先日、数年ぶりに三浦綾子記念文学館を訪ねた。雪景色の見本林の中に凛として佇む文学館はたいそう風情があった。館内も静かで暖かみがあり、1階から2階へと巡るうちに、展示された作品や資料を通して綾子さんの人となりやメッセージが伝わってくるような気がした。。本人の生き方が作品等と切り離せなく魅力的なのはどこか宮沢賢治さんと共通する気がする。
三浦綾子記念文学館
バスの時間までに間があったので、館内の喫茶コーナーに立ち寄り、コーヒーを頂いた。私のほかにもう一方、男性の方も休んでいて、コーヒーを入れてくれた女性の方と楽しそうにお話しをされていたが、ほどなく、私もその話に加えていただくことになった。この方の奥様は三浦綾子さんの秘書をされていたそうで、記念文学館開館に向け、奔走していたという。開館後に病が見つかるも時はすでに遅く、半年ほどで亡くなったとご主人は話されていた。病名を知っていた奥様はご自分の遺影や焼香順をはじめとする葬儀に関わる一切合切をノートにしたためて逝かれたとのこと。お人柄がしのばれるエピソードだった。綾子さんの信頼もさぞかし篤かっただろう。私も爪の垢ほどでも見習いたいものだと勉強になった。このような話を気軽に交わせるのも、この記念文学館ならではなのかもしれない。