マンションの怪 17

2021-08-20 08:50:41 | 日記
Y子の部屋に入ると、ベランダ側にあったベッドはベランダ側から不自然に離れた場所へ移動されいた。

引っ越しをしてすぐに訪ねたことがあるので、Y子の部屋に来たのは初めてではない。

ベッドカバーを買うのに付き合ったっけ…。

この部屋には、いったい何があるんだろう…。

そう思って見ると、いろいろと気になる。

壁に貼ってあるカレンダーのポスターに、男の子と女の子が写っている。

…考えすぎか…。


あれ?人形?

「人形、買ったの?」

「ううん、もらったの。」

「誰から?」

「前の彼から。別れたからと言って、人形は処分出来ないし、人形には罪はないし」

今で言うところのフィギュアのようなおしゃれな人形がキッチンカウンターの壁側に飾られていた。

なんとなく、人形というだけで、気になってしまう…。





マンションの怪 16

2021-08-19 08:36:04 | 日記
「ね、泊まりに来て!」

結局、断り切れず、彼女のマンションに泊まる事になってしまった。

部屋に入ると、昼なのに暗い。

カーテンが閉まっている。

昼寝していたからかな?…と思った。

「カーテン開ける?」

カーテンに手を掛けた…、

「開けないで!」

「え?」

「なんとなくだけど、開けるの怖くて…。」

「朝でも開けないの?」

「うん…。夢の中でベランダに連れて行かれるんだけど、ベランダの扉だけでなくて、カーテンも開けなきゃいけない…という状況の方がいいんじゃないかと思って…」 

Y子の悩みがとても深刻だと思った。

「あれ?ベッド、こっちに移したの?」

当初、ベランダ側にあったベッドはベランダ側から不自然に離れた場所へ移動されいた。

「うん。」

それも、ベランダから離れるためなんだろう…。



マンションの怪 15

2021-08-18 09:04:34 | 日記
「大丈夫?」

「もう、大丈夫じゃないの…。眠るのが怖くて」

「夢なんだよ。こんな事、現実にあるなんて考えられない…」

「そうだよね…。ね、今度、泊まりに来て」

「え?」

「私自身、本当は、こういう現象って信じないタイプなの。だから、悪い夢を見てるんだと思う。だから、アンコにも確認して欲しいの。私の夢なのか、夢遊病なのか…」

「…そうだね。」

結局、断り切れず、彼女のマンションに泊まる事になってしまった。

彼女のマンションに泊まるという日、その日は明るいうちからマンションに向かった。

正直、暗くなってからだと、入る勇気が鈍りそうだ…。

ベランダは扉が閉じている。



ピンポーン!

………。

ピンポーン!

………。

もしかしたら、何かあった?!💦💦
Y子は、私が来るのを知っているはずなのに…。

ピンポーン!

カチャ…。

少し遅れて扉が開いた。

「大丈夫?どうした?」

「最近は、夜眠りたくなくて、頑張って起きてるの。その分、明るい日中に寝てるの」

…そうなんだ…。そうだよね。寝ないとまずいよね。

「昼間は、悪い夢見ないの?」

「うん。見ない。」



マンションの怪 14

2021-08-14 08:57:32 | 日記
女の子だけでなく、男の子まで現れる…。

そして、背中を押す…。

私は、言葉を失った。

これじゃ、眠れないだろう…。

もう、何日もこんなことが続いているという。

だけど、このままでは、Y子は確実に壊れてしまう…。

とりあえず、しばらくうちに泊まりに来ることを提案したが、現実に蓋をしたまま過ごすワケにはいかない…という。

…いったいどうしたらいいんたろう…。

「…すごく、怖いけど……、だけど、結局、夢でしょ。
現実にその子たちが現れるワケじゃないでしょ💦夢なんだよ。怖い夢なんだよ。」

「ほとんど、毎晩、同じ夢を見てるの?」

「……。」

「私いつか、死ぬかも

「なんで?」

「夢だとするなら、夢遊病なんだと思う…。」

「夢遊…」

「だって、私、夢から覚めると、本当にベランダに立ってるんだもん。」



マンションの怪 13

2021-08-13 10:08:05 | 日記
手を繋いだ女の子は、Y子の手をグイッと引っ張ると、あるところに連れていく。

「………ど、どこへ連れていくの?

「…ベランダ…」

「ベランダ?!💦……で?そのあと、どうなるの?」

「ベランダには、男の子がいて…

「ちょ、ちょっと待って!!女の子と…その上、男の子まで…いるの?!💦💦」

Y子は、急に挙動不審になって、周りを見回した。

「あまり、大きな声を出さないで💦💦」

大きな声を出してるつもりは全くない💦彼女は、かなり神経過敏になってるのかも知れない。

「あの子たちが、一緒に来ているかも知れない…、聞かれているかも💦💦」

「Y子💦💦……大丈夫?💦」

かなりY子は、メンタル的に追い詰められているんじゃないか…と思った。

「…でね、まだ、続きがあるの…。」

再び、周囲を見回した。

私は、怯えるY子が可哀想で、まるで小さな子をあやすように、Y子の背中をポンポンと叩いた。

「その、男の子は、とても怖い顔をしてて……、私の背中を押すの」

「え?…お、押す…とは?」

「ベランダから…」

「ちょ、ちょっとまずいじゃない💦💦」

「うん。だから、怖くて眠れないの。」

そんな…💦

こわい💦💦

「ひ、引っ越ししたら?」

「そんなお金無い…」

「しばらくうちに泊まりに来る?」

「うん、そうしたいんだけど…、"その子たち"から逃げ回ってても、解決しないでしょ。アンコんちに泊まったら、自宅に帰れなくなだちゃう…」

…それもそうだ…💦