後期高齢者医療制度のあり方について毎日のように議論が交わされてはいるが、流れてくる情報の何をよすがにすればよいのか全く判らない最中。
表立って報道されている年金からの保険料天引きとは別に、高齢者の負担増に関わる点に気づかされた。
75歳以上が対象の後期高齢者医療制度(通称・長寿医療制度)に移ったことで、市町村の国民健康保険で独自に実施されている人間ドック費用の補助が受けられないケースが相次いでいる。22日の衆院決算行政監視委員会で、山井和則議員(民主)が指摘した。
多くの市町村国保では、加入者が人間ドックや脳ドックを受ける際に費用の一部を負担している。厚生労働省によると、05年度時点で1200余りの市町村国保が人間ドックの助成制度を設けていた。
しかし、4月から75歳以上の人は新制度に移行したことで、国保独自の支援を受けられなくなった。新制度を運営する各都道府県の広域連合では、人間ドックや脳ドックに対する費用補助を実施しているところはないという。
京都府では、昨年度まで26市町村中23の自治体で人間ドックに補助が出ていた。広域連合での補助も検討したが「保険料が膨らむほか、国保以外の人もいる」などとして、見送ったという。横浜市では、3万~4万円かかる人間ドックが、国保からの補助があり、1万3千円の自己負担で受診できた。
山井氏は「高齢の方には、なぜ今まで受けられていた人間ドック(の補助)が受けられなくなったのかという怒りがある」と指摘。厚労省は「各市町村の実態把握に努めたい」としている。
asahi.com 2008年04月22日22時30分 記事より抜粋
この情報を知るきっかけとなったのは、『毎年受けていた人間ドックが止(や)まってしまうらしいんやが。』という父からの電話。おかしな言い草だが、父はこの人間ドックだけはここ数年欠かさず受けている。基本的に医者嫌いの父がだ。
上記の記事にあるとおり、国民健康保険からの一部助成により、本人負担が少なく、一通りの詳しい検査を受けることが出来ていた。
それが、後期高齢者医療制度への移行により、昨年まで受けることが出来ていた人間ドックの検査は全額本人負担となる。代替の策として、県後期高齢者医療広域連合による健康診査(無料)がありはするが、内容が全く違い、希薄な検診となる。
しかも、個々に宛てた受診案内などはなく、市の広報などでこの情報を気に留めることができた人が、自ら、健康診査を受けたい旨を市に申し込まないといけないらしい。
たしか国は、予防重視の高齢者支援の方向性を打ち出していたと思うのだが、人間ドック受診によって早期発見・早期治療を目指していたのと違うの?
働き盛りの労働者にとってみても、人間ドック代の3~4万といえば大きな出費。
それでも、医者嫌いの父が人間ドックだけは自らの意思で欠かさず受診していたので、せっかくできた良い習慣を途切れさせてはいけないと思い、今までと同じ医療機関での人間ドックを電話予約した。
「予約しといたよ。」と電話すると、「お~、そうか。今までの(検査費用の)倍から上かかるが、受けといたほうが良かろう。」と、安堵したような返事が返ってきた。
不勉強な人間が、一部だけを知ってあれこれ騒ぎ立てるのもどうかとも思うが、それでも、振り回される当の高齢者が一番困惑していることを知っておいていただきたいと思う。