【ナンチャラ名人は古今東西おいでになるようで の巻】
1953年9月。
ソビエト連邦の新聞社が発行する
コムソモールスカヤ・プラウダ紙によれば
モスクワに近いロストフという都市に住む
クルイロフという男が
ウソつき世界選手権のチャンピオンだった。
クルイロフは、前歴を偽り
離婚手続きをせずに結婚すること3度
詩人として新聞の文芸評論家となり
ある時は技師と称して電気時計会社に勤め
またある時はハリコフ演劇研究所で4年課程を修了した
と偽り、師範大学に奉職した、という。
他人にはちょっと想像もマネもできない広範なるウソを
ついて暗躍している。
同紙は、これは両親が「ウソをつくのは悪いことだ」と
せがれに教え込まなかったからだ、と解説している。
◇
風呂敷は、日本独特の伝統文化の所産であるが
これは、室町幕府三代将軍・足利義満が
室町の邸に大きな湯屋を設けて
近習の大名をして風呂に入らしめた時
その衣服を間違えないようにと
各大名の定紋をあらわした袱紗(ふくさ)を
備えたのが始まりとされる。
融通無碍かつ変幻自在にて、まこと重宝なもので、
大きな風呂敷はどのようなモノでも入れられる。
そこで、あろうことか
広い智識を持って誇大な言を口にする者
あるいは大言壮語するホラ吹きのことを
「また大風呂敷を広げている」などと
言う様になった。
◇
囲碁の名人は
安土桃山期から発し、
江戸から昭和の初めまでは
1人ないし空位であった。
九段も同様で、唯一無二の孤高の存在だった。
しかし現代は粗製乱造、九段がうじゃうじゃ。
伸び盛りの三段、四段に負かされることも珍しくない。
いまは乱世、偽りの世といってもよいのか。
「人は嘘にて暮らす世に」(閑吟集)
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