翌朝は、始発のバスの時間に合わせて7時半と比較的遅めの朝食。
8時過ぎに宿を出て乗客が一人のバスに乗り十数分、
雄国沼登山入り口のバス停で降りて登り始める。
目も眩むような錦秋の中、緩やかに登っていく。何とも贅沢な至福の時だ。この登山路は雄国沼探勝路と名付けられ、
雄国沼までは標高差200mあまりのハイキングコースだ。
目の前に様々な色の紅葉が立ち現れ、私の身と心を染め上げていく。
厳しい北国の冬が作り上げた穴の開いた老木、それでも倒れることなく生きている。
標高1100mを超えた辺りから落葉した木々が目立ってきた。山道がふかふかしていてまるで絨毯の上を歩いているようだ。
坂は急になだらかになり、湿った道の上に木道が敷かれている。靴音を潜ませてゆっくりと歩く。
雲はどこへ行ったのか、青空が見えてきた。
葉をすっかり落としたサワフタギの青い実や、
黄色い薄皮がはじけて朱色の種を出したツルウメモドキが迎えてくれる。
藪の中には ヤマブドウも顔をのぞかせている。少し頂いたがはっとするぐらい酸っぱかった。
雄国沼の休憩舎が見えてきた。左側に見えるなだらかな頂きは雄国山(1271m)だ。
この時期観光客は一人としていない
万華鏡のような紅葉の色彩のトンネルを抜けた後の、このすっきりとした風景がとても心地よい
微風の吹きすぎる土手に沿って歩く
出迎えてくれるのはいまだ色を保っていたアザミと
葉は枯れても花はまだしっかりとした野菊の仲間。
笹の葉の間から顔を見せたセンボンヤリ
頭上にはナナカマドの真っ赤な実
白化したヤマウルシの実があちらこちらにぶら下がっている。
足元にはシラタマノキの白い実
沼の北の端まで来た。沼の水はここから雄子沢川となって檜原湖にそそぐ。
沼を離れ再び登りが始まる。木々はむき出しの枝を見せてすっかり冬の様相だ。
ユキザサの真紅の実が山道を飾っている
ツルリンドウの花がまだ咲き残っていた。
沼から1時間、標高200mほど登ったところで猫石が見えてきた。
猫石から見た雄国沼
猫石から少し下って登り返したところが、化け猫伝説の言い伝えが残された猫魔ヶ岳(1403m)。
北東の西吾妻山は雲にかすんでいて望めない。
残念ながら東にそびえる磐梯山も頂を雲に隠したままだった。
今日はこの辺で。次回は八方台から銅(あか)沼をとおって五色沼への路。