実母は、継母に育てられたらしい。
仏壇に、年老いた女性の写真が飾ってあった。
「どなた?」と聞いたことはない。
毎朝、線香を立て、炊き立てのご飯を供え、お鈴を鳴らし、手を合わせる。
それが母の日課だった。
その姿を見ながら育った。
何かの折に、「継母」の話題が上った。
母は一言。
「継母に、良い母親はいない」
母の実の母は、幼いころになくなったらしい。
たぶん、継母に育てられたのだろう。
テレビドラマで、優しい継母の話などがあっても、母は、否定的だった。
第六話に「育まれゆく絆」がある。
この、話を聞いたら、母は、なんて言うのだろうか。
にっぽん家族の肖像
NHKスペシャル
NHK「にっぽん家族の肖像」取材班
小学館文庫