讃観世音菩薩頌和釈・・6/20
猛炎為害。
「烈火猛焔惡風起 延燒屋宅焚及人 至心念彼功徳藏 應時災火不爲害」
大火の発りて猛き焔の烈て焼けるに悪風の起こりて焚の盛んにて人も焼んとする時に、心に誠を致して観音の功徳を念ずれば、時に応じて災の火も害を為さずとなり。
備後の沼隈郡栗原村(広島県尾道市)の善右衛門の長屋焚上りしが既に本宅に燃付きけるを主はさはがず大寶山(大宝山 千光寺)の方を拝みて一心に観音を念じて此の急難を救はせ給はずば年来に誦し普門品の「火不能焼」(若有持是觀世音菩薩名者。設入大火火不能燒)の文は妄語ならんと責めて唱名せしが頓に風の転じて火は滅ける。見る人皆観心して急ぎ千光寺の観音に詣でて一夜いねず籠りて名号を唱て報恩奉る。(冥應集(観自在菩薩冥應集))