手のひらが、まるで助けを求めるかのように、すりガラスごしに見えて、すっと消えた。
やっぱり松田が変だ…。
それからしばらく、松田は学校へ来なかった。
「松田だが、急遽、家の都合で転校する事になった。」
「転校?!」
落ち着けば、いつも通りの笑顔で登校するものだと信じていた直樹と正人は、思わず声をあげた。
「先生!転校って?本当ですか?」
「嘘で転校するワケがないだろう!」
クラスの中でクスクス…と、笑いが起きた。
「どこに?」
始業のベルが鳴って、最後の質問が聞こえなかったのか、先生は教室を出ていく。