伊藤久男 イヨマンテの夜1975
ちょっと不良ぽさにあこがれる年頃がある。
中学3年の卒業式の時は、肩で風をきってあるく生徒がいた。
詰襟の高さを高くして、学ランふうにしたり、前ボタンをはずし、ポケットに手を突っ込んでという出で立ちが
何人かはいた。
高校生になると先輩の大人ぶりに、圧倒される。
高校3年生になると背筋を伸ばして、緊張する新一年生が可愛くみえた。
不良ぶっている子は、割合成績がよかったり、一見かっこよく見えたり。
子分を従えて闊歩しているのを見ると、あこがれが頭をよぎる。
授業のエスケープは自習時間。
早ベンもできない、模範生からは、悪ぶる者を軽蔑するより、羨ましく思った。
それが、勇気に見えたから。
少年院へ送られた少年を主人公にした本を読んだことがあった。
「法務教官」か、「社会福祉士」になりたいと思った。
その後、夢は違う方向へ行かざるを得ず、方向転換を余儀なくされた。
今は、平凡な仕事につき、趣味をたっぷり楽しんでいる。
関心はその後も続き、中学生や高校生の犯罪や事件には、やはり気になる。
「過去は消えない」
「自分が生き方を決めた以上、なにか問題が発生したときに学校や社会や大人のせいにすべきでない」
不良品
オレは既製品じゃない!
宇梶剛士
SB文庫