福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

地蔵菩薩三国霊験記 13/14巻の3/9

2024-10-27 | 先祖供養

地蔵菩薩三国霊験記 13/14巻の3/9

三、紙屋川地蔵院

長安城北野大将軍地蔵院(京都市北区大将軍川端町2. 地蔵院(椿寺))の本尊は往昔行基菩薩一刀三礼して御長六尺二分(約182㎝)に刻み給所なり。靈験無双の御佛なり。古は内野と云所にありて堂舎歴々として僧衆群居り明徳の比(1390年から1394年)数度の乱逆により哀しむべし焦土となんぬ。せれども佛の威神の力、火も焼くことあたはず、刀杖も加る事なく本尊ばかりはのこり玉ひけり。中比天正の歳(1573年から1592年)道清法師と云人あり、其の質柔和にして然も勇猛の心を抱けり。宿因の動かすところ、地蔵尊に帰依しけり。されば此の堂宇の退転せんことを憂て都鄙に進めて信を進め助縁を真にありがたくぞ覚へける。兎角して施入も漸く加倍しければ、盗賊此の事を傳聞きて夜に紛れて忍び入りて奪はんとするに、道清此を防がんとするに一人の賊、鎗を以て真中を指し突ぬ。流石いぶせくや思ひけん悉く立ち去りぬ。道清は茫然として居たりしが、故無く退出することの喜びに佛前に向て念誦しけるに、本尊の御正体より血を流すこと瀧の如し。不思議の事にありしに暫くありて件の盗両人来たりて唯今手を負わせたる道心はいかが死したりけるやらん真中なればさこそあるらんなどつぶやき猶も施物をぞ心掛けて佛前まで至りしが、道心つらつら事の子細を聴きて感応の速やかなる事を念じ一言の下に彼の邪心を開発せんことを慚愧させんと思ひければ、如何に方々何条直中を突き通したる道心こそ此の如くありけると、本尊を指さして燭を以てぞ示しければ、盗賊此の由を見て大に驚きこはいかなることぞや我等露命を羈(つなが)んとてまさしく出佛身血の罪とや。且亦僧を破するの咎、」佛物を盗まんと思ふの過、誠に五逆十悪の列に入れり。此の如きの目前の奇特を信ぜずば未来の呵責免るべきにあらずと発露涕泣して謝し申しける。道清の云く、神妙の志かな、されども汝等に罪あるに似たれども、上欲せざれば賞すと雖も盗まじ。唯三界は火宅なり、安きことあらじ。自今已後佛法に帰入ありて往昔の罪を悔玉へ、とぞ示されける。賊は聞きて有難き御事なり此の上は改心せざらんは草木に異ならずと二人ともに髻を切りて無為の道にぞ入りける。逆縁とは申しながらありがたくぞ覚ふ。されば道清志を成弁して一宇を草創して此の本尊を安置す。實に祈るに得益影に隨ひ利生廣大なり。就中悪病瘧(おこり)等に苦しむともがら、真切に祈り申せば立ち所に癒ゆ。其の霊験測るべからず。委しくは彼の寺の縁起を見るべし。

 

 

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