadband Stakeholder Group)が2008年7月に「年齢確認、クロスメディア間の格付け分類およびオンラインSNS(Age Verification, Cross Media Rating and Classification,Online Social Networking) 」という5頁ものの報告書をまとめている。また、“Second Life”や“MySpace”において未成年者保護という観点から取り上げている。Second Lifeは18歳以上が自由な利用可能者であり13歳から17歳まで用には別途“Teen Second Life”を用意し、年齢確認のベータ版を2007年5月に開始している。平易な解説Q&A が用意されているので参考となろう。
(筆者注5) SNSが米国の一般人に極めて日常的に利用されている例としては、reuters等の大手メディア・サイトでも“Facebook”による情報・意見の共有というかたちで具体化している。
(筆者注6)XINGのサイトでは16カ国語で利用できる。ただし日本語の「利用規約」を読んでみたが、いかにも直訳的な内容である。
(筆者注7)ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機構(CERN)が建設中の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)がいよいよ2008年夏に完成し、史上最高エネルギーの素粒子実験が開始される。これまで建設に14年の歳月を費やしたこの加速器は、現在の最高エネルギーを一挙に7倍(14 TeV)にまで高める性能を有する。LHCでの高エネルギー陽子・陽子衝突の反応を記録する巨大なアトラス測定器も完成に近づいており、実験開始に向けて調整を行っているところである。今後数年のうちに、素粒子の質量の起源ともいわれる未知の素粒子であるヒッグス粒子や、宇宙の暗黒物質の解明にもつながる超対称性粒子などの新発見が期待されている。(東京大学 大学院理学系研究科サイトから引用・一部表現を追加)
(筆者注8)CERNはヨーロッパ諸国により設立された素粒子物理学のための国際研究機関。設立は1954年。所在地はスイスジュネーブ郊外。加盟国はヨーロッパの20カ国。 日本は、米国、ロシア等と共に、オブザーバー国として参加している。世界の素粒子物理学研究者の半数以上(約7,000人)が施設を利用している。(東京大学 大学院理学系研究科サイトから引用)
(筆者注9)ラップソングを作曲したのはミシガン州のサイエンスライターのKate McAlpine さんである。この話は関係者の間では大きな話題となっている。本ブログの読者も一度閲覧してみてはいかがか。
(筆者注10)Juniper Researchは、英国に本社を置く、コンテンツ専門の調査会社で、特に、成長著しいモバイル分野としては、ゲーム、着信メロディ、ギャンブルなど多岐にわたるレポートを出版している。
(筆者注11) Habbo Communitesは世界32カ国の子供等が利用している。もちろん日本語のサイトがあり、自由に利用しているようである。筆者が閲覧している時点でもオンライン利用者が371人、過去30日間の訪問者数は延べ239,102人と表示されていた(フィンランドのサイトを見たがオンライン接続中が1,612人、過去30日間の延べ訪問者数は1,238,744人であった(フィンランドの人口は約530万人)。このSNSサイトは「Habbo ジャパン株式会社」が事業主体であり、当然ながら商品の購入などに関しては「特定商取引法に基づく表示」が行われているとあり、同法11条に基づく要件は一応満たしていると思われるが、相手が未成年であることを前提するとこのままでよいのか大いに疑問である。
ある通信販売業者の表示例では、「未成年者の場合は、親権者の同意を得た後ご購入下さい。そうでない場合、 弊社の商品は未成年には販売できかねますので、ご了承下さい。尚、未成年者が成人と偽って購入された場合は、民法により成人者と同様の扱いになりますので、 ご注意下さい。」とある。これも言葉足らずであるが、少なくとも言及している。
より正確には、「民法4条の規定では、例外を除き未成年者から注文があった場合、その未成年者は注文を取り消すことができるとされている。これを回避する方法としては、注文画面に年齢を確認するためのフォームを用意することが考えられる。これにより、Webサイト運営者が未成年者を誤って成人と判断した場合には、民法20条にもとづき未成年者側は取消権を失う可能性がある。(経済産業省「 電子商取引等に関する準則(平成18年2月)」29~30頁参照)」であろう。
(筆者注12)Silicon Alley Insider社は世界的デジタル・コンテンツ格付け企業である。
そのHPを見ると“SAI 25”と言う項目があり、最新のデジタルコンテンツ企業上位25社がリストアップされている(Facebook(評価額90億ドル(約8,820億円))、Wikipedia(同70億ドル) 、Craigslist(同50億ドル)、Mozila Corp(同40億ドル)等があり、Habboは12億5千万ドル(約1,225億円)と上位グループに入っている。なお、Habbo の企画運営会社であるSulake 社のHPを見るとヴァーチャル世界およびSNSに特化したオンライン型娯楽企業であるとしている。
(筆者注13)レディング氏が引用した最近の研究とは、2008年9月1日に発刊された“Born Digital:Understanding the First Generation of Digital Natives”である。この本の執筆者(John Palfrey 教授とUrs Gasser助教授の共著)はハーバード・ロー・スクールのサイバー法やメディア法の研究グループ“Berkmann Center for Internet & Society”のメンバーである。実は過去のブログでも紹介したことがあるが、筆者も同センターのディスカッショングループのメンバーである。
(筆者注14)レディング氏はコメントのもととなる欧州委員会の公的資料には言及していないが、筆者が独自に知らべた限り次の資料にもとづくものと思われる。
“PUBLIC CONSULTATION ;Age Verification,Cross Media Rating and Classification,Online Social Networking”のQuestionnaire 3の箇所である。 http://ec.europa.eu/information_society/activities/sip/docs/pub_consult_age_rating_sns/results/iyac_a532002.pdf
(筆者注15)Sonia Livingstone 教授はロンドン大学メデイア・コミュニティ学部教授で社会心理学が専門である。
Sonia Livingstone 氏
(筆者注16)英国では、2003年7月にEU での先陣を切って通信と放送両分野の規制の統合を目的とする新たな法律として「2003年通信法(Communications Act 2003)」が成立した。これに基づき、同年12月通信と放送分野に個別分散していた5つの規制機関が廃止され、それらの機能・権限を統合した新しい独立規制機関「通信・メディア庁」(Ofcom:Office of Communications)が誕生した。(レファレンス2004.11号 69頁より引用)。なお、Ofcomの活動内容については筆者が2006年5月13日付ブログで紹介している。https://blog.goo.ne.jp/fukuhei_2006/e/cc24045a04b98232e06798e596171db4
(筆者注17) レディング氏の原稿に基づき筆者が独自に調べたが“Good practice guidance for the providers of social networking ”と言うガイダンスは英国内にはなかった。本文の標題が正しいと思う。
同ガイドラインの策定プロジェクト・チームのメンバーは次の機関である。英国・米国の業界代表はもちろん研究機関、NPOだけでなく放送機関も含まれる等幅広い研究姿勢が伺える。AOL UK、Yahoo!UK、MySpace、セントラル・ランチェスター大学(サイバースペース研究機構)、ロンドン大学のソニア教授、安全なインターネットのための慈善組合連合、Orange、Facebook、Childnet Intenational、BBC、全米子供の搾取から権利を守る保護センター、Internet Watch Foundation、UK モバイルブロードバンド・グループ、Google /Youtube、Mychild Online(オランダ)等である。
(筆者注18)“insafe”は、要するにEU加盟国が協力して安全なIT社会特に若年層の保護を狙いとするネットワーク拠点である。実際アクセスしてみると分かるが、各国の情報拠点との接続やEU加盟各国(25か国)へのヴァーチャルツアー接続ができる。試しに英国の国旗フラッグをクリックしてみた。主人公の名前の紹介からはじまり、“detail” というタイトルのアニメが始まった。要するに「個人情報は簡単に他人に渡してはいけないよ!」という内容である。マイクロソフトが作成したもので大変楽しくかつ教育的配慮が気に入った。このほかに、違法なSNSのコンテンツの報告サイト(国際インターネットホットライン協会の報告サイト(inhope )にリンクする。当然ながら、EU以外のわが国や米国、台湾、韓国など35か国がリンク対象国になっている)やFAQによる解説など、わが国でも多くの参考となる内容が盛り込まれている。
〔参照URL〕
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/08/465&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/08/587&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
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