囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

智恵と清廉の組み合わせ

2020年07月09日 | 雑観の森/政治・経済・社会

 

率直に欠点や間違いを指摘できる間柄 ~ 忖度も時と場合によりけり の巻】

 

 

智恵伊豆と綽名(あだな)されたほどに

鋭敏才智に富んだ松平信綱

四代将軍・徳川家綱が幼少であった頃は

独裁政治を行っていた。


ある時、同役と雑談していた時

「将軍には目下弱年にあられるゆえ

物事すべて慎重に心掛けねばなりませぬ。

従ってもし諸大名より音物(いんもつ)が

ありましょうとも、拒絶するように

ありたいものです。

これから固く申し合わせ

諸侯においても同様の心掛けであるよう

申し渡してはいかがでしょうか」

と提議した。


その席にいた阿部忠秋剛毅朴訥な人物。

「そのご意見は、至極ごもっともですが、

さて、我々の方へは未だ音物を持参した者とてなく

また当方から贈り物をした覚えもない。

他はともあれ、我々の方は禁じようもない

と申し上げたい」と言った。


さすがの信綱も、

これにはかえって赤面した、

と伝えられる。


         ◇


二人は互いの欠点を指摘し合い

よって天下の統治は盤石であったという。


常に正しい行いをなし

不浄な贈り物を受けないことを

「魚を受くれば禄(ろく)を失う」

とある。

紀元前の「事分類集」に

ワイロを断る話がみえる。

 

今日のようにカネを巡っては

清廉とは程遠く

堀の中に落ちるエライ先生にとっては

耳に遠い話であるかもしれない。

 

 



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