Civilian Watchdog in Japan-IT security and privacy law-

情報セキュリティ、消費者保護、電子政府の課題等社会施策を国際的視野に基づき提言。米国等海外在住日本人に好評。

ホワイトハウスの無人航空システムの使用時のプライバシー権等に関する覚書と法制整備等の最新動向(3完)

2015-03-22 16:59:00 | 個人情報保護法制

Last Updated:April 30,2024

Ⅲ.国土安全保障省(DHS)のOIG(監察総監部)の批判的内容の監査報告書と連邦議会の反応

1.OIGの監査報告書

 2014年12月、DHSの内部監査機関であるOIG(監察総監部)は税関・国境警備局(CBP)におけるUASの支出の無駄につき次の内容の報告書(U.S. Customs and Border Protection's Unmanned Aircraft System Program Does Not Achieve Intended Results or Recognize All Costs of Operations 」全文(全37頁))を公表した。 (筆者注14) (筆者注15)その概要を仮訳する。 

 米国の国土安全保障省(DHS)の税関・国境警備局(CBP)は、8年間にわたり市民の税金を何億ドルを消費した後においても、かかる費用を抜本的に控え目にいっている一方で、未だにUAS(Unmanned Aircraft System(無人航空機))プログラムの総額の支出額を立証していない。

 DHSの監察総監室(OIG)の調査結果に基づく最新の報告によると、 OIGはCBPが追加的に無人航空機の購入につきさらに4億4,300万ドル(約483億円)を費やす計画を破棄し、それらの税金を効果的に利用するよう勧告した。 

 米国税関・国境警備局のUASにかかる全費用に関する検証作業(OIGの2012年以来の第2回目の監査プログラム)は、CBPの航空・海上作戦局( Office of Air and Marine Operations:AMO)、航空・海上担当官(Air and Marine Officers:OAM)の努力には性能を測定する確かな方法が未だになく、かつ不法な移住を食い止めることの効果は最小限であったことが判明した。 

OIGは、2013財政年度(Fiscal Year 2013)の間に明確に以下の問題点を見出した。

① OAMは、無人航空機を運用するのに時間あたり2,468ドル(約27万円)かかったと見込んだ。 一方、OIGはOAMがオペレータの給与、設備および諸経費(overhead)等のような主要なコストを省略したことに注目して、実際の経費は時間あたり1万2,255ドル(約134万円)であることが明らかとなった。 

② 実際の飛行時間はOAMが想定した1日あたり16時間、365日の稼動目標とはほど遠かった。 OIGは、それらの目標時間の22パーセントだけにおいて、無人機(しばしば悪天気によって基地に置かれたまま)が飛行したことが判明した。 

③ CBPは米国のSouthwest Border(テキサス州からカリフォルニア州までの1,993マイル)を無人機監視することを売り込んだが、実際の展開の大部分はアリゾナ州の100マイル前後とテキサス州の70マイルのセグメント・エリアのみに使用範囲が制限された。 

 ④無人機監視は、不法移民の2パーセント未満のCBPの検挙を助けるのが功績とされた。しかし、監察総監ジョン・ロス(John Roth)は「高額な投資にもかかわらず、私たちは無人機がより安全な境界に貢献するという証拠を全く見出せないし、そして、現在追加しようとしている税者の税金を投資する理由が全くない。また、CBPが国境の安全性を確保するのはCBPとDHSにとって重要な任務であるが、CBPの無人機プログラムは、今までのところその努力の報いているにはほど遠い」と、C-SPAN 等で述べた。 

John Roth氏

 同時に同総監は、2015年2月26 日に連邦議会下院の国家安全保障委員会・監視および管理機関の効率化小委員会(Homeland Security:Before the Committee on Homeland Security Subcommttee on Oversight and Efficiency)において同主旨の証言「Assessing DHS’Performance:Watchdog Recommendations to improve Homeland Security 」(全13頁)を行っている。その詳細は略す。 

2.連邦議会の反応

 OIG報告は、ブッシュ政権の移民問題と並行する新年度DHS予算問題と微妙に関連するものとして連邦議会の論議を呼んでいる。 

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(筆者注14) 2014年10月24日、 関税・国境警備局の行政局副局長(assistant Commissioner Office of Administration)がOIGの報告書案に対する反論意見書(全8頁)を提出している。 

(筆者注15) 米国人権擁護団体EPICサイト「Domestic Unmanned Aerial Vehicles (UAVs) and Drones」もDHSのOIGの監査報告書を取り上げている。

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