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鼻が顔の中心にあるのは人間だけではない。猿も象も猫、犬、熊なども・・・・・。
広辞苑には「①(端(はな)の意)哺乳類の顔の中央に隆起し、呼吸・臭覚をつかさどり、発声を助ける器官。また、その形やはたらき。②(自分の鼻を指し示す習慣から)自分。男が自分自身を指していう語。③鼻唄(はなうた)の略。」とあるから哺乳類は顔の中心に鼻があるのが普通らしい。「鼻が高い。鼻っ柱が強い。鼻が曲がる。・・・・」など、鼻にまつわる言葉も多い。
「クレオパトラの鼻、もしもそれがもっと短かったなら、大地の全表面は変わっていただろう。」(パスカルの『パンセ』より直訳)という、美人の誉れ高いクレオパトラならではの鼻にまつわるエピソードも印象深い。
鼻という題名の文学作品も洋の東西にある。日本では芥川龍之介、ロシアではゴーゴリ。イタリアの作家コッローディによる「ピノッキオの冒険」の主人公は大工のジェッペットが作った木の人形で、嘘をつくと鼻が伸びるしかけになっていた。もし、人間に、このような仕組みがあったらと考えるとちょっと怖い。伸びたり縮んだり、激しい動きに目を奪われて、会話が成り立たないかもしれない。
けれども、テレビに登場する人物の言っていることが本音か嘘かが分からない時、こういう物差しがあったらいいなとつくづく思う今日この頃。
《新潮文庫》