雪のち晴れ。最低気温-14.1℃、最高気温-4.2℃。
北海道立図書館のそばにあったナナカマドの木と赤い実です。
旭川生まれの作家、井上靖はこのような光景を、「雪をかぶったナナカマドの、あの赤い実の洋燈(ランプ)。」と詠っています。
私は十七歳のこの町で生れ
いま、百歳の、この町を歩く。
すべては大きく変わったが、
ただ一つ、変わらぬものありとすれば
それは、雪をかぶったナナカマドの、
あの赤い実の洋燈(ランプ)。
一歩、一歩、その汚れなき光に、
足許を照らされて行く。
現実と夢幻が、
このようにぴったりと、
調和した例を知らない。
ああ、北の王都・旭川の、
常に天を望む、凛乎たる詩精神。
それを縁どる、
雪をかぶったナナカマドの、
あの赤い実の洋燈(ランプ)。
〈旭川市内の井上靖文学碑に記された詩から〉
雪をかぶったナナカマドの赤い実を見るたびに、「赤い実のランプ」という言葉を思い出すようになりました。
雪降りの後には美しい赤い実のランプがこの街にもたくさん灯ります。