君は誰?52

2025-02-27 09:54:26 | 日記
手のひらが、まるで助けを求めるかのように、すりガラスごしに見えて、すっと消えた。

やっぱり松田が変だ…。
 
それからしばらく、松田は学校へ来なかった。

「松田だが、急遽、家の都合で転校する事になった。」

「転校?!」

落ち着けば、いつも通りの笑顔で登校するものだと信じていた直樹と正人は、思わず声をあげた。

「先生!転校って?本当ですか?」

「嘘で転校するワケがないだろう!」

クラスの中でクスクス…と、笑いが起きた。

「どこに?」

始業のベルが鳴って、最後の質問が聞こえなかったのか、先生は教室を出ていく。