乗馬体験をした。
最近、何度も利用している小田急線で、「渋沢」駅からマイクロバスで15分。
案の状、山の上。
急な坂を上っていくと自家用車が何十台も路肩や駐車スペースを埋め尽くしている。
玄関に横付けになり、バスを降りる。
職員が何人か並んでお出迎え。
「体験に」と告げると、少し奥まった机のところに案内された。
隣の席では二人連れが、書類の記入をしながら、談笑している。
優しげな女性が、笑顔で、あれこれ話しかけてくる。
書類についての、説明を受けて、談笑しながら、記入していく。
病歴、体調、投薬のことなど色々な項目があった。
レンタル(長靴やジャケット、帽子など)占めて1,050円と保険料200円を払う。
長靴を履いてジャケットを着る段に、「(馬の背に乗ると)暑くなりますよ」との助言に一枚脱いで
半袖のTシャツになる。
テープがついていて、フィットさせる。救命胴衣みたいだ。
帽子には汗取りテープが張られて、さっそく、かぶってみる。
ぴったりだった。
服装の準備ができると、荷物をロッカーにしまう。
2階に案内され、順番を待ちながら下の馬場ですでに馬乗の人たちの様子を観察。
楽しそうに、手綱を取られながら、ゆっくり、ぐるぐる回っている。
ほどなく、順番が来て、今度は、優しげな男性が迎えに来てくれた。
色々話しながら厩舎へ。
今日の馬はこの「ムスタングです」と紹介。
ムスタングは、食事中。
食事が終わるのをまって、鞍などをつけられ、馬場へ。
「はいどうぞ」といきなり、馬に乗るための踏み台がセットされた。
「上に乗って、左手で手綱とたてがみを、右手は鞍をつかんで、
左足を鐙に乗せたら、右足を振り上げて、鞍にまたがって」
いわれた通りに、難なく馬上へ。
高いとは聞いていたが、確かにずっと下にトレーナーの顔がある。
平均台の上に腰かけているようで、気持ちは不安定。
横に揺れたら、落ちそう。内心びくびく。
色々な話のなかで、「えらそうに乗っていてください」という。
かかとあたりで「トントントン」とけるのだそうな。
それが進め。
トントントンとけるが、強くすると痛そうに思うので、つい軽くしてしまう。
はっきり、わかるようにするほうがいいそうな。
会話のなかには、馬の性質も色々あること。
「ムスタング」は、消極的なところがあるとか。
ぱっか、ぱっかとゆっくり歩き始める。
時折立ち止まりそうになると、「トントントンとしてください」と言われ、かかとでたたく感じ。
「とまれをしてみて」と言われ、事前にとまれの時は手綱を両手で引くとあったので、両手で手綱を引いてみた。
止まった。
いい感触。
「進めをしてみて」と言われまたゆっくり進む。
初めの不安定感は、消えて、ゆったり、した揺れを楽しむ。
そのうち、「速足してみますか」とのこと。
「やってみる」と即答。
歩いている最中に、「トントントン」を3回続けると、速足になるそうな。
まず、歩き始め。少し進んだところで、トントントンを3回。
初めは、少し、早くなるくらい。
それを何度かすると、大分早くなり、鞍の上で踊った。
歩くと、ちょっとの速足では、まるで違った。
ほどなく、またゆっくりモードに。
しばらくまた、色々な話をしながら、歩く。
いくらか、たつと、「もう一度速足してみます?」
ちょっと考えて、せっかくのチャンスなので、もう一度やってみることに。
一度体験したあとなので、気持ちには、ゆとりが。
鞍の上でぴょんぴょんも面白い。
馬に乗ると、お尻がいたくなるそうな。
明日か明後日あたり、椅子に掛けられないほどになると困るなあと
ふと思った。
ふとしたことで、実現した、馬乗体験。
馬に触れ、背中で揺られ、速足も、体験した。
馬の暖かさ、馬の首筋の毛並の柔らかさ。
顔は、ごつごつと骨があたり、耳は思ったより固め。
近くで見た馬の瞳の大きさと優しげなまなざしは、心癒された。
「ムスタングや、私はここにしかいません。また会いにきてください」
との熱いメッセージが心に残った。