私は昭和45年ごろの数年間、鳥取県東部の岩美町に住んでいたことがある。
卯月から皐月のころになると、海辺の砂浜に“はまぼうふ”を採りに出かけたものである。
当時でも、“はまぼうふ”は貴重な植物で、生息している場所も限られ、なかなか収穫するのは難しかった。
それでも“はまぼうふ”が持つ、独特の陽春の香りを求めて探しまわったものである。
しかし、乱獲や、環境悪化などにより、生息場所が狭められ、次第に姿が見えなくなってしまった。
もう、山陰の海辺からは、自然に生息する“はまぼうふ”は絶滅してしまったのでは、とも思っていた。
ところが、昨年、たまたま遊びに出掛けた山陰の某浜辺で、偶然 “はまぼうふ”を発見。
まさか、まさか、半信半疑で周辺を探してみると、かなり広範囲にわたり生息しているではないか。
この場所、まだ誰にも知られていない様子。
40数年ぶりの大発見、誰かに知らせ喜びを共有したい。
自慢もしたい、そんな思いに耐え、私だけの秘密の城にすることにしている。
先日、その浜辺で40数年ぶりに、自然に生息している“はまぼうふ”を収穫し、陽春の香りを満喫した。
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