寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

記憶に残っている映画(18)「生きる」

2016年03月17日 09時29分50秒 | 寓居人の思い出話

 私がこの映画を見たのは、映画が公開されてから数

年が過ぎたある日、いわゆる3番館で上映されていた時

でした。はじめこの映画の主題は何なのか全く見当もつ

かない状態でした。それで同じ映画館で2回目を見て初

めてこういうことなのかもしれないと思いました。

 役所でマンネリ化した仕事をし、住民からの要望を責

任を取ることを避けてたらいまわしにするている。そん

な中で一人の課長が体調を崩し、医師の診察を受けまし

た。診断は胃潰瘍でしたが、課長はガンであると確信し

絶望から荒れた生活に走る。そのとき玩具工場の従業員

に、あなたも何か作ったらどうですかと言われた。

 課長は住民から強い要望のあった児童公園を作る決心

をした。様々な妨害を乗り越えて公演は完成した。課長

は雪の降る中その公園のブランコに乗って死んでいた。

役所は課長が死んでから元に戻ってしまい例のようにた

らい回しと無気力な仕事ぶりに戻ってしまった。

 しかし、住民の喜びは一入で、子供たちは楽しそうに

遊んでいる。

 この映画はいくつもの賞を獲得しています。昭和27年

「キネマ旬報」ベスト・テン第1位。昭和27年度芸術

祭賞受賞。

しかし、内容があまりにも日常的過ぎたということもあ

りましょうが、役所の仕事ぶりを批判した点は評価され

ました。

私はこの映画で、人間の絶望とそこから這い上がるきっ

かけはほんの小さな一言で足りるということを知りまし

た。私もインフルエンザをこじらせて大学で1年遅れる

ことになってしまったのを悩んでいた時、ある教授に、

長い人生を生きていくうちには、1年くらいつまずいても

それは誤差のうちだよ。その経験を今後に生かしなさいと

言われた。その一言で私は吹っ切れたことがありました。

監督:黒沢明

主演:志村喬

1952年10月封切。

 

 

 


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