讃観世音菩薩頌和釈・・7/20
繫縛牢獄
「若人繋縛在牢獄 身嬰枷鎖及杻械 至心稱念觀音故 其人須臾便解脱」
若し人の罪無きに繋縛されて牢獄に入りたり、身は手を杻して足を械し頚を枷し、身に鎖を繋ぎて縛らる時に、至心に観音を念ひて名を唱れば須臾に繋縛の解けて牢を壊て脱出んと也。
平家の滅びて景清は尾張熱田の大宮司へ隠居しが、頼朝公は大宮司を篭舎は景清は其れと聞て都に登りて六波羅の館へ名のり出て自ら手を組んで縛られ厳しき篭に入れしが、人の諺に平家の代には観音の変化のものといはれし景清も今は神力を抜けてやといふを聞きて心に観音を念じて右手にて篭を押すに大釘ちぎれ手綱も解けて篭の破れより出て清水へ詣でけり。