HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

カンボジア

2009年11月14日 | 細美武士/the HIATUS
来週いよいよthe HIATUSの新譜が出る。
まだラジオとかでもまったく聴いたことがないので
どんな曲か想像するだけでドキドキしてくる。
ズルのないクリアなバンド魂と音がそこに
存在するんだろうね。

そんなthe HIATUSの細美くんの休暇先はカンボジアだった。
予想外の場所であり、私には驚くべき場所だった。

なぜなら、カンボジアは私の人生にとっても
ある種のターニングポイントの場所だったから。

もちろん、一度も行ったことはない。
でも、行きたい国だ。

以前ブログに書いたと思うけれど
私はいっとき戦場カメラマンにあこがれ
同時に戦場や紛争を取材する記者の本を
かなり読み込んだ時期があった。

そんな中で、友達が薦めてくれた本に
「戦火と混迷の日々」がある。
作者は近藤紘一さん。残念ながら
彼はもうこの世にいない。

その本にはポルポト支配下のカンボジア
やクメール・ルージュについての記述が
あった。

カンボジアの重要な遺跡のアンコールワットが
どれだけ破壊されそうになったかを知ったのも
この本がきっかけである。

また一ノ瀬泰造氏の「地雷を踏んだらサヨウナラ」
を読んだのもこの頃だ。これは浅野忠信主演で
映画化されている。

同時に沢田教一氏について知ったのもこの頃だ。

当時の私にとってこれらのカメラマンたちや
記者あるいはカンボジアとベトナムという場所は

日々の頭から離れない音楽と似たような存在だった。


当時は「生きてる」っていうのは
どういう時に一番強く感じるのだろう?って
いつも思ってたからかもしれない。

もちろん、ふだんは周囲と合わせて
くだらない話にも耳を傾けて
どうでもいいようなうすっぺらい恋ばな
に適当に合図づちをうち
こんなつまんない世の中で
どうやったら生きているっていう
充実感を得られるんだろう?って
内心いつも思ってた。

そんなとき、まず石川文洋さんの
「戦場のカメラマン」という本と
出会い、そして先に述べたこれらの
人たちを知る事となる。

毎日毎日彼らの本を読み、
映画も「キリングフィールド」とか
「プラトーン」とかそういう映画を
選んで見ていた。

一ノ瀬氏も沢田氏も結局カンボジアで
亡くなったわけだけれど
彼らは「生きる」意味をそこで
あざやかに感じていたんだと思う。

私は自分もそんな感覚を味わいたくて
戦場で写真を撮りたいと思い始めた。

なんだか怖いものなんてなくなったように
思えた。

だから決断できたんだ。
すべてをいったんやめて
ひとりで海外へ行く事を。

選んだのはイギリスだった。
それはジャーナリズムの先進国だったから。
英語が通じる国だったから(英文科出身だったから)
そして、BBCでのカメラマンたちの凄さを
知ったから。


結局、私はたいした人間ではなかったので
戦場のカメラマンにはなれなかった。

ただ、今は「生きてる」を激しく感じなくても
「生きている」ことの意味を感じることが
できるようになった。

だから、戦場は必要なくなったんだ。

イギリスへ単身で片道の
エアーチケットを持っただけで渡り
そこでいろんな人たちと出会い
別の世界が開けたのも確かで、
それがなかったら、もっと
悲惨な人生だったかもしれない。



細美くんはどうしてカンボジアだったんだろう?

アンコールワットを見たかったのか
やっぱりそこでの強い「生命」を
感じたかったのか。

細美くんがアップしてくれた
カンボジアの写真を見ていると
遠い日の自分が生きることを
感じようとしていた頃を
ふと思い出し、そして
遠い日のこの国の悲劇が
もう世界のどこにも
くりかえされないようにと
命をそこで失った魂たちが
その美しい景色を見せることで
願っているように感じられた。


今この時期に細美くんがカンボジアへ行ったという事実
そこには何かの意味がある気すらしてくる。

生きているということは
美しい景色をどれだけ見れるかで確認できるし


その音楽がどれだけすばらしいかを知るには
美しい景色をどれだけ心で見れるかということだと

なんだか彼の日記と写真を見ていて思った。


彼の歌を聞けば

今自分が生きる意味が鮮やかな風景とともに
感じることができる気がするんだ。

不思議だな~。





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