十善戒の止善と行善(止善とは悪を止める善。行善とは善をおこなう善。釈雲照師の「仏教の大意」とお大師様の「秘密曼荼羅十住心論」よりまとめました。)
㈠ 慈悲不殺生戒・・
止善。生きとし生けるものを殺さない。
行善。人の危難を救い、病を療し、薬を施与し、鳥獣魚鼈を放生し育成する。
(効果、「端正長命にして諸天護る(秘密曼荼羅十住心論)」)
㈡ 高行不偸盗戒・・
止善。畜生の物に至るまで他の所有に属する者は之を侵さない。
行善。貧愚を救い、産業を資け、仏寺を建て、学舎を開き、道路・橋梁等を修築し、禽獣虫魚に餌をやり、放生池をつくり、生きとし生けるものに安穏な生活を得せしめる。
(効果、「資財不壞にして天上に生ず(秘密曼荼羅十住心論)」)
㈢ 浄潔不邪淫戒・・・
止善。己が妻にあらざる婦女を犯さず、また妻といえども非処・非量・非支において情欲を恣にせざること。
行善。月の六斎日(8日・14日・15日・23日・29日・30日)及び父母の忌日には八斎戒(不殺生・不偸盗・不淫・不妄語・不飲酒・不坐臥高広大床・不著香華瓔珞香油塗身不作唱技楽故往観聴・不過中食)を守り、加えてこういう日には酒肉五辛(にら,ねぎ,にんにく,らっきょう,はじかみ (しょうが,さんしょう) )を断ち食欲を制し美膳をさけ心を浄界に遊ばし、清浄梵行を尽くして一日一夜は仏陀・阿羅漢・聖者の行いに倣う。
(効果、「所有の妻妾侵奪されず 是れ圓寂の器にして生死を出(秘密曼荼羅十住心論)」)
㈣ 正直不妄語戒・・・
止善。口の妄語のみならず身心の嘘にいたるまで畏れ慎む
行善。人に勧めて善語実語を遵奉讃嘆せしむ。
(効果、「一切皆な信じて供する(仕える)こと王の如し(秘密曼荼羅十住心論)」)
㈤ 尊尚不綺語戒・・
止善。滑稽・狂詩・狂歌・狂言等をなさずに言語をつつしみ守る
行善。言語質実正直・謹厳・正実篤厚になる。
(効果、「現身に即ち諸人の敬を得る(秘密曼荼羅十住心論)」)
㈥ 柔順不悪口戒・・・
止善。悪口を言わない。
行善。恭謙、温良、順正の語を出して人を慈悲・尊敬する。
(効果、「勝妙の色(形)を得て人皆慰んず (秘密曼荼羅十住心論)」)
㈦ 交友不両舌戒・・・
止善。他の親交を破る話をせざること。
行善。衆人の間に不和あるときは間に入り友愛・真実の語をもって和合せしむる。
(効果、「親疎堅固にして怨の破る無し (秘密曼荼羅十住心論)」)
㈧ 知足不貪欲戒・・・
止善。五感に触れる五塵六欲(「五塵」は色・声・香・味・触。「六慾」は六根によっておこる、色欲・形容貌慾・成儀姿態慾・言語音声慾・人相慾・細滑慾。)男女資材等はみな虚妄無常・泡沫幻影の朝霧のごとくであると達観して求めない。
行善。布施をし、他人の財施・慈善を讃嘆随喜すること。
(効果、「現に珠寶を得て後に天に生ず(秘密曼荼羅十住心論)」)
㈨ 忍辱不瞋恚戒・・・
止善。意にそわない境遇に対して怒らないこと。
行善。慈悲喜捨の四無量心(すべての生きとし生けるものに安楽を与えようとする慈無量心,すべての生きとし生けるもの苦難がなくなることを願う悲無量心,すべての生きとし生けるものの希望ががなうことを願う喜無量心,すべての生きとし生けるものが悟れるように願う捨無量心..)をもって一切衆生を憐憫すること。
(効果、「一切に愛せられ 輪王の七寶此によって得(秘密曼荼羅十住心論)」)
㈩ 正智不邪見戒・・
止善。自分の我見妄識の憶断を制御して天命を畏れ慎むこと。
行善。「万象は三世因果善悪応報の姿でありこの法則を欺くことはできない、しかも万象は幻の如く空である」という真理を覚り、上は諸仏菩薩・天神を崇拝し、下は一切衆生を憐憫し我見を排して金剛不壊の正智見に安住すること。
(効果、「是れ菩薩の人なり、煩惱を断ず(秘密曼荼羅十住心論)」)
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