透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

「鈍行列車に乗ってどこまでも」の舞台を観る

2018-03-12 22:01:58 | 日記

晴れ。最低気温-3.5℃、最高気温2.0℃。

 

〈岩見沢市民会館〉

昨日、我が家から車で40分の岩見沢市民会館・文化センターまなみーるへ家人と出かけました。

新篠津高等養護学校演劇部による自主公演「鈍行列車に乗ってどこまでも」が、この日のみの2回公演となっていて、私たちは午後2時開演の初回の舞台を観劇しました。

脚本を手掛けたのは、同校の演劇部顧問山田勇気氏によるもので、オリジナル作品です。

自身が高校時代、演劇部で宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の主人公ジョバンニを演じた際、「みんなのほんとうの幸い」とは何かを考え自分の生きる道を決めたという経緯を持ったとパンフレットにありました。

氏はその後、「たとえ自分の夢を叶えて、満足に食事をとり、好きなことに興じることができても、隣にいる人や隣国の人、同じ地球に生きる人そうでない人がいたときに、自分は本当に幸せだと言えるのだろうか。そんな状況を突きつけられ、あまりに狭義に考えていた自分の『幸い』に恥ずかしくなったのを覚えています。」と綴っています。

さらに、「目の前の生徒たちが銀河鉄道に乗って自分がどう生きるべきなのかを見つけてほしい、輝かしい未来だけを見るのではなく、ブラックホールのような暗い闇にも向かって行きしっかりと真実をみつめることができる、そんな人になってほしい。そんな思いを込めて作った作品です。」とありました。

タイトルの「鈍行列車に乗ってどこまでも」は、部長の生徒が中学校のときに先生から実際に言われた「みんなは新幹線であなたは普通列車だから」という言葉からヒントを得てつけられたそうです。

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70分間の舞台はテンポよく進み、時に笑いがあり、時に「ほんとうの幸い」とは何かを考えさせられるもので、演劇部員の皆さんの迫真の演技やメリハリの利いた舞台構成に少しの間も目が離せませんでした。

脚本も演技も舞台構成も完成度が高く、何度も胸が震える思いがしました。幕が下りても、「みんなのほんとうの幸い」とは何だろうとの問いが頭を離れませんでした。

「役に立たないもの」「採算がとれないもの」を切り捨てたり、多様性が受け入れられない風潮がみられる昨今。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を糸口に、これらをどう受け止め、どのように向き合うのかを等身大で演じきった高等養護学校の演劇部の皆さん。この舞台に関わり、支え手となった多くの方々。

皆さんの透明なエネルギーが胸に沁みました。

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