方向音痴はつらいよ

　「弟のお嫁さん、妊娠した時の診察で

産婦人科のお医者さんに　何を言われたのか　知らないけど、

　弟と二人　病院に　ねじ込んで、

苦情を言いって、医院長等に謝らせて、詫び状を取った人だから…スゴイ人だよ？ねぇ…」

「今度は、子供達が幼稚園に入っちゃったと嘆いて、毎日　泣いて暮らしてるって…」

「エェ！？子供の成長が嬉しくないの？

幼稚園なんて　行ったと思ったら…

直ぐ帰って来るじゃない。」

「そうだよ…」

「私達が、毎年　レストランで新年会

やってるからって、誘っても　約束が

出来ないのよ。なぜなんだろう？」

「わからないのよ…食欲が無い…とか

具合が悪いとか、身体の調子をおかしくしちゃってるらしくって…」

　母からは「みんなが　居なくなってしまった　この家に　淋しくて　居られません。

　家の中を見るにつけ、これは孫の

太郎がイタズラ書きをした…とか

ここは孫の華子が好きな場所だった…とか

孫の面影ばかりが思われて、泣けます…」

と、追出された　私には実に辛い手紙が

届いた。

　母は　私が好きで出て来たと　思っているのだろうか？

　先におかしくなってしまったのは母。

アルツハイマー型の認知症になった。

　我が夫は自律神経がおかしくなって

めまいとなり、私は、ウツとなった。

　病気はある日突然　ガバット襲ってくるのでは無い。

　病気は知らぬ内にソロリソロリと

忍び寄る。

　気がついた時には、もうスッカリ

病気に搦め取られている自分に

呆然とするのだ…

　　　　　┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ